RUDENESS
「おっと、酒が切れちまった…買いに行くしかねえか」
深夜12時、空になった4Lの焼酎ペットボトルを片手で持ち上げ加山が呟く。
今日開けたばかりだが、鯨飲馬食の加山の前ではこの程度の量、3時間と持たない。
普段なら山ほど酒のストックはあるのだが、無精で買いそびれてしまい、ついに底をついてしまった。
加山はのそりと立ち上がり、尻を掻きながらジャージのまま自宅のアパートを出る。
そして3か月ほど前に駅前から窃盗した、誰のものとも知れないスーパーカブに跨り近所のコンビニに出かけた。
コンビニのドアを蹴り開け、あくびをしながら入店する。
レジ前には数人の客が並んでおり、バイトが死んだ目でレジ対応をしている。
加山は焼酎やワイン、ウイスキーをありったけ、ひったくるようにカゴに放り込むと 、レジに並んでいた先頭の男性を蹴り飛ばし、自分の買い物カゴをレジに無作法に置いた。
蹴り飛ばされた客が激昂して起き上がり、加山に詰め寄る。
カゴの中の商品を会計する死んだ目のバイトを横目に、加山は自分の買い物カゴからウイスキーの瓶を片手にとり…。
詰め寄った客の頭にその瓶を全力で振り下ろす。
ゴキャッ、と鈍く嫌な音が響き、詰め寄った客は倒れ動かなくなった。
殴打の衝撃にも割れなかった瓶に、加山は感嘆の口笛を吹く。
そして返り血の付いたその瓶を再び自分の買い物カゴに放り投げた。
会計の計算が済み、バイトが金額を告げる。
加山はレジ袋に詰められた大量の商品を片手に持つ。
そして死んだ目のバイトの顔に唾を吐くと、金を払わず悠然と歩きコンビニを出て行った。
コンビニの駐車場。
先ほど頭を殴ったウイスキーの蓋を開け、加山はストレートで一気に喉に流し込む。
殴られた客は倒れたまま痙攣し、血は止まらず床に血だまりを作っているようだが、加山にとってはどうでもいいことだ。
加山はそのままスーパーカブに跨り、自宅アパートへ帰っていった。
しばらくしてコンビニにパトカーが止まる。
一部始終を観ていたコンビニの他の客が通報したのだ。
犯人―加山のことだが―の特徴を聴いた警察官が、ため息をついたように目撃者に呟く。
「ああ、こりゃ加山だな…。お客さん、今日見たことは忘れた方がいいよ」
世の中には知らない方がいいこともある、と告げるように、警察官は捜査を打ち切り、パトカーに乗り込んだ。
[RUDENESS/Lynch.]




