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両親
ここは一体何なんだ?
まるで本当の地獄じゃないか?
俺は心の底から湧き上がる、どうしようもない怒りに震えた。
早くここから出ないとダメだ。
また何か起こってからでは遅い。
俺は郁美と桜に、努めて優しい声音で言った。
「ここは危ないから、出口へ向かおう。」
幸い、光の門は丘を越えた少し先に見えている。
前回と同じなら、あの門を潜れば、外に出られるはずだ。
「そ、そうね……」
桜は一度うなずきかけて、
それでも踏みとどまるように俺を見た。
「……でも達也、ご両親は……探さなくていいの?」
心配を隠そうともしない声音だった。
「みんなを外に送り届けてから、少しだけ探すよ」
「……一人で……ここに残るの?」
「ああ……」
短く答えた瞬間、桜の表情が揺れた。
「……じゃあ、私も……」
「ダメだ!」
思わず強い声が出た。
桜が、びくっと肩を震わせる。
「何があるかわからない。
それに……これは、俺の問題だ」
少し突き放した言い方になったが、仕方ない。




