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第37話 迫り来る秘書


----------------------------------


 片仲議員応援事務所の裏口。


「ターゲット三名の内、二名。排除完了であります!」


 そう言った対物ライフルを構えた警官。

 榊家が送った式神の警官だ。


 彼の周りには特殊部隊の隊員達が警戒に当たっている。


 警官の足元には片仲議員の手下であるノッポとチビの死体が転がっていた。


ザザッ――――。


 ここで、肩に着けていた無線の音が鳴る。


「<そっちの様子はどうでありましたか?>」


「対象の裏仕事をしていた背が高いほうと低いほうは始末できたであります。ですが――――、秘書を逃してしまったであります」


「<緊急配備の必要がありますね>」


「既に配備依頼はかけてあります」


 そう言い終わると、裏口に居た警官は、急いで事件に関わっていた長友議員の秘書を追いかけて行った。




----------------------------------



―尾野 駿視点―



 片仲議員が死んだ!?


 こんな……あっさりと?


 マジかよ。


 ……。


 …………。


 ……ははは、


 はははははははははは!!!


 片仲クソ狸じじいめ。随分とあっさりと死んだものだなぁ。


 所詮は主人公に手も足も出なかった雑魚キャラ。


 銃撃戦の詳細は知らないが、この世界でも大した抵抗もできずに死んだのだろう。哀れなものだ。




 しかし、今回は今までとは違い、俺が現場に行かなくても何とかなったという点が素晴らしい。

 まぁ、俺には銃撃戦の中に突っ込んでいく勇気は無いから行きたくもないんだがな!


 これも全て佐々木刑事達のお陰だろう。


 まさか、こんなに素早く、力技で解決してくれるとは思わなかった。


 最初からこうやってくれたら俺は何度も病院のお世話にならずに済んだのに。


 あっ、そういえば俺が事件を解決していったからゲームバランスが崩れて俺の有利にできるようになったんだっけ?

 最初からは無理だったってわけか。







 まぁそれよりもこれで事件は後一つとなったわけだ。



 最後の事件。内容はイギリスからの留学生人身売買事件を食い止めるだけだ。

 これでようやく帰れるのだが、実は一番の山場である事も理解している。


 敵は銃を違法所持した犯罪者達。

 実際にどう立ち向かって良いのかわからない。

 だが、今回の片仲議員の件で、この世界の警察は思った以上に派手に行動してくれるのはわかったので、適当に連中の事をでっち上げて情報をタレコミすれば、また佐々木刑事が何とかしてくれるだろうと思う。


 さて、原作による最後の事件の被害者は、イギリス人留学生『イリス=フリュード』という女の子。


 彼女は原作通りだと長友議員の件が解決した翌日に俺が通う学校へ来る予定だ。


 とりあえず知り合い位にはなっておこうと思う。


 しかし彼女は別のクラス、2年A組に所属する予定だ。

 俺のクラスはB組。教室は近いが、態々会いに行くのは不自然だろう。

 どうやって近付こうか。


 無理であれば、単にタレコミだけして様子を見ればいいだろうか?

 うーん、悩み所だが、佐々木刑事には電話をしておこう。


「……ん? 繋がらない?」


 何度コールをしても佐々木刑事は電話に出ない。


 もしかして、片仲クソ狸じじい議員の件で後始末で忙しいのだろうか。


 それであるならば仕方がない。


「日を改めた方がいいかな?」


 まぁ、転校して来て直ぐに誘拐が起きるわけではない。


 明日、電話をして事情を話そうかな。


 こういった非常事態でも、喚いたり慌てないで落ち着いて余裕を見せるのが大人というものなのだよ。


 ちなみに俺は現在見た目は17歳であるが、精神年齢は24歳なので立派な大人だ。

 そもそもこの世界に来て様々な危機的状況を乗り越えてきているので、これから先、ちょっとやそっとこの事では動じないだろう。

 僅か2週間ではあるが、精神は急成長しているだろうと自負している。

 その為、今の俺は人を気遣い、冷静な判断ができる。うん、まさしく現在の俺は理想的な大人なのである。



プルルルルルル。



 電話が鳴った。

 しかし俺の携帯ではない。


「あっ、私ですわ」


 着信音は長友さんの携帯からだった。


 長友さんはその電話に出ると、


「はい。―――――えっ? あ、はい。私は大丈夫です。――――――はい。今は真希ちゃんの家に来ていますわ」


 と、誰かと話し始めた。


 誰だろう? お父さんかな?


