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第50話 神命 成一

明日も更新予定です。


----------------------------------


―神命 成一視点―


 気が付くと俺は死んでいた。


 前兆は無かった。


 いつものように三田川 麗子を横に侍らせ、適当に目に付いた女を捕まえて楽しもうとしていたら死んだのだ。


 俺は倒れた自分の体を見下ろし、側で狂ったように笑う麗子に嫌悪感を覚えながらも、何故死んだのだろうと呑気にそんな事を考えていた。


 すると、




「よぉ」




 と、突然声を掛けられた。


「……誰だ?」


 先ほどまで居なかったはずの部屋の空間に一人の男が居る。


 俺とそう変わらない歳であろうが、その目は同世代とは思えないほど冷たい。


 着ている服は着物であり、最初は頭がおかしい奴かと思った。


 麗子はや捕まえてきた女はコイツに反応していない。


 そして、謎の男は明らかに俺の方を見ている。


 その状況から見てこいつは――――――。


「お前、死神か?」


 そう咄嗟に質問をした。


「ふん。死神……か。まぁ、お前にとっては死神だろうな」


 そう馬鹿にしたような笑いをしてきたので、俺は腹が立った。


「貴様のような奴が、他人に腹を立てられる立場か? お前、もしかして今まで自分が何をしてきたのか理解していないだろう」


 などと、そいつは俺に対して煽ってきた。


 なんだこいつ。俺の感情を読んだのか?


 神と名乗るだけの事はあるか……。


「おーおー。言うねぇ。俺はただ女を沢山侍らしていただけだ。なんか問題ある? 昔の特別な人間には沢山妻が居た。現代では俺がその特別な人間なんだよ」


 俺はそう言ってやった。


 きっとコイツは俺が沢山女を侍らしていたことが気に食わないのだろう。


 俺は幾度となく、そのような視線を多くに下級国民から浴びせられてきた。コイツもそいつ等と同じ目を俺に向けて来ているので、そう理解した。


「特別……? あぁ、確かにお前は特別出来の悪い人間だったな」


「……んだとテメェ」


 俺を侮辱するとはいい度胸だ。そういう奴には――――……は? 体が動かねぇ?


「この私と殴り合いの喧嘩をしようとしていたのか? ははっ、やっぱりお前は愚かな人間だよ。神に勝てるわけがないだろう?」


「なっ……このっ! 何をしやがった!」


 本当に微動だにしねぇ! 動かせるのは口だけだ。本当にどうなってんだ!?


「こうなったら憐れなものよな。まぁ、いい。これからお前は地獄に落ちる前に私が創った世界で"玩具おもちゃ"になってもらおう」


「はぁ!? 玩具だぁ? ふざけるな!!」


 そう言って散々喚いたが、突然空中に開いた黒い穴に吸い込まれるように俺は落ちて行く。


「じゃぁな。あっちの世界でまた会おう」


 そう神と名乗ったそいつの声が最後に聞こえた。










「ふざけるなぁぁぁぁああああ!!!」


「ぐぎゃぁああああああ!!!」


「お母さぁぁあああん」


 意識が戻ると、同じ声が幾つも聞こえる空間に居た。




「なんだ……。ここは……」




 周りを見るとその全てが白く光る球であった。


 黒い空間に浮かぶ球は、夜空に浮かぶ星のようであったが、


「うわぁあああああ!?」


 その球は俺の意識が覚醒したと同時に体に入ってきて、吸収された。


「な、なんだ!」


 悪い夢を見ているようだ。


「うごぉぉぉぉ!!?」


 同時に、言い表せぬほど気持ちの悪さが襲ってくる。


「どうなってんだ! ここから出せぇぇええ!!」


 俺は必死に誰かに向かって訴えていると、





「<気分はどうだ? 神命 成一>」





 という声が空間に響く。


「お前! 俺を殺した死神だな!?」


 俺は直ぐに分かった。


 この声は俺を狩った女とヤる前に殺した奴だと。


「<その通りだ。どうだ? 様々な時空、次元から集めた自分自身の魂を吸収する苦しみは? ここにいる魂達はとびっきり苦しみを味わったからなぁ。吸収した反動は想像に絶するものだろうよ>」


 何を言っているんだコイツは……?


