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鬼姫の曼珠沙華  作者: 紫木 千
第二章 『竜宮編』
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【第二章】竜宮の結界

 見知らぬ長い廊下を歩き続け、弥生は額に汗を浮かべ、一人唸っていた。


「これは……迷ったというやつか」


 もしかしたら永遠に彷徨い続ける羽目になるのかもしれない。


「師走様どこにいるんだろー…。この際、皐月でも良いから、誰かいないかな」


 一人に慣れていない。

 いつもは卯月に引っ付いていたし、たまに皐月と喧嘩をして、師走の手伝いをして……。それが弥生の日常だった。


 とりあえず、真っ直ぐ進んで行けば、誰かに会うだろうと思い、また歩み始める。



「どういうことだよ、師走」



 突如聞こえてきたのは聞き覚えのある声と名前だった。

 皐月の声だ。それに安堵し、声の聞こえてきた部屋へと向かう。


「卯月の魂がない……?」


 弥生はある部屋の前でピタリと足を止めた。

 襖越しに、皐月の困惑した声が聞こえる。


「卯月は……成仏していないのか?」





 師走は難しい表情で頷く。


「もちろん、この世に未練があるという可能性も考えられますが……。もしくは、魂がどこかに縛りつけられているのか…………」


 その言葉に眉を顰め、皐月は怒りを堪え切れぬ様子で拳を震わせた。


「誰かが……卯月の魂を縛ってるって言うのか………」


 これ以上言えば、皐月は神聖な竜宮の屋敷を壊しかねない。

 それほどまでに、皐月は怒りを顕にしていた。

 師走はあくまでも、可能性だ、と念を押したが、皐月は構わず立ち上がった。


「待ちなさい、皐月」

「何だよ師走………。俺の命などどうなったって構わない。ただ……卯月だけは………!」


「卯月はお前に生きてほしいと願ってた……。それはお前が一番わかっていることですよね」


 師走の言葉に一瞬迷いを見せた。だが、構わず皐月は部屋の戸を開いた。


 目の前にいる鬼に驚き目を見開く。


「弥生……!」


 弥生は俯いたまま、唇を噛み締めている。


「聞いてたのか……?」


 皐月の問いには答えない弥生。

 恐らく聞いていたのだろう。


「皐月は……卯月様を助けに行くの?」


 弥生の問いに答えの出ない皐月は戸惑う。

 だが、そんな皐月に構わず、弥生は話を続ける。


「どこへ? どうやって? 誰から卯月様を助けるの?」


 立て続けに問われ、皐月は尚も俯いたままの弥生を凝視する。

 その様子は、いつもの弥生には見えなかった。

 まるで陽だまりにいそうな性格の弥生が、こんなに暗い表情をするとは思えなかった。


「弥───」

「卯月様………私は………あなたがいなくなったら…………もう……」


 ぶつぶつと呟き、膝から崩れ落ちた弥生。

 皐月は弥生を腕で抱きとめ、顔を覗き込む。


「師走……!」


 師走が駆け寄る。

 弥生は気絶している。最大の存在であった卯月を亡くしてからというもの、弥生の心は病んでいるようだ。


「皐月、今は落ち着いて。卯月のことはもう一度、皆で話しましょう」

「………仕方ねーな」


 皐月は弥生を抱えて、部屋まで連れて行く。

 師走も立ち上がり、その後を歩いていく。


 師走の中には、様々な不安があった。


 まず一つは、卯月だ。

 魂がまだこの世を彷徨っている。もし、未練があるのなら、弥生と皐月のことだろう。

 なら、真っ先に、二人がいる月火神社へ向かうはず。なのに、卯月の魂は見かけない。

 つまり、何処かに縛りつけられている可能性は高くなる。



 そして、もう一つ。

 ───美月だ。

 いくら文月の生まれ変わりとは言っても、人間があれほどの戦闘力を持っているものだろうか。

 だが、鬼神の生まれ変わりとなれば別だ。

 彼女は特別であり、異質と言っても過言ではない。


 そして、長年生きてきた師走だけがわかること。

 滅を司る鬼神は、不幸な人生を辿る。つまり、その身まで滅ぶ。


(姫様………母上のような人生を辿らぬように………)


