95/114
致命的
「……何、言ってんだ……」
俺の声は、怒りよりも先に、純粋な嫌悪で震えていた。
「……娘だろ……」
男は鼻で笑い、吐き捨てる。
「う〜ん?血〜、繋がってないだろ〜?
いけるだろ〜なあ〜郁美〜」
その一言で――
この男がやばい、ということがはっきりと刻み込まれた。
男の声を聞いた瞬間、郁美の身体が強張り、
恐怖と嫌悪から逃げるように、彼女は俺の胸に額を押し当てた。
――その光景を見た、その瞬間だった。
鈍い音が響く。
「バキッ!!」
男は一切の躊躇もなく、力任せに――
達也の父の腹部へ、凶悪な蹴りを叩き込んだ。
「ガッ……は……っ」
父の身体がくの字に折れ、そのまま地面に崩れ落ちる。
口元からこぼれ落ちた血を見て、内蔵系までダメージが及んだことがわかった。
「……父さん!!」
叫びが、喉を裂くように飛び出す。
和政は言葉を失い、その場で立ち尽くした。
桜は短い悲鳴を上げ、両手で口を覆う。
それを見下ろしながら、男は肩をすくめた。
「おいおい〜……
もっと、じっくり楽しもうと思ってたのによ〜」
ねっとりと、楽しそうに続ける。




