88/113
殺意
——この瞬間、
俺の中で、何かが音を立てて壊れた。
「お……前……が……殺……した……のか……!?」
喉の奥から、潰れた声が絞り出された。
「だから〜……そうだって〜」
男は、まるで何度も説明した退屈な事実を繰り返すみたいに、肩をすくめた。
その瞬間だった。
考えるよりも早く、身体が前に出ていた。
「うああああああああああ!!」
ドンッ!!
鈍い衝撃が全身を貫く。
見えない壁に、真正面から叩きつけられた。
「くそっ……! 邪魔だあああ!!」
構わず、もう一度。
拳を、肩を、額を、何度もぶつける。
「うがああああああああ!!
今すぐ……今すぐ殺してやる!!」
ガンッ、と額を強く打ちつけた瞬間、
視界が白く弾け、温かいものが額を伝って落ちる。
「達也!! やめて!!」
背後から、強く腕を掴まれた。
「落ち着いて! 達也くん!!」
左右から、桜と和政が必死に俺の身体を押さえ込む。
「殺す……!
お前を……必ず殺してやる!!」
喉が裂けるほど叫びながら、俺は男を睨みつけた。
視界が滲み、眼球の奥が焼けるように痛む。
それでも、目を逸らすことだけは出来なかった。




