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サーヴィスの良いドローン

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/11

紙の本が高級品となり、街頭の監視ドローンが顧客の行動を24時間監視する近未来。人々はわずらわしいデジタル追跡を逃れるため、路地裏の古書店で密かに読書を楽しんでいた。

これは、ただ静かに本を読みたかっただけの男と、顧客満足度100%を追求しすぎる最新店舗AIとの、命がけ(?)の攻防の記録である。

最初は何処かに蚊か蝿の類が飛んできたのかと思った。しかし…それにしては羽音が大きい、とも思った。

 書店に立ち寄って小説の単行本を買って帰るその道すがら、のことである。

 羽音(と思われる音)はまるでわたしにまとわりつくかのように旋回しているようだった。軍所属の偵察ドローンな何かか?

 そう結論を出して上に視線を向けた。やはり、プロペラが4つついた大型のドローンてまあった。

 それは、やはりわたしに狙いをつけているようだった。

 偵察ドローンならまだいい━━。もしそれが自爆型ドローンで、この命を狙っているのだとしたらそれは大事だ。こうしてのんびり歩いているのは馬鹿の所業だ。

本を抱えて脇目も振らず路地に走り込み、物陰へ身を隠した。息を殺して見上げると、ドローンは旋回を止め、ゆっくりと降下してくる。決死の覚悟で「小説の単行本」を鈍器のように構えた。

しかし、ドローンから響いたのは威嚇音ではなく、電子音混じりの爽やかな声だった。

「お客様!先ほど書店で『ポイントカードをお持ちですか』の問いを無視されたため、追跡配信機能にて限定ポイントを付与しに参りました!」

命の危機ではなく、あまりに過剰な店舗サービスだった。


     【了】




最後までお読みいただき、ありがとうございます!

「紙の本が高級品になった未来でも、ポイントカードの追跡だけは全力で追ってくる」という、ちょっとおかしな近未来の日常を描いてみました。

命がけの攻防(?)の末にポイントを押し付けられた彼の災難と、健気すぎる店舗AIの攻防を楽しんでいただけていれば幸いです

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