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鬼姫の曼珠沙華  作者: 紫木 千
第二章 『竜宮編』
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【序章】


 どこかで、誰かの泣き声が聞こえた。まだどこかあどけない、幼い声。


『──どうしたんだい』


 少しだけ、大人びた声が聞こえた。


『転んで怪我をしたの……』


 幼い声が、助けを求めるかのように、もう一人に縋り付く。


『このくらいの傷なら、手当てをすればすぐに良くなるよ』


 それでも声は泣き止まない。

 やがて、もう一人はため息をつく。


『仕方ないな。おいで、僕がおぶって行くから』


 その声はとても優しく、あたたかい。そして、とても懐かしかった。


『母上には内緒にしてくれる?』

『どうして?』

『このくらいで泣いてたら、怒られちゃうから……』

「母上はそんなことで怒ったりしないよ。まあ、黙っておいてあげる』


 大好きなその背中におぶられながら、幼い声は眠たそうな声で、その人を呼んだ。


『──兄様』

『眠いのかい? 屋敷につくまで寝ていなさい』


 幼い少女は、そこまま夢の中へと入り込んでしまった。











「…………」


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