第48話 愚かな選択
本日から三話ほど連続で回想となります。
----------------------------------
―盛田 庄平視点―
俺の名前は盛田 庄平。
長らく神社の神主を務めていた家系の跡取りだ。
好物はハヤシライスとキノコ。
容姿や性格は……。どうだろう。そんなに悪くはないと信じたい。
さて、いきなりこんな事を言っても信じてはくれないだろうけど、俺や親父、そして妹は自分の家で奉っている神様の姿をはっきりと見ることができる。
お袋はなんとなくだそうだ。
その神様。狭間神という異界と通じる道を作ったり小さな世界を作る事ができる神様の中で、雷から道を作ることに特化した『狭間雷』様ってのが、我が家で奉っている神様なんだけど、頻繁に俺達人間と何気ない話をしたりする。
神としての力は、昔の大戦争とやらの影響で弱まってしまっているらしいが、人間では計り知れない程の強大な存在らしい。
……まぁ、強さは本人の自己申告だし、俺にとっては身近な存在すぎるので、気の優しい兄ちゃん位に思っているよ。
なにせ、学校で出された宿題の相談から、恋愛相談までしたんだからな。
そんな俺は、ありがたいことに多くの女性達とお付き合いさせてもらっている。
決して狭間雷様の力によって不正に俺の魅力を上げたりとかはしていないぞ?
全て俺の実力……。というか、彼女達があまりにも寛容すぎるからだろう。
そもそもその殆どが幼い頃からの知り合いなのだ。
中には親戚のねーちゃんも居る。
皆俺には勿体無いほど優秀な彼女達だ。
なんでこうなったのだろうか。
よくわからないけど、気付いたらハーレムが出来ていたんだ。
まぁ、そんなおかしな付き合い方をしていれば、いつかは終わりが来るのは当然だ。
最初、彼女の一人である彩香から別れを切り出された時は、『あぁ、俺のせいなんだな……』と、寂しくも現実を突きつけられた気持ちになった。
現代社会。この日本では複数の女性と付き合っていたとしても結婚できるのはただ一人だ。
重婚OKの国へ海外移住したとしても、確かその土地柄の宗教上が理由とかでOKだったはずだから、俺達が海外へ移住しても同じように大丈夫とは限らない。
複数の女性と付き合っている現実性の無い男。
そう彩香に思われても仕方が無いと思った。
畜生! アニメや漫画のハーレム主人公が羨ましい。
いや、大抵現代日本が舞台の作品では俺と同じように悩んでいる主人公は多いか……。
彩香の決心は固いようで、俺は泣く泣く引き下がるしかなかった。
だが、目撃してしまったのだ。
彩香が先日転校してきた神命 成一に無理矢理酷いことをされているのを。
俺が偶々人気の無い、プールの更衣室近くところで泣いていると、二人がやって来て行為を始めたのだ。
耳を疑った。
まさか彩香が無理矢理……。
俺は飛び出して神命をボコボコにしようとした。
だが、逆にやられてしまい、脅された。
「お前、複数の女と付き合っていたんだって? ははは、最低だなぁ。そう思うだろ? 彩香ぁ」
そう言ってくるのは憎き男。神命。
「……」
彩香は目を合わせてくれない。下を俯いたままだ。
「うぅぅ……」
俺は神命に反撃を受けた影響で、地面に這いつくばって奴を見上げるしかできなかった。
「それなのに取返しに来るたぁ、ふてぇ野郎だ」
「おま……え、無理矢理手を出しておきながら……」
俺は奴とは違う! 説得力はないかもしれないが、俺は真剣に付き合っていた!!
