第24話 情報が入ってこない
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※2019/05/17 12:36
学校に着くと、強烈な眠気が襲ってきたので、午前中の授業は全て睡眠時間に当てた。
現実世界の学生時代を思い出すなぁ。
学校の先生の声って何故か子守唄レベルで睡眠を誘うんだよ。俺は以前、何度その声による睡魔と闘った事か……。今回は負けたけど。
庄平は学校に着いてから俺に事件の内容を聞きだそうと必死だったが無視をした。
だって眠いんだもん。頼むから休ませてくれ。
そして昼休み、
目を輝かせながら近付いて来る庄平にうんざりしていると、
ピンポンパンポン。
昼休みの放送中、お知らせ音がスピーカーから聞こえた。
皆、何事かとその放送に耳を傾ける。
最近色々あったからなぁ……。警戒するのは当然か。
どうか変態が暴れているとか、そういった内容ではありませんように……。
「<2年B組。尾野 駿さん。至急生徒会室までお越し下さい>」
……。えっ? 俺ぇ!?
なんと、放送は生徒会からの呼び出しだった。
「ちぃぃ! また聞きそびれた」
庄平は悔しがっている。
何だか可哀想になってきた。
今度俺が眠くないときに話してやるとするか……。
まぁ、庄平には何かとお世話になっているし、彼だけになら話しても問題は無いだろう。
「ちょっと行ってくる」
俺は誰に対してという訳ではないがそう呟いて教室を出て行った。
ところで、生徒会室って何処だっけ?
以前行った事があったので、記憶を辿りながらなんとか生徒会室へ到着した。
「失礼します。2年B組尾野 駿です」
「どうぞ」
聞き覚えがある声で返事があった。
俺は引き戸を開けて中へと入る。
中に居たのは生徒会長の光明院 桜と以前来た時に扉を開けてくれた生徒会役員と思われる少女であった。
「えっと、その節はどうも」
とりあえずそんな言葉が出た。
光明院 桜関係のイベントを解決した俺にとっては既に彼女には用は無い。
よって呼び出された理由は分からなかったが、
「あぁ、うん。お昼休み中に申し訳ない。実は君に礼を言おうと思っていてね。
本当ならば、私自ら君のところに行くべきなんだけど、まだ事件の詳細は詳しく発表されていない事が問題でね。生徒会役員は少しだけ先生達から教えてもらったけど、事件内容が想定よりも大きくてね……。後々発表はあるだろうけど、今はあまり人に聞かれたくはなかったんだ」
一瞬どの事件の事かな。と思ったが、直ぐに紫藤の件だと思い至る。
教師たちはどこまで生徒会役員に情報提供をしたのだろうか。
盗難の所までは知らせて、盗撮の件は言ってはいないとか?
被害者は多いだろうからな。不用意にこの話を広めてしまったら、校内は今更ながら大混乱かもしれない。
「今回の事件、解決してくれてありがとう」
光明院さんはそう頭を下げて礼を言った。
確かに最近は周りに聞かれたらよろしくないような事件が多発しているので、こういう場所で話してくれた方がありがたい。
「い、いえ。当然のことをしただけですから」
と、俺は平凡な返答しか言えなかった。
雰囲気が重い。
要件がそれだけならば、早く帰りたいが……。
「実は君にいくつか聞きたい事があってね。君は最近、僅かな期間の内にいくつもの事件に巻き込まれているようだ」
「えぇっと、はい……」
え? なに、もしかして苦情か? あんまり学校で問題を起こすなってか? いやいや、この学校の生徒や教員に問題児が多すぎるんだって。
そう思ったが、
「私は君が事件を察知する能力に長けていると見ているんだ。どうかな? 今後この学校で事件は起きそうかな? それだけを確かめておきたかったんだ」
「あぁ。そういうことでしたか」
なるほど。生徒会長としてあらかじめ学校で起きそうな事件を把握しておきたかったという事だろう。
しかし、これから起きる事件は生徒会長の手に余る。
だから俺はこう答えた。
「ははは、そんな能力ありませんよ。偶然です。今後この学校で事件なんて予想もできませんよ」
と、答えておいた。
実はこれからあなたを慕う後輩が政権争いに巻き込まれるんですよー。なんて事は言えない。
「そうか……、分かった。ありがとう。今日はすまないな態々足を運んでもらって」
「いえいえ」
俺は愛想笑いをして、
「では、お昼を食べなきゃいけないんで」
と言って教室へと戻った。
失礼な帰り方かもしれないが、うまく誤魔化しきれただろうか……。
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―尾野 駿が出ていった生徒会室にて―
「…………」
光明院 桜は尾野 駿が出ていった後の扉をしばらく眺めていた。
「どうかしたの?」
桜はそう昼食をこの部屋で食べる為に弁当を広げている書記の女子生徒に声を掛けられてハッと我に返る。
「ん、いや。なんでもないよ。それよりも早くお昼を食べちゃおう」
そう言って弁当を取り出す桜に書記の女子が、
「尾野……君だっけ? 彼に何か気になる事でも?」
「……」
