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一条兼定奮闘記  作者: 鉄の男
2/21

第一話 願い

更新の速さは月一を目指していますが、私情によりバラバラです。

遅かったり早かったり・・・・・。

なんとか更新の速さを統一したいものです・・・・

「ここはどこだ・・・?」


そう思ったのは主人公である田中圭太である。

彼は現代日本で居眠り運転をしていたトラックにより引かれた。

本人は死んだかと思っていたが、目を覚ますとどこも痛くない、

むしろ起き上がりたいのに起き上がれないという訳が分からない状態にあった。

というよりなんというべきか、目に見える世界がとても広いのだ。


「一体どういうことなんだ・・・俺は確かトラックに轢かれて死んだはず・・、それに俺はどうしてこんな赤ん坊みたいな・・・・って・・・え?」


彼は今の自分の状態に気付いた、それはまさしく赤ん坊であり近くでは人の声が聞こえる、そんな雑音の中に「やったぞぉ!!ついに儂も父親になったわ!」という声もあれば「これで一条家は安泰ですな!、あとは殿がこの土佐を統一すれば全て安泰ですぞ!!」という声もある一方「しかし赤子はとても弱い、運が悪ければすぐに死んでしまうかもしれませぬ、殿!早急にお二人目を!!!!」という声も聞こえたが、すぐに「わかっておる!わかっておるが・・千代がの・・・少し体調が

悪いと言うておるんじゃ、なのですぐには無理なんじゃ・・・」という声が聞こえた。


「千代?、誰なんだろう・・・?」


そう思っていたら襖が大きな音を立てて開いた。

どうやら先ほどから聞こえていた声の主だろう。

するとその中の一人が早歩きで俺をいきなり抱き上げた、

さすがにいきなりだったので俺はびっくりしてしまった。


「おお!!!こやつ目を開いておるぞ!!何とも可愛げのある顔たちじゃ・・・、こやつは将来とても顔立ちの良い将になるかもしれんぞ?」


抱き上げた男はとても立派な顎鬚を蓄えながらそう答えた


「殿、初の我が子というのはわかりまするがもう少し威厳よくしてはもらえませぬか?、近くにいる小姓たちが変な目で見ていますぞ」


そしてもう一人の男・・・見た目的には若い印象が目についた男が目をしかめながら、それでも苦笑いをしながらそう言葉を発した。


「うるさいのう分かっておる、今日くらい許せ、すぐに千代にも見せてやりたいがあまり体調がよくないからのぅ・・・元気になった暁に見せてやるとしよう」


「はっ、ではこの子の名前は何にいたしますか?」


若い男がそう質問すると顎鬚か生えている男はこめかみに手を当てて2分くらい考え込む、そして大声でいきなり男にこう叫んだ。


「よし!万千代にするかの!!!お主たちもこれからそう呼ぶように」


すると若い男、そしてその後ろにいた数人の男たちはその答えに応じて「はっ!」と顎鬚の声に負けないくらいの声で叫んだ。

そしてそのあとその顎鬚の男はこの部屋にいる者たちに続けてこう言った。


「宗珊、そしてお主たちもよいな?、われらが目的は土佐の統一よ。東の方には安芸や本山がおるが奴らはじきに滅ぶであろうな」


その言葉に男は答える。


「それはなぜでございますか?、奴ら以外に有力な国人などおりませ・・・」


そこまでいうと宗珊という男は顔を引き攣らせた、そしてすぐに言葉を続けた。


「・・・長宗我部・・・でございますか・・?」


その答えに顎鬚は頷く。

その頷き方は先ほどまでの軽い感じではなく、まさに戦国大名としての風貌を醸し出しながらの頷きだった。


「本山家の陰に隠れているが、長宗我部国親は侮れぬ。奴は昔我が一族である房家殿に養育されておる。房家殿はとても素晴らしい御方でな、国親が本山に岡豊城を攻め落とされた後国親を保護し、後に国親を支援して岡豊城に復帰させておる。国親はそのあとただひたすら家の再興に力を尽くしておる。」


そこで顎鬚は言葉を一区切りした後、また話し始めた。


「だが我らも負けてはならぬ、国親に遅れず策を練り、この西土佐を奴ら東土佐より栄えさせ、民草が安心して商業農業を励める国にしていかぬとな。儂の願いはそれだけよ。」


もちろん一条家を栄えさせることも忘れてはならぬ。顎鬚はそう言葉を締めくくった。


そのことを聞きながら俺は驚くしかなかった。

驚いたのは顎鬚がそこまで考えている事についてだ。

史実では兼定が7歳の時に色々言われているが房基は死んでいる、そして俺はそのあと酒に溺れ一代で一条家を潰してしまった。

転生したとはいえ顎鬚が・・・いや親父がこんなにも土佐のことを案じておきながら死んだという事が無念でならないし、こんな父親を持ちながら酒に溺れた史実の兼定にはあきれてしまう・・・。


俺が何とかしなければ・・・酒なんてものに溺れず、親父が広げてきたこの一条家を栄え続けさせなくてはいけない・・・・。


そんなことを考えていると不意に声を出してしまった、俺からしてみれば「やってしまった」と思ったが、赤ん坊であるので「あーうー」としか言えなかった。

そんな俺の声に顎鬚・・・親父はさっきまでの戦国大名オーラを一瞬で消した後、また俺に近づいてきて・・・。


「おぅおぅわかっておるぞ~お主も儂の話を聞いて土佐を心配してくれておるのだなぁ!よしよしいい子じゃいい子じゃ!。おぬしが元服して立派に儂の後を引き継いでくれれば儂も安心じゃ!、はやく大きくなるんじゃぞぉ!」


そういいながら親父は俺を抱き上げながら大きな声で笑う。

それを見ていた宗珊は「また殿が子バカになってしまわれた」といったが、その言葉に悪意は無く、本人自身も「万千代様をなんとしても守っていかなければ・・・」とつぶやいていた。


「よし、大きくなるためには飯をたんと食わねばのぅ!。沢山乳を飲むんじゃぞぉ!」


そういって親父は俺を元の場所に置いて笑いながら襖から出ていくと近くにいた男たちも親父について出ていった。

そしてすぐ隣にいた宗珊も「万千代様、また後でお会いしましょう」と赤ん坊である俺に頭を下げて襖から出ていった。

俺は「ものすごく礼儀正しい人物であることには違いない」と思いながら、侍女しかいない部屋で深い眠りにつくのであった。



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