「はっ、中古を貰ってやってんだからありがたいと思え!!」
再び俺は腹を蹴られてしまい、蹲る。
「もし、警察なんかに通報してみろ。彩香がどうなるかわかってんだろうなぁ?」
俺は悔しくてその場で泣き崩れ、彩香にも謝られ……神命の下種な笑い声を聞き……。
もうどうしようもなかった。
悔しくて悔しくて。
俺は家に帰って奴を呪い殺そうとした。
幸い、俺の家には呪術系に強い神様に知り合いが居た。
昔の戦争だかで、多くの敵を呪ったと武勇伝を語るあの神様を。
だけど……。
「駄目だ」
いつものように狭間雷様に相談をした。
だが、断られてしまった。
「なぜ!? なんで駄目なんです!」
気安く話しかけられるといっても、流石に神と人間。
俺は言葉遣いに気を付けながらも、必死に懇願し、駄目な理由を聞き出そうとする。
「簡単な話だ。現代は神と人間の境がはっきりと分かれてしまった時代なんだ。元々決められていたことだが、大昔の神々の戦争で更にその決まりは強固になってしまったんだよ。
人間界の揉め事に、神の力を安易に使ってはならないと」
「そんな……じゃぁどうすれば!?」
「警察に頼ればいい。現代の役人は昔と比べてそれほど酷い物ではない。個々での悪を断ずる意欲が昔とは大違いだ。
まぁ、身分制度の影響もあったんだろうが、この方法ならば神の力を態々頼らなくても何とかなるだろう」
言っている事はもっともだ。
だけど……だけどそれじゃぁ、駄目なんだ!
「神命は警察に言えば彩香の安全は保障しないと言い切ったんだ!」
「それでも、だ。奴にどれ程力があろうとも、実家の実力があの程度ならば、証拠を集め、声を上げれば必ず解決できることだ」
「それだと、彩香が襲われたことも公表されちまう!!」
一生付いて回る傷になってしまう!
「くどい。悪を裁くには、そうするしか他無いだろう。放っておけば神命は必ずや同じことを繰り返す。お前の恋人だけではない。お前が今行動しなくては多くの女性が奴の毒牙に掛かるであろう」
まるで予言者のように未来を語る狭間雷様。
「もう……。いいです……」
俺はそう言って話を打ち切った。
狭間雷様が居る部屋を出て、自室に篭る。
「警察……、本当は通報した方がいいんだろうな……」
だけど、俺には警察に言う事ができなかった。
狭間雷様は人間同士の争いには介入してくれない。
警察に言って奴がそれを知った時。奴は何をするだろうか。
彩香の写真や動画をばら撒く?
いや、そもそも彩香の命が危ないのでは……。
「くっそぉ! いったいどうすりゃいいんだよぉ!!!」
神という存在に相談しても解決の糸口が見えなかった俺には、最早他の人に相談するという考えは浮かぶことはなかった。
そして、事態は最悪の方向へと進む。
やはり狭間雷様の言う事は正しかったのだ。
「奈菜に続いて由梨や麗子まで……」
次々と俺は彼女達から別れを切り出された。
原因は言わずもがな。神命である。
奴はどうやら俺の彼女達だけではなく、学校で有名な不良女達も自分の女として、自由な手足として扱っているらしい。
そして、麗子は洗脳されたようだ……。
どうやってやったのかなんてわからない。
ただ、あれだけ慕ってくれていた麗子が今では俺のことをまるでゴミを見るような目で見てくるのだ。
「キツィなぁ……」
生憎俺はそんな目で見られて喜ぶ性癖なんて持ってはいない。
麗子は神命の命令のまま、多くの女達を襲う手助けをしているようだ。
もしかして、洗脳された……というよりも、狂ってしまったと言った方が正しいのかもしれないなぁ……。
そして、ついに奴の。神命の運命が決まる日が来てしまった。
「……"真希"? どうしたんだ? そんなにボロボロになって……」
ある日突然、妹の真希が服や髪を乱し、顔や腕を土ぼこりで黒く汚し、とても酷い状態で帰ってきたのだ。
「…………」
死んだような目をした真希は、何も言わずに風呂に入った後、直ぐに自分の部屋へと引きこもってしまった。
俺は直ぐに両親に知らせ、両親と共に部屋から出て、説明を求めたが駄目だった。
そして、それから10日後、真希は自室で自殺をした。
あぁ、何が起きたかなんて直ぐに想像着いたさ。
学校中で噂されている神命の事。
奴は目に付いた女を片っ端から襲いまくっている。
抵抗したり、告げ口しようとした男子生徒は、神命の手下となった不良男子達に襲撃される。
誰も事態を解決できない。
ただ見ているだけ。
真希の事も、見かけた男子生徒が居たらしく、真希の友人である俺の彼女でもある理音と共に襲われたらしい。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は叫んだ。
「俺のせいだ。俺のせいだ!!」
早く警察に言っていれば! 真希は死なずに済んだ!
