お料理会
「じゃ、食べましょ」
テーブルに並べた料理は、
少し形がいびつだったり、
味が濃かったり薄かったりしたけれど、
みんなで顔を見合わせながら
ひと口食べた瞬間、
自然と笑みがこぼれた。
「うまっ」
「当然ね!」
勢いよく胸を張って言い放った桜だったが、
その口元はどうしてもニヤけてしまうらしく、
嬉しさが隠しきれていない。
その様子に、
郁美はふっと柔らかく目を細めた。
そんな穏やかな空気の中、
俺たちの小さな料理会は、
静かに幕を閉じた。
玄関での帰り際、
桜が振り返った。
「ねえ!」
「ん?」
「あなたが、
私たちをその優磨って人から
救ってくれたのよね?」
「ん〜どうだろうな。
和政が言うにはそうらしいけど、
俺もはっきりとは覚えていないからな」
「そう……よね。
で、でも……
あ、ありがとう。
そ、それだけよ!」
桜は照れ隠しのように、
プイッと体をひねり、
スタスタと先へ歩いていった。
その背を追うように、
郁美は小動物みたいな小走りで、
トタタタとついていく。
去り際、
ふとこちらを振り返った郁美が、
控えめにぺこりと会釈した。
「何だあいつ」
頬がじんわり熱を帯びているのが、
自分でもわかった。
その火照りをごまかすように、
俺は夜気を吸い込みながら、
玄関へ足を速める。
その日は、
久しぶりに熟睡することができた。