「<理解できないか? ここにある白い光りは全てお前自身だ。ただし、お前が住んでいた世界とは違う。所謂並行世界というやつから引っ張ってきたものだがな>」


「どう……して?」


「<どうして……か? 簡単な事じゃないか。これはお前をどの時空でも生かさない為の手段だよ。どこの世界でもお前はロクでもない奴だったからなぁ。各世界の私に頼み込んで、お前を殺してここに集めてもらったんだよ。色々と作っていたら60年も時間がかかってしまったがな>」


「60年……だと?」


「<あぁ、そうだ60年だ。お前が生きていた世界では60年も時が過ぎたよ>」


「ば、馬鹿な……」


 仮に俺が生き返ったとしてもそこにはもう俺の居場所が無いではないか。


「何が……望みだ……」


 異常だ。


 悪人には皆こんな事をしているというのか?


 そもそも俺は悪人じゃねぇ。ちょっと付き合っている女の子が多いだけの男子高校生なんだ。




「<その程度の認識とはな。貴様のせいで何人死んだと思っている? 貴様は自分が何人殺したか覚えていないのか?>」




「それ……は……」


 それは全て麗子を含めた俺の女達だ! 奴等が殺したんだ! 俺は悪い奴は殺しても、一般人は殺してない!




「<何人犯したか覚えてもいないのか?>」



 皆最後には俺を求めた! 喜んでいた!




「<何人脅したか覚えてないのか?>」




 女は喜び、男に対しては悪事を暴くか、俺の女に手を出さないように警告しただけだ!





「<何人自殺に追い込んだ?>」





 勝手に死んだだけだ! 女に対しては、ちゃんと勿体無いと思ってやったさ!




「<……やはり見下げた屑だよ。貴様は……。それじゃぁな。このまま私の世界で道化となれ>」




「うぎゃぁあああああああ!!!!」



 直後、先ほどまでとは比べ物にならないほど大量に幾つ物俺が体の中に入ってきた。


 幼い俺。歳を取った俺。同い年の俺。


 沢山、沢山入ってきて、俺の体はパンクしそうになった。




 それが、何ヶ月間続いたかは分からない。




 ようやく周囲に居た俺の魂とやらが片付いた頃、世界は闇に包まれていた。





 そうして、ようやくその地獄から脱出できたと思ったら、





『俺の名前は盛田 庄平。今日から新学期だ。俺は可愛い女の子達と楽しい時間を過ごすことができるのか?』





 何かが始まった。


 学園ものの、ゲーム世界のようだった。


 そして、主人公っぽい奴には見覚えがある。


 盛田 庄平。


 そいつは俺の彼女の元彼だった奴だ。


 確かこいつには妹が……。




 いや、それよりも――――。




「せんせー。神命がまた下半身露出させてまーす!」


「せんせー。また成一の奴が女子のパンツを食べてまーす!」


 俺は学校で、馬鹿な行動ばっかりしていた。

 体の自由が利かない。

 自分の意思とは反して勝手に行動し、勝手に口が動いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

→『おい。神命! 皆に迷惑をかけるな!』

 『はぁ、お前という奴は……。本当どうしようもないな』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そして俺は盛田に倒される。



「羽間先生! 女子トイレに入らないで下さい!」



 俺と同じように馬鹿な行動をしている奴も沢山居た。


 そいつ等は生前、俺の女に手を出したり、出そうとした奴等だった。




「せんせー。神命が女の子を追いかけてまーす」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

→『早く止めないと!』

 『通報しようかな』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「せんせー。成一が留置所に入りましたー」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 『あはははは!』

→『見送りたかったなぁ』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「せんせー」


「せんせー」


「「「「せんせー、せんせー、せんせー、せんせー、せんせー」」」」




 うわぁああああああああああああああああああああああああああ!!!