いやいやいや、それよりも。それよりも俺の彼女達や多くの女性達が傷つかずに済んだのだ!!
「庄平……」
俺の部屋に悲しそうな顔をした狭間雷様が現れた。
なんだよ……今更。
そもそもあんたが、昔決めたルールだかなんだかを律儀に守っていたせいで、神命は大暴れしているんだぞ!?
真希が死んだのだって、お前がトロトロしていたからだ!!
「ふざけ……。フザケんなぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」
気付けば俺は狭間雷様を殴っていた。
小さい頃、俺がふざけて狭間雷様におもちゃの刀で切りかかれば、すり抜けて切られた演技をしてくた記憶がある。
つまり、狭間雷様は、人間の攻撃なんて喰らおうと思わなければ効きはしないのだ。
「ぐぅぅ……」
床に倒れる狭間雷様。
「あ……あぁ……」
それを見た瞬間、俺はとんでも無い事を仕出かしたと、我に返る。
「も、申し訳……。申し訳ありません!!!!」
俺は土下座した。
父や、俺の家を支えてくれる周りの従者達からは神の偉大さや尊さを教えられてきた。
だから俺はやってはいけない事をしてしまったと激しく後悔したのだ。
「よい……。よいのだ……」
一方、狭間雷様は、弱々しい声を出しながら土下座する俺の肩に手を置き、引き上げてくれる。
「私も……。申し訳無い事をしたと思っている」
「そんな! 狭間雷様は何も悪くはっ!」
そう。全ては俺が早く行動しなかったせいなのだ。
俺が狭間雷様に相談した後直ぐに警察に連絡していればここまで酷くはならなかったはずだ。
「庄平はいつからだっただろうな……」
ポツリと狭間雷様は話し始めた。
「人は皆、私を敬う。……それは人にとって、神に対する行為としてごく自然なことだからなのだろう。
だけどな、私はどちらかといえば、人と近しい位置で人と共に過ごしてきた存在。
私はな。この盛田家の人間が幼き頃は皆私を友人や兄のように慕ってくれた事をよぉく覚えている。
しかし、いつの日か。そういった者達も成長するに従い、世の中に合わせて私を家族から神として扱うようになるのだ……。
それが寂しくてなぁ」
そんな話を狭間雷様は語った。
俺は先ほどのチャンバラの事をより鮮明に思い出し、もしかしたら父もそんな事をしていたのだろうか。と、考える。
「決まり事を守る。周りに合わせるというのはこんなに寂しいものか。
こんなことならば、初めから全てをかなぐり捨ててでも……。
……やはり。決めたよ。
私は決心が付いた」
狭間雷様は真っ直ぐ俺の方を見た。
なんだろう。
いったい何を決心したというのだろうか。
「私は神命 成一という外道に神罰を下す。
流石に私を奉る家の家族ですら手にかけるような奴を世の中で生かしておくことなどできん……」
「神……罰?」
呪いよりも恐ろしいものに聞こえた。
「あぁ、そうだ。神罰だ。
庄平。すまんな……。初めからこうしておけばよかったのだ」
本当に申し訳無さそうに。
今にも泣きそうな顔をしながら狭間雷様は、俺にそう言ってきた。
だけど……。俺は――――――――。
「あぁぁぁぁ。ありがとうございます! ありがとうございます! あはは、あははははははっ! これで、奴に。あの神命の奴に復讐できる!! 思いっきり苦しまして殺してやりたい!!
