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Ash-ra

「か、加山、お前…」


指定された呼び出し場所、廃工場の一室に向かった山崎は、すでに到着していた加山を見て絶句する。

それもそのはず、目の前にいる加山は腕が左右に3本ずつ、顔も左右に1つずつの異形となっていた。

さながら神話に登場する「阿修羅」のごとき様相だ。


「驚いたか山崎?これが俺の実験の成果、その集大成だ。

 俺はついに神になったんだよ」


三つある顔の真ん中の笑い面ーいつもの加山の顔ーは、ククククと笑いながらそう答えた。


「…神を名乗る割には、ずいぶん無益な殺生もしたようだな」


辺りを見回した山崎がそう吐き捨てる。

周囲には、加山の『実験』の犠牲者となった哀れなものたちが放置されている。

犬の頭を腹に縫い付けられた中年男性や、頭ごと豚にすげ替えられた青年。

それ以外にも筆舌に尽くし難いほど残酷な亡骸の数々…。


しかし加山は何も気にすることもなく、クククと笑い続ける。

そして、頭を回転させ、右側の菩薩面ー悟ったような表情の加山の顔ーを正面に向けた。


「其がどうした?我は神ぞ。神に命を捧げるは人の必定。

 古来より人は神の供物也。悟れ、山崎」


と無表情で言い放った。


山崎は推測する。

なぜ加山が自分をここに呼んだのか。

答えは一つ…自分を殺す為だ。


確信を得た山崎に対し、加山は左側の最後の怒り面ー怒り狂った加山の顔ーを正面に向けた。


「山崎いいいいぃぃぃぃ!殺す!殺してやるぞ山崎!」


と周囲の空気を震わすほどの絶叫をあげ、山崎に襲いかかってくる。

しかし山崎は落ち着いて右ポケットのボタンを押す。


すると、瞬時に加山が大きな炎を上げて燃え上がった。


何が起こったのか理解できず悲鳴をあげる加山に対し、山崎は唾を吐きその場から逃げ去った。


「もしものために、加山に発火装置を仕込んでおいて正解だったな…やっぱり」


加山から発せられた炎により大炎上している廃工場を見て、山崎はつぶやく。

いずれ通報により警察が駆けつけるだろう。

いやそれより前に野次馬が集まる。

自分の姿は見られない方がいいと判断した山崎は、すぐにその場から立ち去る。


加山のことは気にすることもない。

どうせまた、何の理由もなく蘇り、敵対したり親友ヅラをしたりするのだろう。


「よし、イッパツ焼肉でも決めてくかァ」


廃工場を包む炎を見て夜食に思いを馳せ、山崎はまた夜の闇に消えるのだった。


Ash-ra/BUCK-TICK

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