………………………


 翌日。

 やっとというべきか、全員があつまり、宴に参加した。


「姫様!」


 懐かしの声が聞こえ、振り返れば、小桜が抱きついてくる。その後ろを無表情の小雪が歩いてついてくる。


「ごめんね、心配かけて。二人は大丈夫?」

「はい!私達は大丈夫です。姫様…」


 小桜は大好きな人に頭を撫でられ、喜びのあまり、涙を流し始める。

 小雪は美月をじっと見つめた後、隣にいる優を睨みつける。


「……で、貴様は何だ」

「絶対言われると思った」


 優と小雪の間に火花が飛び散る。

 嫌な予感がして、美月は必死にその場を収めようと言葉を選ぶ。


「あのね、小雪。優には沢山お世話になったんだよ」

「へえ………」


 世話になったとはどういうことだ。

 小雪は優を更に訝しげに見つめる。

 姫に手を出したら許さないという密かな脅迫を視線で伝える。


「やあ、賑やかだね」


 穏やかな口調の美青年の鬼とその後ろにいる茶髪の鬼。

 美月はその鬼を見た瞬間に弾かれたように駆け寄る。


「兄様…!」

「美月、もう大丈夫かい?」

「はい!」


 いつもは見せないような、美月の意外な一面。

 そんな美月の頭を撫でながら、水無月は微笑んだ。

 それを目の当たりにして小桜と小雪の目は驚きに満ちていた。


「一つ、言うことが」


 優は人差し指を立てて、双子に忠告する。


「あいつの兄の後ろにいる奴を警戒しとけよ」


 双子は首を傾げ、水無月の後ろにいる、彼の親友である神無月を見つめる。


「姫」


 神無月が美月を呼ぶ。

 だがその次の行動により、小桜と小雪、そして一番警戒していた優の中に、密かな殺気を生み出した。


「いつ祝言をあげてくれるのかな?」


 美月の両手を取り、如何にも夫婦のような目を向ける神無月。

 美月は少し考え込むとにっこりと微笑んだ。


「……冗談ですよね?」

「いや、本気だ」

「冗談ですよね?」

「本気で惚れた」

「冗談ですね」


 美月はさっきから同じ言葉を繰り返す。

 これは何を言っても聞かないな、と神無月は考え込む。

 それよりも、さっきから美月の後ろにいる者たちの威圧が半端ない。


「仕方ないなー…」


 神無月は名残惜しそうに美月の手を離す。

 水無月は呆れ返り、溜息をつく。


「神無月。美月はお前のような男は選ばないよ」


 水無月の言葉に、美月は心の中で何度も頷く。

 とりあえず、『出会ってすぐに好き』はないと思う。


 神無月は特に気にすることなく、歯を見せ笑っていた。



 全員が月の順に席につく。

 弥生、皐月、水無月、美月、神無月、師走の順だ。

 小桜と小雪は美月の側に控えており、優は美月の要望で彼女の隣に座っている。


 明らかに以前よりも仲が深くなっている優と美月を不審に思っている小桜と小雪だが、今はそのことについては触れないようにした。


「これほど集まるなんて、滅多にないことだね」


 全員の顔を見渡し、水無月は綺麗な顔で微笑む。


「水無月が楽しそうで何よりだな」


 そう言って歯を見せる神無月。いつもへらへらと笑っているが、これだけは本心で言っていることが悟れる。

 神無月は、水無月の唯一の親友だ。


「師走様。君も来てくれて嬉しいよ」

「水無月様に久しぶりに会えるのですから、当然ですよ」

「父上には、最近会ったかい?」


 水無月の言葉に、美月は反応する。


「百年前にお会いしてからは姿が見られません。大変お忙しいらしく、専属護衛である私でさえも、知ることのできない極秘任務が多々あると」


 師走は微笑む。

 まさか師走でさえも会えないのだ。

 長男、長女である、水無月と美月も、随分と会ってない。


 睦月の存在は謎だ。それに、睦月の弟にして、葉月と長月の父である、如月の行方もわからない。


「そうか……。仕方ないね、父上は頭領にして、睦月の名前を授かりし鬼だからね」


 水無月は少し残念そうに呟いた。


 美月も、前世の記憶はあやふやだが、父親の存在を確かめてみたかった。

 無性に会ってみたくなる。


「おーい、水無月。そろそろ、話をしたらどうだ?」


 神無月が右手を挙げ、提案をする。

 そうだった、と苦笑し、水無月は鬼神たちへと向き直る。


「君たちを竜宮に呼んだのは、勿論、妹に会うためでもあるんだけど……」


 水無月は真剣な眼差しで告げた。


「竜宮の異変についてだ」



………………


 水無月の言葉を聞いた瞬間。

 鬼たちの反応は不思議そうに首を傾げるばかりである。


「竜宮は、心の汚れてる者を拒む。竜宮門は特にね。僕は病を治すために、この清き都に来たわけだけども」


 水無月は自身の胸に手を当て、語る。


「つまり、そういった汚れを拒むここは、結界が強く張られているんだよ。だけども、その結界はここ最近弱まりつつある」


 それが竜宮の異変か。

 鬼たちはそれぞれ反応を示し、水無月の言葉に耳を傾ける。


「今は、守を司る神無月がその結界を補っているけど、いつ、異形者が侵入してくるのかわからない。それに、あれほど強い結界が弱まるなど、あり得ない」


 水無月は人差し指を立てた。


