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光の門へ
「ここは危ないから光の門まで、みんなで行こう」
そう言って、俺は先頭に立って歩き出した。
足取りは早いが、誰も遅れることがないよう、何度も振り返っては三人の姿を確認する。
進む途中、視界の端にいくつもの異様な光景が映り込む。
鹿と鹿が角をぶつけ合い、
馬が嘶きながら地面を蹴り裂き、
時には――人間同士が、何かに取り憑かれたように争っている。
叫び声。
鈍い衝突音。
血の匂いまで漂ってきそうなほど、生々しい。
ここは本当に、現実なのか。
それでも俺は、目を逸らさなかった。
戦いの渦の中に、見覚えのある背格好がないか。
父の広い背中、母の細い肩がないか。
一つ一つ、必死に目で追う。
――いない。
胸の奥に、じわりと焦りが滲む。
それでも足は止めない。
今はまず、みんなを外へ。
親を探すのは、それからだ。
そう自分に言い聞かせながら、
俺は再び前を向いて歩き続けた。