書記の女子の質問に一瞬戸惑いを見せる桜。
そして弁当の準備を中止し、
「うん。実は彼が隠し事をしているんじゃないかと思ってね」
桜がそう言うと、
「桜のそういう勘、結構当たるからねぇ~。だったら、なんで彼はこれから事件が起きそうって事を隠しているのかなぁ?」
不安そうな書記の女子。
「分からない。実はそういった勘が最近鈍ってきているんだ」
「え? どういう事?」
キョトンとする書記女子。
「ん。あぁ、いや。大した話じゃないんだ。ほら、今まで私は人と話すと不思議とその人が何かを隠していたり嘘を言っていたりってのが分かるって言ってたのを覚えているかな?」
「もちろん」
書記女子は深く頷く。
「なんだかねぇ……。最近その感覚が鈍ってきているんだぁ。最近人と会話するとまるで言葉を話す人形を相手しているみたいな感覚で……。前回も含めて尾野君に会って久々に人の感情が伝わってきたという妙な感覚なんだよねぇ」
「ん~……んん?」
どうやら書記女子は桜が言っていることがいまいち理解できていないようだ。
「風邪を引いたとかかな?」
必死に考え付いた理由を述べる書記女子を桜は可愛く思い、
「フフ。あはははは」
と、あまりにも可愛らしい回答に笑った。
一方笑われた書記女子は、
「あぁ~っ! 馬鹿にしてるでしょ!!!」
と、怒っていた。
「あはははは、いや、ごめんごめん」
「もうっ!」
書記女子はご立腹なようだ。
そんな書記女子を笑顔で見ていた桜であったが、その笑顔にはどことなく寂しそうな表情が隠れていた。
その理由は今まさに話をしている友人である書記の女子にも、なんとなく感情を感じられない事が原因であった。
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―尾野 駿視点―
「ふぅ、間に合った」
俺は慌てて弁当を食べ終え、次のイベントに向け行動をしようとしていた。
「あんまり早く食べると体に悪いよ」
「……まだ時間はある」
そう野和さんと三田川さんから注意を受けたが、のんびりしてはいられないのだ。
「気をつけるよ……。そういえば坂江さんの姿が見えないなぁ~」
俺は自然を装い野和さんに質問をする。
「え? あぁ、そういえば」
どうやら野和さんも気付いていなかったようだ。
「おいおい。これ以上ハーレム要因を増やす予定か?」
などと庄平が俺の後ろで冷やかすように呟いた。
俺は最初の頃とは違い、既にハーレムを作ろうとなんてしていない。
元の世界に帰ればこの関係は自然と無くなるのだ。
冷めていると思われるかもしれないが、俺は一刻も早く帰りたい。
だが、彼女達にはせめてこれ以上苦しみを味わってほしくも無い。
もしかして、俺って自ら苦労を作るタイプなのか?
「いや、いつも野和さんと坂江さんは一緒に居たから気になっただけだよ」
「ふぅ~ん、そうかぁ~」
庄平はジト目でこちらを見てくる。
疑っているのか?
そんなやり取りをしていると、昼休みが終わりの時間に近付いてきた。
教室に戻ってくる生徒達。
その中には坂江さんの姿もあった。
教室に戻ってきた坂江さんは明らかにいつもの調子とは違っていた。
元気いっぱいだった昨日までの姿と違い、今日は表情が暗い。
俯き加減で目が充血している。
これは……。
「の……彩香」
おっと。危ない危ない。
危うく苗字で呼ぶところだった。
「うん」
どうやら野和さんも坂江さんの状態に気が付いたらしい。
慌てて坂江さんのところへと駆け寄って行った。
これで俺のところに不自然じゃない形で情報が入ってくるだろう。
後は……佐々木さんに報告をして、坂江さんの憂鬱の原因となっている人物の暴走を止めれば良い。
放課後。
「どういう事だ!? 話せないって!」
俺は今、校舎裏で野和さんを問い詰めていた。
現在、俺と野和さん、そして何故か付いてきた三田川さんの三人がその場に居た。
別に野和さんに坂江さんの身に起きている状況を聞かなくても、ゲームをプレイしていたので何故坂江さんがあんなに暗い表情をしてたかは知っている。
だが、聞かずに行動をしてはなぜ知っていたかと怪しまれても困るので、不自然にならないように俺は野和さんに情報を聞き出そうとしたのだ。
「…………」
野和さんは黙ったままだ。
俺は野和さんに坂江さんから聞き出したであろう情報を教えてもらおうとしていた。
「野和さん。黙ったままなら分からない。理由ぐらいは説明して」
三田川さんは厳しい口調でそう野和さんに言った。
「……約束したから。坂江さんに他の人には絶対言わないって」
そう野和さんは決心をしたような目で俺と野和さんを見ながら言った。
「これが駿の為なの。これ以上駿には危ない目に遭ってほしくないから……」
野和さんはそう言った後、
「私は帰るから」
と言って帰ってしまった。
「俺の為……?」
その言葉で理解してしまった。
どうやら坂江さんと野和さんは俺を巻き込まないように今回の事件を秘密にするらしい。
そうだよな。
俺は今まで散々事件に関わる度に怪我をしたり危ない目に遭っている。
クソッ! 余計な事を考えたなっ!!