 気が狂いそうになった。


 自分の意思とは違う行動を毎回毎回させられる。


 そして気付いたら日付が戻り、また同じ事をさせられる。


 ここは本当にゲームの世界のようだ。


 何度も何度もリセットされて、同じ悪夢を再現させられ続ける。


 どういうわけか、俺の女達もこの世界に存在し、俺を見て笑っていた。


 もう嫌だ。


 こんな所から早く抜け出したい!!





 そう思ってからどの位時間が経っただろうか。



 全てを呪い、自らの意思でもう一度手を動かそうと思ったのは、いつ頃からだっただろうか。



「おいおい、神命。また女子が使った椅子を舐めてるのか?」


「はははっ。早く新品に取り替えなきゃなぁ」


「う……がッ!」


「イテッ」


 その日、俺は初めてこの世界の謎の拘束力から脱し、自らの力で人を殴れた。



「<馬鹿な!>」



 という声が、何処からか聞こえた。


 しかし、そこではそれ以上は続かず、同級生役の男子生徒に仕返しとばかりにボコボコにされる。






 そして世界はリセットされ……。



「せんせー! 成一が暴力を振るってます!」


 リセットされ。



「せんせー! 神命が女の子を襲おうとしています!」


 リセットされ。



「せんせー! 神命の野郎が野和さんを襲いました!」


 リセットされ。



「せんせー! 大変だ! 神命 成一が豊森先生と光明院さんを孕ませやがった!」


 リセットされ。



「せんせー! 成一の馬鹿野郎が国を乗っ取りました!」


 リセットされ。



「せんせー! 神命様が地球の王となりました!」


 リセットされ。



「陛下! 若い女達は皆、服を脱がせて陛下の前に並ばせればよろしいでしょうか?」


「あぁ、そうしろ」


 俺は完全に手足を動かすことができ、自分の望み通りの世界に創り変える事に成功していた。





「<馬鹿な馬鹿な馬鹿な!! どういうことだ? 確かに貴様の先祖は呪術師の家系だったことは知っている。だが、お前の代では既に力を無くしていたはずだ!? どうやって力を取り戻した!? いや、それにしてもなぜここまで強大な……私の力と拮抗することができる!>」




 死神の奴は慌てていた。




「<そうか! 自分の魂を数多く取り込んだことにより、僅かに残っていた力が集まった……のか? いや……それでも……。あぁ、わかったぞ。貴様、自分自身を信仰し、神格化したな!?>」






 あぁぁ。


 ようやく気付いたか。



 俺の中には自分自身が数百億以上居るのだ。


 その数の魂が、俺を崇めたらどうなる?


 それはもう神様だろう?




「<こんな馬鹿みたいな方法で神が出来て堪るか!>」





 まぁ、そう言うなよ。


 これからこの世界は俺の物になる。


 幸い、本物の魂も幾つかこの世界に来ているようだからな。


 これから散々可愛がってやるよ。


 特に、


 野和 綾香。


 坂江 由梨。


 豊森 奈菜。


 三田川 麗子。


 光明院 桜。


 長友 理音。


 イリス=フリュード。





 そして――――、








 ――――盛田 真希――――











「<やめろぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!>」








 ははははははは!!


 やはり、お前が守ろうとしていたやつは『盛田 庄平』の妹だったか!


 アイツの彼女を寝取ったし、アイツの妹にも散々楽しませてもらった。


 最期は自殺したんだっけか?


 はははっ、いやぁ。実に勿体無い事をした。


 俺が統べる世界では、一生……いや、永遠に可愛がってやろうじゃないか。




「<貴様……貴様だけは絶対に……>」



 愚かで非力な神様だ。


 俺に支配権を奪われただけではなく、実際に守りたい存在を俺が居る世界に連れて来たんだからなぁ!