「分かりました。では、待ってますわ」


 そう言って長友さんは電話を切った。


「だぁれ? お父さんから?」


 と、真希が長友さんに問うと、


「いえ、私の父がもっとも信頼している秘書さんから電話がありましたわ。全てが片付いたから、私を迎えに来るとの事です」


 そう答えた。


 ……えっ? 秘書!?


 ちょっと待て。

 長友さんのお父さんの秘書って、この事件を起こそうとした犯人の一味じゃ……?


「えっと、長友さん。お父さんの秘書さんって何人も居るの?」


 俺は最悪の事態を想定して聞いてみると、


「えぇ、5人程秘書さんがいますわ」


 と、言う。


 そうか……。ならばこの事件を起こした秘書では無い?


 原作では長友議員を陥れた時点で片仲議員の所へ転がり込んでたはずだ。


 ならば、銃撃戦に遭遇しているはず。


 この家に向かってきている秘書というのは誰だろうか?




「<臨時速報です>」




 と、テレビにはニュースキャスターが焦った様子で原稿を読み上げようとしていた。

 今度はなんだ?


「<ただ今入ったニュースによりますと、銃撃戦のあった片仲議員の事務所から関係者と思われる人物が逃走いたしました。現在、逃走をしているのは長友議員・・・・の秘書である。『大林おおばやし 空慶くうけい』容疑者です!>」


 ぎぃやぁあああああああ!!!!


 嫌な予感しかしねぇえええええ!!!!


 直ぐに長友さんの方を見ると、顔を真っ青にしているではないか。


「な、長友さん! も、もしかしてさっき電話がかかってきた相手というのは……」


「大林さんですわ……」


 いやぁああああああ!!!!


 嫌な予感が的中してしまった。


 これはもう拙い。

 長友さんの居場所が奴にバレてしまった。


 そもそもなんでこの状況であいつは長友さんに連絡をしたんだ?

 まだ長友さんを狙っているのか?

 計画はもう失敗したんだから長友さんを狙う理由なんてないだろ!


 と、いうかあいつの名前、初めて知ったぞ。

 ゲームでは名前も出てこなかったからな。


「大林って奴はこの家の場所知ってるのかい!?」


 俺がそう長友さんに聞くと、


「あ……、はい。大林さん、この家に何回か迎えに来たことがあるから……」


 ひぃぃ!


「ここに居たらまずい! いや、その前に佐々木刑事に電話を……」


 俺はひとまず電話をかける。

 が、


「クソがぁぁあ! 何で出ねぇんだよぉ!」


 コール音は何度もかかるが、一向に電話に出る気配が無い。


 さっきから何やってんだ!


 こっちは余裕がねぇんだよ! さっさと出ろよ!!


「俺からの電話っていやぁ、緊急事態か重要な情報ばかりだろうにっ!」


ドガン!!


 俺はイライラが一気に頂点へと達し、拳を机に叩き付けた。



「駿! ど、どうしたらいい!?」


「早くここから理音ちゃんを逃がさないと!」


「理音! 早く警察へ!」


 父、母、真希もこれでもかという程慌てている。


 そうだ!