いや、こんな事なら。そもそも狭間雷様にご迷惑をおかけしなくても出来た。
殺すぐらいなら方法なんていくらでもありますからねぇ!」
そうだよ。
何を今まで気にしていたんだ。
女を全て傷つけられ、家族を殺され。
ならば、奴を殺したって問題ないじゃないか。
「庄平……すまない……」
歓喜に満ち溢れている俺を見て、狭間雷様は更に悲しそうな顔になって俺へ謝ってきた。
その後、俺は狭間雷様が奉られている。まぁ、簡単に言うと狭間雷様の部屋へと来た。
これから呪いの儀式をする為だ。
狭間雷様は俺が殺人を犯すようなことは認めてくれなかった。
ならば俺は見たい。どのような神罰を下すのか見てみたい!
そう強い思いで、この部屋へと入ったのだ。
別に普段入らないような部屋ではない。
いつも……。こんな事になる前は、一緒にこの部屋でテレビゲームをしていたぐらいだ。
だけど、今日のこの部屋はなんだか重苦しい空気があった。
「あれ……?」
しかしそこには驚きの人物達が居た。
「親父? ……お袋? それに皆まで」
俺の親父とお袋。そして、俺の家を支えてくれた家の人達。主に若者中心であるが、3人も何故か居た。
昔からよく知る。
俺達を守ってくれた者達だ。
「あぁ、庄平か」
疲れた顔をした親父が、俺に向かって笑顔を作りながら話しかけてきた。
「……」
母は、憔悴しきった顔で、何故かこの部屋に居る……。棺桶に入った状態の真希に話しかけていた。
「お父さんとお母さんが代わりに復讐してあげるからね……」
と。
やはり皆、鬼畜で外道の最期が見たいのだろうか?
だが、代わりに復讐……とはなんだ?
「庄平。聞きなさい」
親父は滅多に聞かせないような真面目な声で俺に意識を向けさせる。
「なんだよ」
嫌な予感がした。
「これから私達は魂を捧げ、神命 成一がこの世界が終わるまで永遠に狭間雷様が創った世界で苦しんでもらうことにした」
「「はぁ!?」」
俺と狭間雷様が同時に驚く。
「待て、どうしてそのような話になるのだ」
狭間雷様も寝耳に水だったようで、激しく親父を問い詰める。
「狭間雷様。以前、……まだ庄平が生まれる前の事でしたか。その時に言っておられたではありませんか。もう既に神としての力は殆ど無いと」
「むっ……」
狭間雷様は顔を歪める。
「信仰心やらそういうものではなく、大昔にあった戦争の後遺症だと。
そして、もし力を増すとするならば、生贄があれば一時的に力を増すことができると」
「……」
目を逸らす狭間雷様。
「あの話は、悪さばかりしていた私を叱りつける為だけの脅し文句かと思っていました。
ですが、力の話や生贄の話は……。あながち嘘ではないのでしょう?」
「妙な事ばかり覚えているな……」
狭間雷様は呆れたように言う。
「だから庄平。俺達盛田家の一族や分家一族は、全家賛同の下生贄を選出し、神命に復讐を行うことを決定した。
我が盛田本家からは私とお母さんだ。
庄平。これからお前の事は、俺の弟……お前の叔父さんに任せて――――」
「ふざけんなよ!!!」
俺はキレた。
「何勝手に決めてんだよっ!!!!」
「その通りだ! 馬鹿者共!」
狭間雷様もお怒りだ。
「なっ!? 庄平! お前は悔しくないのか!! こうは考えないのか? 何故真希が死んで、あいつがのうのうと生きているんだと!」
と、親父がなんだか見当違いな怒りを見せてくる。
俺が怒っているのはそういうことではない。
「なんであんた達だけ生贄になろうとしているんだ! 俺も入れろよ!!」
「えっ?」
「はっ?」
俺がそう言い放つと、親父はキョトンとしている。
狭間雷様も、何それ? という顔をする。
「そもそも俺の家の事だから、他の親族には申し訳ないだろうがっ。それにあんた等二人に俺を追加すれば、確実に三人分の力はあるんだろ?