「一つ可能性として考えられるのは、外部による妨害なんだ。竜宮の一角にそれぞれ結界石があるんだけど、それらは全て破壊されていた」


 優はそこで眉を顰めた。

 彼の反応に気づき、美月は横目で彼を見つめた。


 何か知ってるのだろうか。


「ここは、父上の配下にあるんだけども、この都の主は僕でもあるからこの問題は必ずしも解決しなければならないんだ。皆力を貸してほしい」


 水無月は眉間に皺を寄せ、苦々しく語る。


「その影響によって、多くの死者が出たんだよ」


「死者……?」


 師走の言葉に水無月は頷く。


「結界を突破し、竜宮の住人を暗殺した者がいるんだ」


 その場にいる全員が固まってしまった。

 まさか、侵入者がいるとは。


「殺された者たちの中には、共通していることが二つあるんだ」


 水無月は指を二本立てる。


「一つは、壊された結界石の近くに住んでいること。襲われる可能性が高いだろう。そしてもう一つは、都でも評判の美人さんであること」


 二つ目の共通点を聞いた瞬間、全員眉を顰める。

 美月は顎に手を添え、頭の中を整理した。


 つまり、結界の弱まったこの竜宮の中に、侵入者が入ってくるのは予期していた事態だ。

 だが、襲われる条件が美人であることとは、一体犯人はどういうつもりなのだろうか。


「一体、どういう意図があって美人を狙うのかわからないけどね。更に疑問なのが残酷なことに、殺された者は体の一部がなくなっている」


「水無月様、気になる事が」


 そこで、師走が困惑した様子で語る。


「私は死んでいった者たちの魂をある程度把握しておりますが、竜宮からの死者など、初めて聞きましたよ」


 それには水無月も驚きに満ちた目を見開いた。


「そうなのかい?でも確かに竜宮に住む若い娘が沢山死んだんだ」


 そこで皐月は、昨夜師走に告げられたことを思い出す。


 ───卯月の魂が見当たらない。


 魂を司る師走は、死んでいった者たちの案内人であり、その者たちのことは把握している。

 だが、師走が自分の子のように育ててきた卯月の魂を見つけられない訳がない。


 卯月がこの世に縛り付けられ成仏できない。

 これは、竜宮を騒がせている美人狩りとそっくりであった。


「儀式」


 神無月が顎に手を添え呟いた。


「若い娘の体の一部と、魂をも狙っているんだよね? これって儀式っぽいなーって俺思うんだよね」


 そして、神無月は口の端を吊り上げる。


「こういうの、生還術の類っぽいね」


 彼の言葉によって全ての疑問が解消されたのだ。


「へえ、神無月って頭が回るのね」

「お、姫。惚れ直した?」

「まず惚れてない」


 今初めて神無月を褒めた美月だったのだが、神無月の一言で一気に冷めた。


「確かに。蘇りの儀式が目的なら、この不可解な出来事にも頷ける」


 水無月は納得したように頷く。

 どうやら大当たりの予感がする。


 だけど、一度殺して儀式でまた生き返らせるなんて変なの。

 考え込んでも、答えが出てこない。美月は肩を落とす。


「明日は、僕と神無月と疾風とお蝶が結界石を見張りに行く。結界石は七箇所ある。それで、皆にも依頼したい」


「それなら、私と皐月も参ります」


 師走の言葉に皐月は顔を上げる。

 どうやら、師走は皐月の心理がわかったようだ。

 これに、皐月は心の中で師走に感謝した。


「師走様、弥生は?」


 弥生が首を傾げる。


「まだ疲れが残っているでしょう」


 師走が念を押すと、弥生も大人しく頷いた。


「兄様、私は?」


 何か考えがありそうな美月に水無月は首を振った。


「美月は竜宮で待つんだ」


 水無月は心配そうに言った。

 兄として、妹の安否だけは確保したかった。

 美月としては少し残念がっているようだが。


 明日の予定が決まったところで、宴は再開された。




………………………



 竜宮の長い廊下を歩きながら、皐月は銀の簪を見つめる。


「皐月は気づいたんだね」


 突如聞こえた声に皐月は不機嫌そうに眉を顰めた。


「神無月………」


 茶髪の鬼は、腕を組んで皐月と向かい合う。


「卯月の魂が成仏していない理由が、今回の件と関わっているってところ?」

「お前……何を知って……」

「ちゃんと調べたよ。卯月を殺した奴のことも」


 神無月は口角を上げる。

 卯月を殺した。その言葉に皐月は握っている銀の簪を震わせる。


「歴代の文月に憑いて回ってる雪女。初代文月の妻。夫を殺された恨みでこの世を彷徨っている可哀想な妖かし。復讐されても当然だけどね」


「それが何だ。俺は雪女に復讐など………」

「本当にそう思ってる?」


 神無月の言葉に溜息をつくと、皐月は銀の簪を懐に仕舞い、腕を組む。


「お前何のつもりだ」

「ちょっと。俺の方が年上なんだから、もう少し敬意を表してくれるかな」

「然程変わらんだろう。問いに答えろ」


 神無月はおかしそうに口角を上げた。

 それは皐月を苛立たせるのに十分だった。


「俺は唯の遊び人じゃないんだ。勿論、早く犯人を見つけないとこの竜宮の安全は保たれなくなる。それに、君が卯月にぞっこんなのは知ってたよー? だから協力しようって言いたいんだよ」


