君が咲く山①
日没、仕事を終え帰宅しようとした加山がふと異変に気づく。
己の車がない…どうやら、何者かに盗まれたようだ。
(チッ…まあいい。どうせあれも盗んだ車だ)
舌打ちをしながらも、またどこかの車を盗めばいい…加山はそう考え徒歩で帰路についた。
暗がりの公園を歩きながら、加山はなんとなしに辺りを見渡す。
いつもなら車で飛ばしている道中なので気にも留めないが、明かりも少なく見通しが悪い、人通りも少ない場所だ。
ここなら暗がりに乗じて悪事を働けるな、そう考え笑う加山だが…。
目の前に経つ人影がいくつかみえる。
その人影―近づくにつれわかったが、半グレのような集団がニヤつきながら加山の眼前まで迫ってきた。
「加山さん、車を盗まれたんだってね。
災難だねえ、日頃の行いが悪かったからかな?」
集団…5人ほどの半グレの中心に立つ角刈りの大男が、下品な笑みを浮かべ、加山に話しかけた。
その言葉を聞いて、加山はニヤリと笑う。
そうか。車を盗んだのはこいつらか。
つまり、計画的な犯行というわけだ。
「お前たちの後ろにいるのは誰だ?
山崎か?それともTOSHIKIか?はたまた他のゴミどもか?」
その言葉に角刈りは笑う。
「誰だよそいつら?知らねえなあ。あんたが悪かっただけだよ」
ハナから答える気はないというわけだ。
そう感じ取った加山も、ククク、と笑う。
「おもしれえ、いいじゃねえか。
言っとくがな、泣き叫んでも許すほど…。
俺は甘くねえぞ」
そう呟きジャケットを放り投げると、加山は狂気の笑みを浮かべ半グレ達に向かい合った。
次の日、Y市の海岸から散々暴行を受けた跡が遺る一人の男の死体が揚がった。
知る人はそれを加山だと知っていたが、特に誰も気にすることなくその事件は事故で片付けられた。
[君が咲く山/cali≠gari]




