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第52話 大脱走


※前の話の後書きに解説を追加いたしました。


本日から最終回まで毎日更新となります。



ブックマーク400件行きました!

喜びのあまりスクショを撮ってしまいました(',,・ω・,,')


そしてそして、なんと初レビューをいただきました!!

レビューを書いていただきました虹人様。本当にありがとうございます。

今まで何本か小説を書かせていただきましたが、レビューをしていただいたこと自体初な為、とても舞い上がっております。(*'ω'*)


更に、誤字報告機能をご使用しての報告をしていただいた方、ありがとうございました! とても助かりました。


いつもこの小説を読んでいただいております読者様、ご感想を書いて下さる皆様、ブックマークを付けて頂いた皆様、最終回までお楽しみいただけるよう頑張っていきますので、どうかよろしくお願い致します。

※2019/08/04 12:58



―尾野 駿視点―



「刑務所から脱獄した……?」


 そういえば神命は高校生なので少年院では? そうか! そもそも奴はゲーム設定では18歳以上……いや、そんな事はどうでもいい。悪役共が一斉に脱獄したという話を聞かされ、俺は気が抜けたような声で聞き返すのが精一杯であった。


「今はそちらの世界の榊殿が増やしてくれた警官達が応戦をしているらしい。君は直ぐに元の世界に戻るんだ。私は出来るだけ時間を稼ぐ」


 応戦ってなんだよ。なんで脱獄犯と警官が戦闘しているんだよ。


「<どうやら魔物達も本気になったようですね……。正直ここまで力を付けていたとは思いませんでした。私も尾野さん救出の為門の維持に力を入れます。後はこちらへ全力で向かってください>」


 そう琴音さんが言った後、通信が切られてしまう。

 いきなり過ぎる!?


「そんな……そうは言ってもここが何処やら」


 俺はここが何処だかわからないし、出口である尾野家の場所も分からない。

 困り果てていると、


「彼が案内をしてくれるだろう」


 狭間が天を見た。

 俺もつられて見てみると、


「チュンチュン!」


「ちゅん太? もしかして案内をしてくれるのか?」


「チュンチュン!」


 どうやらちゅん太が俺を導いてくれるらしい。


「本当か? よかったぁ」


 俺が喜んでいると、ちゅん太は俺の頭の上を二、三回旋回した後、前方へと飛んで行く。


「そっちに行けという事か」


 どうやら家の方向へと案内してくれるようだ。


「ではな、我等の恩人。本来ならば願いの一つや二つ叶えてあげるところだが、あいにく今は少しでも力を残しておきたい。奴らに挑むのはそれ相応の力で対抗せねばならないからな」


 と、残念そうに狭間は言った。


「いいっていいって。このバイク貰っていくから」


 俺は庄平が乗ってきたバイクを指す。


「ん? 庄平の奴が乗っていたものか。それは構わないぞ。ふふ、バイクごと向こうの世界に無事にたどり着けば、その車体も現実のものになろう」


 マジか。元の世界に持っていけるのかよ。


「ありがとう。……あっ! バイクの乗り方がわからねぇ……」


 考えてみれば、アクセルとブレーキだけ気をつければいいスクーターなら乗れるが、このバイクはどう考えてもマニュアルだ。

 クラッチの操作とか、運転の仕方がわからない。


「ははは。なら、乗れるように知識を与えてやろう。そのぐらいの力は礼として使おう」


 そう言って狭間雷は、俺の頭に手をかざす。


 んお!? バイクに関しての知識が流れてきた!? マジかよ。これで乗れるぞ。


「よし、これでいいはずだ。さぁ、気をつけて元の世界に帰るのだぞ?」


「ありがとう。それじゃぁ、そっちも気を付けて。狭間さんも無理しないようにな」


 許可が降りた為、早速俺はヘルメットを被りバイクに跨る。


「ふふっ、あぁ。心得た」


「それじゃぁなぁ」


 そう言うと俺はバイクを発進させ、ちゅん太郎の案内に従い、街中を疾走した。




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―悪霊達が捕まっている刑務所―



 ゲームの世界が構成されているエリアの隅っこに作られていた刑務所に捕まっていた主要な悪霊達、


 このゲームを改造した元凶であり最悪の悪霊の、

神命しんみょう 成一せいいち


 ゲーム内にて駿のクラスの副担任に言い寄っていた教師、

羽間はねま 鷹朗たかろう


 ゲーム内ヒロインの一人、野和 彩香のストーカー、

半田はんだ 雅人まさと


 この重要な敵役である三人は生き残ってしまったが為に、ゲーム内の力を暴走させシステムを取り込み、力を肥大化させていた。

 その肥大化した力は他のモブ敵キャラである不良達も強化させる事にもなってしまった。

 そして彼等悪霊達は、自分達を追い詰めた人物『尾野 駿』を抹殺する為、刑務所を脱獄することを決めた。


 最初から悪役である彼等を殺していればこのような問題は起きてはいかっただろう。だが、生き残り、力を付けてしまった彼等に巻き込まれただけの一般人である尾野 駿が勝てるわけは無い。


 これに対応する為にこのゲーム世界から駿を救おうとしていた『榊家』は早速動いた。


 具体的にどうしたかというと、






「弾ちゃ~く、今!」


ズドドドドドン!!


