獄門内部
俺たちも急いで、
後を追いかける。
獄門の内側に入ると、
以前と同様、
そこは腐臭が漂い、
あちらこちらで
動物同士が争っていた。
「何ここ?」
桜は思わず
口元に手を当てた。
目の前に広がる光景が、
にわかには信じられない、
といった様子で、
しばらく瞬きを忘れて
立ち尽くしている。
足元の土はざらついていて、
踏みしめるたびに
乾いた音が
やけに大きく響いた。
まるで大地そのものが
水分を失い、
死んでしまったかのようだ。
周囲のあちこちでは、
理由もなく
炎が立ち上っている。
燃えているはずなのに、
熱はほとんど
伝わってこない。
赤黒い火が、
ただ揺らめきながら
空気を歪ませているだけだった。
枯れ木が無秩序に、
突き刺さるように
立ち並び、
枝先はどれも
空に向かって
歪に伸び、
助けを求めて
掴みかかってくる
腕のようにも見える。
地面には、
見たことのない
不気味な草が
点々と生えていた。
葉は黒ずみ、
ところどころ
血のような赤が
滲んでいる。
風が吹くたび、
擦れ合う音が
小さく鳴り、
生き物の呻き声のように
耳に残った。
そして、
どこからともなく
冷たい風が
吹き抜けてくる。
肌を撫でる
その感触は不自然で、
体温だけを
正確に奪っていくような
冷たさだった。
空は
どんよりと濁り、
時間の感覚すら
曖昧になる。
「……ここだ。
俺たちが話してた獄門。
とにかく、
急いで郁美を探そう」
「……う、うん」




