97/113
時間制限
無慈悲にも、再び――
あの低く、感情のない声が頭の奥に直接響いた。
『遠坂太史。残り三〇秒』
「待てよ!!」
俺は反射的に叫んでいた。
「父さんは……まだ立ち上がれてないだろ!!
こんなの……おかしいだろ!!」
声を張り上げても、返ってくるのは沈黙だけ。
『遠坂太史。残り十秒』
その瞬間、かすれた声が、足元から届いた。
「……達也……」
父は、地面に伏したまま、
それでも必死に顔をこちらへ向けようとしていた。
「に……げ……ろ……
にげて……くれ……」
喉を裂くように、絞り出す。
「……頼む……っ……」
その一言が、胸に突き刺さる。
『遠坂太史。タイムオーバー。
打撃手。松野吉英』
宣告は、あまりにも淡々としていた。
次の瞬間――
和政が、歯を食いしばり、俺の腕を強く掴んだ。
「……達也くん……!」
震える声だったが、覚悟が滲んでいる。
「……もう無理だ……
ここにいたら……本当に殺される……!」




