魅力
「それにしても、達也。
親が帰ってきてないって言ってたけど、どうするつもりなの?
ちゃんとご飯は食べてるの?」
桜が腕を組み、呆れたようにこちらを見る。
「まあ……カップラーメンとかはあるし」
「いつまでもそんなもので済ませる気?
体壊すわよ」
「……まあな」
短く返すと、桜は小さくため息をついた。
「いいわ。
今日の夜、食料を買って持って行ってあげる。
私もタダで守ってもらうつもりはないから」
「え……」
その言葉に反応したのは、郁美だった。
「……じ、じゃあ、
わ、私も行きたい…です」
控えめだけど、はっきりした声だった。
「……そうね。
じゃあ二人で行きましょうか」
桜は少しだけ口角を上げる。
「よかったわね。
こんな美少女二人が、あんたのために料理してくれるのよ。
人生で二度とないかもしれないわよ?」
――否定できなかった。
確かに、桜と郁美は学校でも一、二を争う存在だ。
桜は、きりっとした切れ長の目に、すっと通った鼻筋。
光を受けると透けるような、白くきめ細かな肌をしている。
廊下を歩くだけで、周囲の空気が微妙に変わるタイプだ。
正直、そこらの女優より普通に綺麗だと思う。
一方の郁美は、幼さの残る顔立ちで、
小動物みたいな可愛さがある。
不安そうにこちらを見上げる仕草ひとつで、
思わず「守ってやらなきゃ」と思わせる、不思議な雰囲気を持っていた。
でも——特筆すべきはそのギャップだろう。
その年相応とは思えないほど豊満な胸元が、
見た目とのバランスを完全に崩していて、初見の脳には軽く衝撃を与えてくる。
しかし――
ここで素直になれない拗らせ童貞(俺)は、
「うるせー」
とだけ言い残し、
カフェを先んじて出ていった。