 ゲーム内の自衛隊が保有する20台の120mm自走榴弾砲が一斉に火を噴き、刑務所からの脱走をしようとしていた者達を消し炭にしていた。


 そう、榊家の下した判断は最初から全力を出すことであった。

 初め限られた戦力しか送り込めなかった榊家は、ゲーム世界の自衛隊、警察の幹部を式神化にして手駒とした。

 だが、現在は違う。もはや無制限に近しいほど、戦力を送る事ができる状態だ。

 一般自衛隊員や警官ほどの力であれば武器も合わせてそこそこ数をそろえる事に成功した。コピー&ペーストの力が猛威を振るったのだ。


 その力で消し炭になったのは、モブ悪役キャラである、三田川 麗子を虐めていた不良達である。


「爆撃機が到着!」


「衝撃に備えろ!」


 上空には現実世界ではありえない日の丸が付いたB-52が護衛機と共に編隊を組みながら飛んでいた。これは現実世界の自衛隊の装備を無視した榊家が用意したものだ。

 現実味なんて全く無視をし、強そうな装備は片っ端からこの世界に召喚させたのだ。


 B-52はポロポロ爆弾を落としながら上空を飛ぶ。


 落ちた爆弾は炎と灰色の煙を一帯に発生させた。



「煙により前方が確認できません。熱センサーも炎による熱量が周囲に広がっており、役に立ちません」


 観測員がそう報告をする。


「確認できないなら砲撃を続けろ。機関銃による攻撃も加えろ」


 もはや普通の人間であれば生き残れないほどの火力であった。しかし、彼等は攻撃の手を緩めない。

 現場を指揮する自衛官は、更なる攻撃を指示した。


「―――前方より動く物体確認! あれは……大型バイクです!」


 高い建物に居た観測員からそう報告が上がる。

 指揮官は直ぐに銃弾による弾幕攻撃を指示したが、直後に一台の黒塗りの大型バイクが飛び出してきた。


「生きている人間をこの区域から出すんじゃない! 総攻撃だ!」


 指揮官の発言は現実世界でそれを聞いたらあらゆる人々が卒倒するであろうものだった。

 周辺の住民の事など考えてはいないその言葉ではあったが、この世界に存在する殆どの人間はゲームのNPCである。

 そのため、遠慮無しの攻撃がバイクを襲った。


「早い!?」


「馬鹿な!! この攻撃をすり抜けただと!?」


 なんとバイクに乗って現れた人物は、高密度の弾幕を避けながら自衛隊員をすり抜けたのだ。


「追え! 追うんだ!」


 そう指揮官が言っている間にも遠ざかるバイク。


 彼等の後ろには予備の防衛ラインとして警官達が検問をしていた。しかし、自衛隊に比べ弾幕が薄い検問をしていた警官隊はあっさりと抜かれてしまう。


 だが、バイクの人物は気付いてはいなかった。

 検問を抜けた直後に、自転車に乗った警官二人が追いかけてきたことに……。





----------------------------------


―半田 雅人視点―


 ゲーム内のヒロイン、野和 彩香のストーカーであった半田 雅人は、地中を高速で掘り進み、自衛隊、警官隊の包囲網を突破していた。


 狭間雷の言う通り、自分が今どういう状況かという記憶も戻っており、なんとしても現実世界へ出て悠々自適に悪事を働くつもりだ。

 その前に、自分を追い詰めた憎き一般人、尾野 駿を殺そうとしていた。


「よいしょっと。であります」


 半田は適当な公園の茂みから顔を出す。

 ここからは走って殺害目標である尾野 駿を仕留めに行く為だ。

 流石に地中を進むよりも走った方が早いと判断した為だ。


「さて、移動するでありますよ」


 そう言って彼は茂みから離れて公園のど真ん中を移動し、目標地点へと向かう。

 尾野家の方角は理解していた。

 刑務所から出てくる前に地図である程度地形を把握していたから。


「さぁて。我輩をコケにした彼にはしっかりと償いをしていただくであります。まったく、彩香との結婚式の前にやる事が多すぎて困ってしまうでありますよ。トホホ……で、あります」