「親父! 車持ってただろ!?」


 俺はこの世界に来て初日にこの父親の車に乗った事を思い出す。


「あ、あぁ」


「それで地の果てまで逃げるんだよぉ!!」


 ゲームの中の敵キャラは、化け物化が進んでおり、現在は何処までおかしくなっているか予想がつかない。


「地の果てって……」


 父親が何を言っているんだという顔をするが、


「いいから逃げるんだよぉ!!!」


 と、強く怒鳴れば、体をビクンと跳ねさせて慌てて車の鍵を探している。


「くそっ、最悪この家は放棄するしかねぇな……」


 俺がそう言いながら家を見渡す。


「兄貴、家を放棄するってどういうことなんだ……?」


 訳が分からないという顔をする真希。


 認識があまい。あますぎる。野和さんのストーカーだった半田でさえ、窓ガラス一枚と扉をぶっ壊したんだぞ。


「あった! 鍵、あったよ!」


 埃だらけで、髪の毛がボサボサの状態の親父が鍵を掲げて戻ってきた。


 あんた、普段何処に鍵をしまっているんだ?


「よし、直ぐに乗ってこの家から脱出しよう! 明かりは付けたままで、鍵をかけて家を出よう。少しでも時間を稼ぐんだ!」


 家が暗かったら逃げたと直ぐに気付かれるからね。


「わ、わかった! うぅぅ……あとローンが10年残ってるのに……」


 そんな事言ってる場合か!

 父親が渋々といった様子で玄関へと小走りで向かう。


 俺は玄関に置いてあった父親のゴルフクラブを護身用の武器として一本持ち、


「おい! 駿、それは俺の大切な……」


「うるせぇ!!」


「うぅぅ……」


 泣くんじゃないよ!


 残りの面子も玄関を出て、車庫へと向かう。

 車庫と言っても簡易的な屋根が付いただけの代物だ。


「五人乗りの普通車でよかった……」


 我が家の車を見てそう思う。

 都会の生活では車が要らないと思ったけど、こういう時には便利だよな!


 全員車に乗り込み、エンジンを掛ける。


 乗り込んだ席は、父が運転席。助手席が母。後部座席は父の後ろが真希で、真ん中が長友さん。そして俺が母の後ろだ。


「い、行くぞぉ」


 力が抜けるようなヘロヘロな声で父は車のエンジンを掛ける。


 車は車庫から出て、車道へと移ったその時。俺は何気なく窓の外を見た。


「ゲッ!」


 なんかすごい速さで走ってくる人物が見えるんだけど……。


 おいおい。もしかしてあれは。


「親父。ヤベェ! 早く出ろ!!」


「え?」


 え? じゃねぇんだよ。え? じゃ。


 そう思っていると、既に車は車道に出てスピードを上げている。


 だが、


「んい!?」


 俺は窓に映った人影に驚く。

 その直後、


ガシャーーン!!!


「「「きゃぁああああああ!!」」」


 割れる後部座席の俺側の窓。


 女性陣達の悲鳴。


 車のスピードに合わせて走る大林と思われる人物。


 この短時間でかなりの危機的状況になってしまった。


 そして割れた窓ガラスの多くが俺に当たって痛いっ!!



「おぉぉぉぉおおいぃぃぃーーーー! りぃぃぃおぉぉぉんんんんーーーーー!」



 その男は、車内の理音を見ながら、低いような高いような複数の声が混じったような変な声で窓から語りかける。


「「「いやぁあああ!!」」」


 女性陣はパニックになり、


「な、なんだ!? なにが起きたんだ!?」


 父親は状況を確認しようと振り向こうとする。


「親父は運転に集中しろ! こっちは何とかする!」


「お、おう」


 なんとかすると言っても根拠の無い発言であるが、今、父親に事故をされた場合、逃走手段が削られてしまう。

 ここは俺が本当に対処しなくては……。

 すると、男は窓を覗き込み、



「一緒にぃぃぃぃ、子供をぉぉぉぉ、作ろぅぅうううーーーーー」



 と、にんまりと不気味な笑顔を作って力強く言った。


 テメェも変態の一人かよ!!