心配してくれるのはありがたいけど、それだと俺は元の世界に戻れないかもしれない。
「大丈夫?」
俺の焦った表情を見てか、三田川さんが心配そうに俺を覗き込む。
「ん……あぁ、うん。大丈夫だ」
問題は無い……はずだ。
接点が無くなっただけでこれから起きることは知っている。
最善の方向に進めなくなっただけで前に進めなくなったわけじゃない。
こうなれば、独自のルートを駆使して調査したとか何とか言って、無理やり事件に介入しようか?
そう考えていると、
「もし尾野君が望むなら私が聞いてくるよ」
「え? マジっすか? ……だけどそれじゃぁ野和さんや坂江さんを騙す事になるんじゃ……?」
三田川さんから意外な提案を受けた。
「私は貴方に恩返しがしたい。貴方が望むならなんだってする」
「お、おぅ……」
なんだかヤバイ方向に三田川さんは覚醒してしまったようだ。
というか、この覚醒方向なんか見たことあるな……。
あっ、そうかこのゲームの鬼畜主人公に従っていた感じに似ている! これ、本当にヤバイんじゃ?
それでも、この件を頼れる人なんて他にいないと思う。
「そ、それじゃぁ、頼もうかなぁ」
なんとなくそう言ってみると、
「わかった……。何をしてでも聞きだしてくる」
本当に行ってくれるんだ。
「あ、脅迫とかそういうのは無しね!」
俺はそう慌てて付け加えた。
「…………分かった。調べたら貴方の携帯に電話をする」
今の間はなんだろう……。
本当に分かっているのだろうか?
「あぁ、了解。じゃぁ、電話番号を教えるよ」
とにかく自然な流れにできる希望はできたが、それを当てにしなくても動けるようにしておこう。
なにせストーリーの流れは覚えているんだからな……。
琴音:「はい、ということで今回もやってきました特別解説役の琴音です」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:雀の形をした式神、ちゅん太です。
琴音:「では今回の解説に参りましょう」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:よろしくお願いします。
琴音:「今回は私が尾野さんと最初に出会ったあの不思議な世界について説明をします」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:一面綺麗な水と石の柱が立ち並ぶ世界のことですね?
琴音:「はい。あの空間の名前は『狭間の世界』という名前です」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:美しい世界だそうですね。
琴音:「『狭間の空間』はとある神様がゲームの世界と現実世界を繋ぐために作ってくれた空間なのです」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:それは心強いですねぇ。
琴音:「あの空間であれば、私のような退魔の能力がある人間であれば問題なく立てる場所です。ちなみに男の人であれば私並みの能力者でもかなり辛い空間でしょう」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:それはどういう……? それに、あれ? 尾野さんは……?
琴音:「男性に辛いという理由は、あのゲーム世界に接触している影響で、"ゲーム世界に登場するヒロインと同じ年代の女性に対して酷い行いをしたい"という誘惑が一気に襲いかかってくるからです。
尾野さんはあのゲームに対して強い抵抗力を持っています。あのゲームの誘惑に負けないぐらい、あのゲームの内容が嫌いですからね」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:ほほぅ。尾野さんは誘惑に打ち勝てる精神の持ち主なのですね。と、いうことは、琴音様と一緒に行動している神澤という男の人は、琴音様よりもお強い能力者なのですか?
琴音:「いいえ。私より能力は低いわよ?」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:えっ。それはどういう……。
琴音:「あの人、見た目が10歳以下の女の子にしか興味がないペド野郎なの。ゲーム世界のヒロインは皆10歳以上の見た目だからねぇ」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:えぇぇ……
琴音:「ちなみに神澤は自宅の神社で、齢300の見た目10歳以下の幼女の子狐妖怪と暮らしているよ」
ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:ひぇぇ、お、お巡りさぁああん!!