 自分が思い描く未来に対し顔をニヤケさせながら進んで行く。

 身体能力のみ強化された彼は知らなかった。


 野和 彩香が天へ上った事。


 そして、このゲームシステム全体が神命の力とそれに対抗する榊や狭間のより、本来のものとは別物の世界へと作り変えられていた。

 現在進行形で世界は変貌しており、


「もしもし? ちょっとよろしいですか?」


「はい?」


 半田は呼び止められた。

 そして声を掛けてきた人物が付近を巡回していた警察官だと知ると、


「ん? お前、半d――――」


 素早く手刀で警察官の首を切り落とし、何事も無かったかのように歩みを進める。


「きゃぁああああ!」


 近くで散歩をしていた女性が悲鳴を上げ、半田を取り押さえようと構える。


「うわぁああ!?」


 ランニングをしていた青年が向きを変え、全速力で半田の方へと走ってくる。


「――――あれ?」


 半田は異変に気付いた。

 何故か通行人が、散歩中の犬が、野良猫が、空を群れで飛んでいた鳥が、巣穴から出てきた蟻達が、一斉に半田に向かってきていたのだ。


「ちょ、ちょちょちょちょっと待つであります!?」


 半田は慌てて身を翻し、逆方向へと逃げようとした。


「んうぇ!?」


 しかし、半田は見てしまった。

 公園の向かいの家の玄関から次々と住人が出てきている。

 二階からも窓を開けて飛び出してくるものも居た。


「冗談じゃないであります!」


 彼は歩みを止めてしまった。

 その間に公園に居た者達に追いつかれてしまい、押さえ込まれそうになる。


「舐めるな! であります」


 半田はそれでも諦めず、次々と来る民間人に対し攻撃を行い、命を奪っていく。


「ひ、人殺しぃぃぃ」


「助けてくれぇええ」


「誰かぁあああ!!」


 一方民間人としてこの世界に存在するNPC達は、口では助けを求めるが行動がまるっきり逆の事をしている。

 隣で誰が死のうがただ叫ぶだけで勢いは衰えない。

 全力疾走で半田を捕まえに来るのだ。


「くそっ! ふざけるな! ふざけるなであります」


 支離滅裂な事をするNPCに対して恐怖を感じる半田。

 彼は悪霊になれど、人としての思考回路がなくなったわけではない。

 このわけの分からない状況に対し完全に尾野 駿の事など頭から抜け落ちてしまったのだ。


「何処か、何処かに逃げ道はないのでありますか!?」


 前後左右どちらを向いても押し寄せてくる人や動物。

 空を見ればカラスが空を覆い、地面を見るとミミズやモグラが顔を出す。


「ひぃ!? ひぃぃ!!! なんなんでありますか!」


 最早逃げ道など無かった。

 あるとしたら作るしかない。


 まずはまだ安全である地中に逃げようとした。

 人間や犬に比べればモグラやミミズなどはマシな方だ。

 だが、地面に潜ろうと逆さになれば、足を持たれて引きづり出されてしまう。


 空なんて飛べるわけも無い。


 地上は人間達が押し寄せてくる。


「あぁああああああ!!! 死ねぇ! 死ぬでありますぅぅう!!」


 もはやNPC達が尽きるまでひたすら殺していくしかない。


 半田は半狂乱になって拳を振るうしかなくなった。


 だが、やがて半田自身の体力が無くなっていき、NPC達に腕や足を掴まれてしまった。


「「「「「「「「せーの、よ~いしょっ、よ~いしょっ」」」」」」」」


 掴まれた手足は、大勢のNPCに綱引きのようにそれぞれの方向へと引っ張られる。


「ひぎぃぃぃ! い、痛いでありますぅぅぅぅ!!」


 手足を引きちぎられ、絶叫する半田。


「彩香を抱きしめる腕がぁぁぁぁ! 彩香と一緒に歩く為の足がぁぁあああ!!」


 次々と引き抜かれて奪われる手足に、半田は泣きながら野和 彩香との幸せな生活をする希望を絶たれ、悔しさをいっぱいにして喚き散らす。


「あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"!!! 首がっ! 首は引っ張らないで欲しいでありますぅぅぅ」


 ついには胴体と首を引っ張られ、メリメリと首の辺りから嫌な音が聞こえてきた。


「嫌であります! 死にたくないでありますぅぅううう!! あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!」


 そして、NPC達に引っ張られ続けた半田の首はスポッと取れてしまい、そのまま半田 雅人は絶命することとなってしまった。



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