 確かに、神無月の話は何も間違ってはいない。寧ろ的確な判断であり、協力性もある。

 だから皐月は何も反論ができない。


「まあ、竜宮の美人狩りと卯月の件は関わりがあるだろうな。協力しようじゃないか」

「流石、物分りが良くて助かる。俺も竜宮に住んでいる以上は、竜宮の安全は早めに取り戻したいんからね」


 神無月は皐月の横を通り過ぎ、去り際に腰に手を当て歯を見せ笑った。


「聞き分けの悪い餓鬼が、随分と大人しくなったものだな? 皐月」


 その言葉には流石の皐月もムッとした顔で神無月を睨む。

 神無月は構わず廊下の向こうへと去って行った。



………………………


「ねえ、優?」


 部屋へ戻る途中だった。

 美月は隣にいる優に気になることを話した。


「さっき、竜宮の結界石が壊されたって言ってたときに何か様子変だったよね」


 優は俯き、話すか迷っていた。

 だが、相手が美月だからか、話す決意は早かった。


「予知夢だよ」

「へえ、優って予知夢見るんだね。じゃあ今回のことを夢で見たんだ」

「お前って理解力が早すぎて怖い」


 褒められたということにしておこう。

 美月の微笑みに優は眉を顰め、話を続けた。


「前世の頃からだ。毎日ではないけど、たまに予知夢を見る。今回のは、結界石が何者かによって破壊されたことと、死んでいった者たちの魂狩りだな」


 魂狩り。つまり、竜宮を襲った犯人は殺していった者の魂を奪い、我が物にしているのだ。

 しかし、美月はあることに気づく。


「優って、人間?」

「それお前が言うか」

「霧の部族って陰陽師に似たような感じなのかな……?」

「まあね。だけど、俺のは違う」


 優は俯きがちになり、呟いた。

 それが気になるが、美月はあえて触れなかった。

 もしも、美月も鬼の生まれ変わりである。彼と同じく普通とは違う、異質なものがある。


「優は、いつから記憶があるの?」


 美月の質問に優は少し考え、すぐに答えを出した。


「五歳ぐらい? だから周りから浮いてたな」

「えっ…精神年齢いくつなの…」

「何で引いてんだよ、お前も言えないし」


 五歳の時点で、前世の記憶があるのなら、今の年齢から考えて、精神的にそんなに若くはないだろう。

 だが、想像したらおかしくなり、噴き出してしまった。


 そんな美月に優は鋭い視線を向ける。


「なんなんだよ……」

「つまり、優は私よりも年上だね」


 微笑む彼女から目をそらす。

 恐らく、これは優の照れ隠しである。


「優の部屋ここだっけ」

「ああ…」

「そっか。また明日」


 美月は優に微笑みかけ、自分の部屋へと向かう。

 その後ろ姿を見つめながら、優は熱くなっていく自らの顔に戸惑いながらも部屋へと足を踏み入れた。



 美月の後ろに控えていた小桜と小雪……。

 ていうか、双子は確かに後ろで今の優と美月を見ていた。


「夕霧め……」


 羨ましげに呟かれた双子の声を聞いた者はいなかった。




………………………



 密かに。

 そこにアジトがあった。


 闇に潜むように。表の世界から忘れ去られたかのように。


 そして、忘れ去られた闇に住まう妖かしたちは不敵に微笑んでいた。


「あんた……また身も知れぬ魂を拾ってきたのかい?」


「唯の……そこらの面白くもない魂とは違う。貴様の目は節穴か」


 小馬鹿にするような女の声と、不機嫌な男の声が聞こえた。

 そして、その会話に面白そうに加わるのはまだ年若い声だった。


「今度はどんな奴か? 面白いのか!?」


「いつもの、美女の魂だ。………まあ、あの鬼に敵う奴はまだいないな……」


 だが、男は唇の端を吊り上げ、微笑む。


「だが………滅を司る鬼姫も、美しいと聞いた……。鬼神となれば、この術式は成功するかもしれぬな……」


 男の言葉に女は呆れ返る。


「もう好きにしな……。あの方の許可を頂けたらの話よ」


 妖かしたちは、闇に潜み、動くその時を待ちわびている。

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