「ひ、ひぃぃ! お、大林さん。ど、どうしてぇぇ……」


 俺の隣に居る長友さんは顔を青くし震えながら問う。

 それにやっぱりテメェ大林かよ!

 片仲議員議員の事務所ってかなり遠かったよな?


 いったいどうやってあの距離をこの短時間で移動できたんだ!?


「決まっているだろぉぉおお!? 愛し合っているからだよぉぉぉぉぉ」


 いや、愛し合ってはいないだろ!? それは一方的な愛でしょ!?


「今からぁぁぁぁぁ。ここでぇぇぇぇ、作ろうかぁぁぁぁ?」


 迷惑すぎる。


「も、もしかしてぇぇぇ、こ、子供のぉぉぉお、作り方がぁぁぁぁ、分からないのかぁぁぁぁぁぁいぃぃぃ?」


 さっきからセクハラ発言しかしてないぞこいつ。

 身体能力が高くなるのと比例して知能も落ちてねぇか?


「子供のぉぉぉお、作り方はぁぁぁぁ、まずぅぅぅ、僕がぁぁぁぁ、裸になってぇぇぇぇぇ――――」


 それ以上言わせてなるものかっ!!


「テメェ一人で自分の息子を慰めてりゃいいんだよぉぉおお!!」


 俺はそう訳の分からない事を口走り、思いっきり後部座席の扉を開いて蹴った。


 扉は勢い良く開かれ、窓枠に捕まっていた大林は、そのまま押される形で歩道の方まで強制的に移動させられ、


ゴガン!!!


 大林は電柱と思いっきりぶつかる。


ドガン!!


 ついでに後部座席は反動でかなり強く閉められた。


 うぉっ、危ねぇ。俺の脚を挟むところだった。


「駿!? 今凄い音しなかった!? へこんでない!?」


 父親が上ずった声で聞いてくる。


「あぁ、しっかりへこんで、窓ガラスも割れてるよ。ついでに鍵もかからない」


「うぅぅ……」


 だから、泣くんじゃない!


「駿……あんまり下品な言葉は」


「正直ドン引きだよ……」


 母親と真希が抗議してくる。


「うっ……。仕方が無いだろ。今回は」


 あんた等もアイツの口から性に関する知識を聞かされたくはなかっただろうに。


 すると今度は、


「ま、真希のお兄様……」


 震えた声で俺を呼ぶ長友さん。


「ん? あぁ、駿でいいよ」


「えっと、駿さん……。あれ……」


「あれ?」


 長友さんは後ろを見ていた。


 後部座席の奥の窓からは全速力で走ってくる人物が一人見える。



「…………うわぁぁぁぁあああ!! まだ生きてたぁぁぁあああ!!」



 情けない話だが、俺は悲鳴を上げてしまう。

 なんと、大林はまだ俺達を狙っているようで、走って追いつこうとしているではないか。


「準備はぁぁぁ、いいかぁぁぁああい? 今からぁぁぁ、出すよぉぉぉぉ」


 何をだよっ!?

 そこからじゃ届かないだろう。

 飛距離的に当たったとしても車体が限界だろう。


 あいつ、親父の車を妊娠させる気か?


「嘘だろアイツ。おい、親父、もっとスピードは出ねぇのか!?」


「で、出ないよぅ」


「このポンコツがぁああああ!!!」


 俺がギャーギャー騒いでいると、



ババババババババババ。



 爆音を発しながら何かが車の上を通過する。


「へ、ヘリが凄い低空飛行して通過した!」


 と、父が驚いていた。


 俺も後部座席の窓から見えた。


 大林もヘリコプターの存在に気付いたようで、慌てて引き返そうとしていた。


 それでも、ヘリコプターは真っ直ぐ大林の方へと突っ込んで行き、



ズドォォオオオオン!!!




