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冷静
「このまま戦ったら……
次は達也くんが殺されるかもしれないんだよ!?」
「達也くんのお母さんだって……
そんな結末を、望んでなんかいないでしょう!!」
和政の叫びは、悲鳴に近かった。
震える声なのに、不思議と芯があった。
「くっ……でもっ……!!」
胸の奥で、怒りと後悔と絶望が絡まり合って、
言葉にならない。
「達也!」
桜が、縋るように俺の腕を掴む。
指先が冷たく震えているのが伝わってきた。
「お願い……今は冷静になって……!
ここで突っ込んだら……達也まで……」
「……っ」
二人の手が、俺を現実に引き戻そうとしている。
それでも――胸の奥では、
今なお、怒りの炎が激しく燃え盛っていた。
「さあて〜……観客も揃ったことだし〜
そろそろ……次のゲーム、始めるか〜」
「次はそうだな〜……あ、いいこと思いついた〜」
男は指を鳴らし、楽しげに笑った。




