四日目
水曜日
とうとう“運命の4日目”がやってきた。
俺たちは、何かあれば一分一秒でも早く共有できるよう、
逐一Limeグループで報告し合う体制を整え、
万全の警戒で郁美の護衛に当たった。
火曜の夜、
郁美は桜の家に泊まることになり、
俺もすぐ駆けつけられるよう、
スマホを握りしめたまま浅い眠りを繰り返した。
何か胸の奥がざわついていたが、
幸い夜の間には何も起こらなかった。
翌朝、
俺たちは普段通り学校へ向かった。
校舎に差し込む朝日も、
昇降口に漂うほこりっぽい匂いも、
すべてがいつもと同じ。
それからも一日中、
授業を受けながら何度もスマホを確認し、
昼休みは桜と郁美の様子を
遠くから目で追い、
放課後まで何事も起きなかった。
――このまま、何も起きなければいい。
そう願わずにはいられない気持ちで、
俺は桜たちと合流するため校門へ向かった。
和政も、
別の学校からこちらに向かっているはずだ。
そんな時、
ポケットの中でスマホが震えた。
画面には──
桜からの着信。
「どうした!?」
「達也!
い、郁美が変なの!」
「今どこにいる?」
「B館裏の線路沿いの道よ!
ちょっ!郁美!」
グループlimeに
『学校の線路脇』
とだけ打ち込み、
ダッシュで桜たちの元へ向かう。
ここからなら、
3分もかからないはずだ。
桜たちの姿が見えた。
桜が必死に、
郁美の手を引いて止めようとしている――
だが、
その腕に宿った力は、
女子高生のそれとは
到底思えなかった。
桜の足がずるずると地面を滑り、
まるで重機に引っ張られているかのように、
逆らえずに引きずられている。