ここに居る親族皆様を見れば若い。
つまり、若い方が都合が良いって事だろうが!」
人間を生贄にするというのは若い奴。ってのが相場が決まっている。
つまり、ここに俺を追加すれば更なる力を狭間雷様が得られるという事だ。
「庄平さん。俺達は自分の意思でここに居る!」
「そうです。私達の友人も神命の毒牙に掛かってしまったのです!」
「アレは生きているだけで周りを不幸にする魔物でございます!」
集まってくれた親族達が口々にそう言う。
「この……馬鹿者共がっ」
狭間雷様は悔しそうに床を叩いている。
「庄平……お前は……」
親父がまだ何か言おうとしているが、
「親父、さっき俺の所にイリスの両親から、イリスが自殺したって連絡があったんだ」
「「!?」」
これには俺の両親も驚いたらしい。
「い、イリスちゃんが?」
お袋が震えている。
「理由は言わなくても分かるだろ?」
俺がそう言うと、お袋は俯いてしまう。
「あぁ、そうさ! 俺は恋人の誰一人も助けることができなかったクソでヘタレな野郎だよ。ようやく復讐の機会が出来たんだ。その機会を親父達だけで遂行しないでくれよぉ」
「「……」」
二人ともしばらく黙ったままだった。
「分かったよ……」
力なく応えたのは親父であった。
「こんな……こんな事があっていいのか?」
狭間雷様は、天井を見上げている。
俺達の決断に呆れているのだろうか。
その後、狭間雷様を説得した。
そして親父が親父の弟。叔父さんに俺も復讐メンバーのエネルギーになる事を伝え、儀式へと移行する。
狭間雷様の説明によると、俺達は魂だけの存在となり、狭間雷様が造った世界に新たな体を得て、永遠に楽しむことになるとの事。
楽しみ方は任せるらしい。
ついでに自殺した真希やイリス達の魂も連れて行こうと提案。
もし地獄なんかに居たら強制的につれてくるらしい。
「閻魔様がお怒りになるだろうなぁ」
等と狭間雷様は言っていた。
そうして、いよいよ俺達は儀式へと移り、体を分解され、狭間雷様が用意した世界へと入っていった。
これが俺がこのゲーム世界に来た流れである。
その後はお察しの通り。儀式は失敗し、世界は神命の意思に乗っ取られた。
様々な世界の神命達を連れて来たのが最大の敗因らしいな。
結局俺はこの世界の主人公ではなく、モブとして生を受け、自由に動かすことができない体で必死にもがいていた。
そして……。その永遠に感じた地獄から救ってくれたのは、言うまでもなく『尾野 駿』であった。
俺とは違う世界に住んでいた彼は、神命の術に掛かってこの世界にやって来たようだ。
始めは俺もただの友人役として駿と接してきたが、駿が事件を解決する度に、自由度が増し、思考もクリアいなってきた。
かつての恋人達が駿に引かれていくのは少し寂しく思えたが、俺にはそんな気持ちを抱く資格は無いと思う。
何せ、駿のように誰も助けることはできなかったんだからな。
だから、駿がとても羨ましかった。
あんなに大胆に行動できる力は何処から来るものなのだろうか?
彼こそ主人公に相応しい。
自由度が増した為、彼の口から俺の彼女達を襲った連中の最後や最期の話を聞くのが楽しくて仕方がなかった。
あの、狭間雷様が生前に言っていた洋食店に似せて作ってくれた店で、一緒にハヤシライスを食べながら、奴等の情けない悲鳴をBGMとして思い浮かべるのは最高だったなぁ。
あぁ……。そういえば、あの時奈菜が来たっけ。
その時は、ちょっとした出来心で、もし奈菜も記憶を取り戻していたらなんて淡い希望を感じてしまい、奈菜には辛い事を思い出させてしまった。
こういう点が俺の悪いところで、嫌われても仕方が無いと思うところだ。
とにかく、駿には最大の礼を尽くそう。
だから、ある程度体が自由になった段階で、本来俺が乗るはずだった黒いバイクに跨り、駿を助けに行ったのだ――――――。
----------------------------------