 そのまま大林に当たったヘリは爆破炎上をしたではないか。




「「「…………」」」




 一部始終を見ていた俺、真希、長友さんはその光景に開いた口が塞がらない。


「い、今の音って何!? もしかして墜落したの!?」


 助手席に座っていた母親がそう言って後ろをみて、


「ひぃぃ!」


 と、燃え盛るヘリを見て驚いていた。


「チュンチュン!」


「うぉ!?」


「今度は何だ!?」


 突然雀が一羽車の中に入ってきた。

 ちゅん太だ!……と、思う。


 俺が驚くと父親も驚いていた。


 ちゅん太がここに居るって事は……。


「親父……。止めてくれないか?」


「えっ? ここで!?」


「あぁ。頼む」


 俺は車を止めてもらい、ゴルフクラブを持って外へと出る。

 後部座席左側の扉はダルンダルンになってしまっている。


「駿さん!」


「長友さんは外に出ないで。皆も! いつでも逃げられるようにしてくれ」


 俺はそう言ってヘリの残骸に近付く。


「こりゃひでぇな……」


 炎は勢いを増して燃えている。


 爆発が怖いからあまり近付かないようにしよう。


「……ん?」


 なんか声が聞こえる。


「ハハ、ハハハハ。ギャハハハハハハ!!」


 笑い声!?


 すると、燃えている人間が残骸の中からヨタヨタと歩きながら俺の方へと近付いてきた。


 おいおい。しぶとくねぇか!?


「フギャハハハ、ウケケケケケケケケケ」


 俺はゴルフクラブを構えると、


「チュンチュン!!」


 目の前でちゅん太が俺の邪魔をする。


「前が見えないって。攻撃するなってか?」


「チュンチュン!!」


 ちゅん太は俺の言葉に反応を示し、目の前を飛ぶのを止める。

 どうやら本当に燃えている人物を攻撃するなと言いたいようだ。


「……あれ? もしかしてあの人!」


 良く見ればヘルメットを被っていた。


「ヘリのパイロット!?」


 そう分かったとしてもどうしようも出来ない。


 火を消そうと思っても消火器もなければ水も無いのだ。

 というか、なんで笑ってるんだ? あれは悲鳴なのか?


「うひゃひゃ、うひゃ……うひゃ……」


 パイロットと思われる人物は、笑い声が弱くなるとバタリと倒れてしまった。


「おいおい! 拙いって。どうしよう、どうしよう!」


 俺が慌てていると、


「う……あ……」


 と、呻き声が聞こえてくる。


 よし、まだ生きているな……。早く水を……あれ? 今の呻き声、パイロットとは別の方向から聞こえてきたような……。


「う……あぁぁ……り、りお……ん。僕、達の子供……を……」


 なんとヘリコプターの残骸から別の人間が這い出てきたではないか。


 台詞から分かる通り、コイツは大林だ。


 大林も体中が炎で包まれながら俺に近付いてくるのだ。


「コイツは!!」


 コイツは殺してもいいだろう。

 そう思ってゴルフクラブを振り上げ、いつでも殺れる準備をする。


 だが、


「到着! で、あります!」


 自転車に乗った警官が一人、俺と大林の間に割り込む。


「えっ?」


 またもや邪魔をされてしまったのだが、


パンパンパン。


 警官は腰のホルダーから拳銃を取り出し、3発の銃弾を大林に浴びせた。


「えぇぇ……」


 これにより大林は物言わぬ死体へと変わった。


 なんとも呆気ない終わり方である。


 俺が振り上げたゴルフクラブの行き先は失われ、ゆっくりと下げて地面へ当てる。


「ご無事で何よりであります! さぁ、後の事は我々に任せて君はお家に帰るであります」


「えっと……。あ、はい」


 まぁ、そう言われたら帰るしかないよね。


 俺は、黙って車の方へと戻っていく。


 ちらっと後ろを振り返ると、警官がヘリコプターのパイロットに敬礼をしていた。


 助けられなくて申し訳ない……。




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