自由の証
No.2
「それじゃ行ってきます」
僕はそう行って家を出た。
学校からは歩いて十分くらいだけど、わざと遅く歩いた。
少しでも学校に近づかないためだ。
でも確実に学校へ向かってる。
僕の学校の生徒達が楽しそうに通学している。
その姿が少し羨ましく見えた。
学校や学校の生徒が一番嫌いな僕は羨ましく思ったんだ。リュックが不思議と熱を帯びているように感じた。例のナイフの力なんだろうか。徐々に校門に近づいていく。そして運が悪い事に俺を苦しめ続けた同じクラスのヤツらがいた。僕は立ち止まりその場で吐いてしまった。僕が吐き出した汚物をみた生徒達は
「大歓声」
を上げ、その汚物の酸っぱい臭いでみんな逃げていった。そしてその生徒達の叫びによってヤツらが僕を見つけ走ってこっちへ向かってきた。僕は動けなかった。そしてヤツらはニヤニヤしながらこう言った。
「待ってたよ。寂しかったぜ。」
そしてヤツらに腕をしっかり捕まれ学校へ向かった。
ヤツらは僕の腕を掴んだままニヤニヤして笑っているだけだった。そして僕の教室につくと他の生徒達もニヤニヤして待っていた。僕は恐怖で泣くことすら出来なかった。ヤツら僕の席を連れていくと僕の机に指を指した。机にはこう書かれていた。
「おかえり。僕達のオモチャ。君が死ぬまで遊んであげる。」
僕の心臓が耳で聞き取れるくらい鼓動を立てた。そして僕はようやく思い出した。僕も
「オモチャ」
を持っている事に。僕はヤツらの腕払い、リュックからナイフを出した。教室中が静まりかえった。でも僕の頭では音楽が鳴り響いている。自由の音楽が。強烈に鮮明に繊細に過激に鳴り響いている。そして静まりかえった教室で静かにテレビのニュースだけが流れていた。
「……ラヴホテルの二階で20後半の男性が首から血を流しているのを従業員に発見され、110番通報されました。男性はほぼ即死の状態で従業員の話によるともう一人男性と泊まっていた女子高生が逃げていったとの事です。警察はこの女子高生が事件との関係があると見て、慎重に捜査を続けています。」