自己中
「くっそ……! お前、一体なんなんだよ!
郁美は何も悪いことしてないじゃないか!
連絡を返さなかったとか意味わかんねーよ!
学校が違ったら、疎遠になったって普通の話じゃねーか!
お前はただ郁美に依存して、自分の都合のいいように
郁美をコントロールしようとしてる、ただの自己中人間だろ!」
「……あんたに……あんたに何がわかんのよ!
私たちのこと何も知らない癖に!
部外者がでしゃばってくんじゃねーよ!このゴミカス男!死ね!
どうせあんたもあれだろ!
郁美の体に魅せられて、正義感という名の仮面を被った
性欲にかられた脳内ちんこ野郎だろ!」
「なっ……ちげーよ!」
「脳内ちんこ野郎!
隣の桜とかいう女でしごいてろよ!
キモカス男!
私たちに関わってくるな!」
文が一通りの罵声を俺に浴びせている最中、郁美が割って入った。
「ち、違う!」
郁美が思わず一歩踏み出す。
「た、達也くんはそういう人じゃない!
本当に、私の命の恩人だし……
今もこうして、必死に助けようとしてくれてる!」
一瞬息を整え、言い切るように続けた。
「それに、文ちゃんには関係ないことだもん!」
普段は感情を表に出さない郁美が、
声を震わせてまで言い返す。
その様子に、場の空気がわずかに揺れた。
「……ふーん」
文は口元を歪め、値踏みするような目を向ける。
「あなた達、もう寝たんだね。なるほどー」
「ね、寝てない!」
「寝てないよ!」
俺と郁美は反射的に声を揃えて否定した。
その瞬間、互いに顔を見合わせてしまい、
言葉にしたせいで逆に妙な気恥ずかしさが胸に広がった。




