表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/113

黒いもや

「……もう、十分だろ……! もう二人の間に諍いはないから……!」


しかし、そんな言葉とは裏腹に、文の周囲に黒い靄のようなものが、じわじわと集まり始めた。


「……え……なに……?」


それに気づいた瞬間、文の声が裏返る。


「やだ……やだやだやだやだやだやだやだ!!

 やだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!

 いやああああああ!!」


黒い“何か”が、文の身体に絡みつく。


「文ちゃん!!」


郁美が駆け寄ろうとするが、見えない壁に阻まれて、それ以上近づくことができない。


文の悲鳴は、途中から言葉ですらなくなっていった。

靄は完全に文を覆い、次の瞬間――そこには、何も残らなかった。


……音も、気配も、存在の痕跡すら。


沈黙。


俺たちは、誰一人言葉を発せずにいた。


「……こんなの……」


桜の声が、かすかに震える。


郁美はその場に崩れ落ち、両手で顔を覆った。


「……ふ……み……ちゃん……?」


和政は目を伏せ、拳を強く握りしめていた。


俺も、何も言えなかった。

郁美は助かったはずなのに、胸の奥に残ったのは、勝利でも安堵でもなく――

ただ、どうしようもない後味の悪さだけが、胸の奥に残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