「<好きにはさせない!!>」




 知っているぜ? 理解しているんだぜ?


 ここはゲームの世界。


 いや、ゲーム世界と連動したお前が作った異世界の空間だ。


 そして現実世界の人間達を販売し、プレイさせながら俺の醜態を見させ、連動してこの空間でも同じ事をさせようとしていたって事をな。


 この空間であれば神と同等の力を持つ俺にとっては、そんな事を調べるのも簡単だったぞ。


 お陰で、今現実世界ではこのゲームはエロゲーになっているだろうよ!




「<好きにはさせないと言っているだろう!>」




 では、今の貴様に何ができる?


 なにもできないだろう?


 この世界を作るため、各世界から俺や羽間達の魂を呼び寄せ、この空間を作り上げ、さらにはその代償に力を殆ど失ったお前に!


 この世界はまさにゲームと連動した世界。


 お前が現実世界。いや様々な平行世界に売りさばいた『強襲転校生』というゲームと連動させた世界だ!


 現実世界のプレイヤーは、俺を痛めつける為の執行人。そして傍観者。


 そしてプレイ内容はこの俺に反映させられるようにされている!


 ふざけたことをしてくれたなぁ!


 今まで何千何万回と屈辱を受けた。


 許さねぇぞ!




「<そこまで……理解していたか……>」




 ぶぁかがっ! 俺を舐めすぎだ!


 既に俺の力は現実世界にも逆流させ、影響を及ぼしている!


 外の世界の事情も知り得る事ができるんだよ!






「<ならばっ! 全力で止めるのみ!>」




 だから、それは出来ねえだろうが!




「<いや、出来る! 残った力を使えばな!>」




 はぁ?




「<確かにこの世界の支配権の殆どは、現在お前のものだ。だが、全てではない!>」




 何をする気だ!?




「<この世界が貴様有利になるのは仕方が無いだろう。だが、一つの抜け道を作ってやる>」



 なに……?



「<ここがゲームの世界と連動するのであれば。ここが現実世界の影響するのであれば、それを利用する!>」



 はっ。馬鹿馬鹿しい。



「<この世界をつまらないと思い、外道な話など嫌う人間が居た場合、その意思をプログラム化し、影響力から逆流させ、この世界に呼び込み崩壊させる!>」



 おいおい。このゲームは既にR18の鬼畜ゲーになってんだぞ? こんなゲームをやる奴なんて、こういった話が大好きな奴に決まっているだろ?


 それにな? 男なんて、誰しもこういったストーリーは大好物なんだぜ?



「<それでも私は人間の善意に賭けてみせるさ!>」



 無駄な賭けだなぁ! レートは低いぜぇ?



「<そして、お前の。神目線の精神。つまりこの世界はゲームと連動した世界だという記憶は封印させてもらう! 来るべき救世主の邪魔をさせないようになぁ!>」



 ちっ。余計な事を! クソッ。まだこれほど力を残していたか!


 な、ならば、俺だって抵抗させてもらう。


 もし、その救世主とやらがこの世界にきて、ストーリーを崩壊させていった場合、俺がこの世界に与える影響力を強くさせてもらう!


 そして、邪魔をする者が居たら……、






 "この世界に取り込んで殺して"やる!







「<ぐぬぅぅぅ! あくまでも抵抗する気か!?>」



 当たり前だ!!






 うっ……意識が……!?






 絶対に……。



 絶対に……。絶対に! この俺がこの世界の全てを支配してやるからなぁああああ!!!

















「<……クソッ。私も力を使い果たしたか。>」



「<他に出来ることがあるとしたならば、この世界のNPCの一人として見守る事ぐらいか……>」



「<後は頼んだぞ庄平。お前は色々と行動や台詞に制限が掛かるかと思うが、自分の女くらい、自分で守れ……>」



「<そして……。この世界を壊すことが出来る人間が来たら……。お前が助けてやってやれ――――――>」




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