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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


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怒り

「お〜、いいぜ〜。

お前の父親を殺した後で、ちゃんと相手してやるよ〜」


男は楽しげに肩を揺らし、

舌なめずりするように笑った。


「達也くんっ!!

……一回、落ち着いて!!」


和政の声が、遠くから聞こえるような錯覚に陥る。


「落ち着いてなんか……

落ち着いてなんか…..いられるかよ!!」


振り返った瞬間、

胸の奥で何かが弾けた。


「母さんを……

母さんを……殺されたんだぞ……!!」


声が震え、言葉の最後は掠れて消える。

次の瞬間、気づけば俺は和政の胸ぐらを掴んでいた。


「お前に……わかるのかよ!!

この気持ちが!!」


指先に、布越しの体温が伝わる。

怒りの矛先が、守ろうとしてくれる相手にすら向いてしまうほど、

俺は怒りではち切れそうだった。


「達也くん……!」


和政は抵抗せず、

ただ必死に俺の目を見ていた。


「今の状況を……

ちゃんと考えて!!」


和政の声は、叫びに近かった。

俺の両肩を掴み、強く揺さぶる。


「達也くんのお母さんも……

お父さんだって……もう……」


言葉が詰まり、

和政は一瞬だけ視線を逸らした。

それでも、歯を食いしばって続ける。


「……あいつに、やられそうなんだよ!!

どう考えたって、あいつは異常だ!

普通じゃない!!」


和政の目は、恐怖と焦りで揺れていた。

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