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嘲り
「お前のせいでさ〜
早く終わっちまいそうじゃ〜ん?
気をつけてくれよ〜?俺さ〜、気が短いんだから〜」
「……やめろよ……」
俺の声は、怒りよりも先に、必死な懇願になっていた。
「……本当に……
このままじゃ……父さん、死んじまうだろ……」
男は一瞬だけ、わざとらしく目を丸くする。
「え〜?」
そして、次の瞬間――
子供をからかうような、下卑た笑みを浮かべた。
「死んじゃうよ〜?
そりゃ〜もう、死んじゃうかもね〜?」
胸に手を当て、芝居がかった口調で続ける。
「やだ〜悲しい〜
うえ〜ん、かわいそ〜」
その声には、欠片ほどの感情もこもっていなかった。
ただ、他人の絶望を弄ぶ快楽だけが滲んでいる。
「……お前……」
俺の唇からこぼれたその言葉には、
もはや言葉にならないほどの憎悪だけが詰まっていた。




