二人の思い出
「……文ちゃん、大丈夫?」
「……」
「文ちゃん……覚えてる?
中学1年生の頃、初めて話した時のこと。
私がクラスで自己紹介した時、
私、緊張してうまく喋れなくて、怖くなっちゃって……
クラスのみんなからも変な目で見られて……
中学でも友達出来ないのかなって、絶望してたの。
そんな時に、
私、たまたま消しゴムを家に忘れちゃったんだよね。
どうしようって思って。
でも、周りに話しかける勇気なんてなかったから……
そんな中、隣に座ってた文ちゃんが、
私に黙って消しゴムを渡してくれて……
学校の人に親切にされたのなんて、初めてだったから。
私、戸惑って、変な動きしちゃって……
それを見て、文ちゃんが笑って
『どうしたの?』って……
それからだよね。
文ちゃんと仲良くなったの。
二人でゲームセンター行ったり、
映画見に行ったり、
お洋服買ったりして……
いつも文ちゃんと一緒だった。
文ちゃんにとっては違ったかもしれないけど……
私、嬉しかったんだ。
学校で初めて、
友達って呼べる存在が出来たから……」
「……」
「文ちゃんにとっては、
ただの気まぐれだったかもしれない。
でも私にとっては……
その気まぐれに、どうしようもなく……
救われたんだ……」
「……文ちゃん、ごめんね。
同じ学校に行けなくて。
limeも毎日送るって約束したのに、
出来なくてごめんね。
他にも文ちゃんをいっぱい……
苦しくさせてごめんね。」
言葉が、次第に詰まっていく。
「あと……電話……
出れなくて……ごめんなさい。」
最後は、ほとんど声にならず、
郁美は、その場で深く頭を下げた。
涙がぽつり、ぽつりと地面に落ちていく。




