プロローグ
ぜひ読んでください!
珍しく夢を見た。とても儚く、美しい夢だったのを覚えている。
具体的な内容こそ覚えていないが、きっと忘れてはいけない夢だったのだと少し後悔した。
なぜ忘れてはいけなかったのか。それについて語るには、僕についての経緯を話す必要があるのだろう。
最初に、僕には小学校四年生以降中学一年生までの記憶がなかった。いや、記憶というよりも思い出と言い換えた方が伝わりやすいかもしれない。だがそれは事故に巻き込まれた後遺症とか、病気のような何かとか、漫画とかによくある、頭に大きなショックが来たとかではない。なんというか抜け落ちたかのように記憶がないのだ。僕自身にも何があったのか分からないのでそれ以外に説明しようがないのだ。そこは理解してもらいたい。
だが、都合のいいことに別段日常生活で困るようなこともなかったし、勉強に関しても平均点がとれるくらいの点数はとれた。
現に記憶が抜けてから四年たった今でも普通に友達と過ごしているし、そこそこの高校にも通うことができた。
では、その記憶と夢との関係についてだが、夢というのは頭の中にある記憶の整理中に見えるものである。たとえ自分があまり思い出せないことでも、夢の中では関係なくその情報が映し出されることがる。
いやいや、そもそも記憶がないのなら夢を見ることもないだろうと普通の人は考えるはずだ。だが、胡散臭い自称:魔法使いのおっさん曰く、
「君の記憶はないんじゃあない。君の記憶は分かりやすく言うと、魔法によって造られた箱の中に閉じ込められたんだ。魔法は物を造ったり、生み出したりは出来るが存在を消すことは出来ないからな。つまりその箱をこじ開けることができれば、君は失われた記憶を思い出すことができる。こじ開けるきっかけは、その記憶に関する出来事があった時や、夢に記憶を整理された時とかかな。」らしい。
そして、魔法とかいうよくわからないものを僕が簡単に信じれたのは、僕が記憶を失われた前、つまり小学四年生の時に魔法がつかえたことを夢で思い出したから言えるのである。
では、僕がおっさんにあうまでの経緯を話そうと思う。