文の叫び②
「高校だってそうでしょ。
私と同じレベル受けようって
言ったじゃない」
「私じゃ東高は無理だから、
郁美が少しレベル下げてくれって……
私、お願いしたよね?」
声が、
少しずつ震え始める。
「それなのに受験当日?
『やっぱり親がダメって言うから』?」
「何それ。
私との約束より、
親の顔のほうが大事だったわけ?」
息を荒げながら、
言葉を畳みかける。
「違う高校行っても
毎日連絡しようねって言ったの、
覚えてる?」
「守ってたの、
最初の二、三ヶ月だけじゃない!」
「その後は?
私から送らなきゃ
何も来ない!」
「私がどんな気持ちだったか、
考えたことある?」
そして、文ちゃんは
一瞬だけ言葉を切り、
次の瞬間、
憎悪をぶつけるように叫んだ。
「……それでね。
先週の土曜の夜、
私、あんたに電話したの」
「……でも、
出なかったよね?」
「……その時、
何があったと思う?」
文ちゃんは、
笑っているのか、
泣いているのか
わからない表情で言った。
「私ね、
強姦されたの……
レイプされたのよ」
郁美が、
息を呑む。
「助けてほしくて電話した。
でも、あんたは出なかった……」
「そのあと、
携帯も壊されて……
好き放題されたわ」
そして、
低く、ねっとりとした声で続ける。
「全部、あんたのせい」
「私があんな目に遭ったのも、
独りだったのも、
裏切られたのも……」
「全部……
郁美が私を捨てたからでしょ?」
文ちゃんの瞳は、
もはや悲しみではなく、
**“自分が被害者であることを
免罪符にした憎しみ”**で
濁っていた。
文は、
泣き叫びながら、
訴え続ける。




