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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: P


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36/68

ストーカー

俺は放課後までの時間、

どうやって桜を言い負かしてやろうか――

そればかりを考えていた。


校門に着くと、

すでに桜は待っていた。

そのすぐ隣に、

ちょこんと郁美の姿もある。


「ついてきて」


桜はそれだけ言うと、

振り返りもせず歩き出した。


郁美が一瞬だけ、

こちらをちらりと見てから、

トタタタッと小走りで、

桜の後を追う。


……罵倒から始まらなかっただけ、

まだマシか。


内心でそう思いながら、

俺も二人の後に続いた。


近くのカフェに入るなり、

桜は振り向きざまに、

ピシャリと言い放った。


「解きなさい!」


「……へ?」


「だ・か・ら!」


桜は一歩踏み出し、

俺を睨みつける。


「催眠術か何かをかけてるんでしょ!

それを解けって言ってるの!」


何を言ってるんだ、

こいつは。


俺が完全に困惑していると、

桜はスマホを突きつけてきた。


画面には、

さっき俺の元に届いたメッセージと、

まったく同じ文章。


「じゃあ、

何で私がこんな文を、

あんたに送るのよ!」


「いや、知らんけど……」


「やっぱり怪しい!」


桜は一人で納得したように、

声を荒げる。


「きっとあんたが、

何かしたのね!

私の推理だと――」


そこからは、

もはや止まらなかった。


「昨日、

私たちをストーカーして、

盗撮してたのよ!


それで河川敷まで、

ノコノコ現れて、

我慢できなくなったあんたが、

パンツ一丁で襲いかかった!


それを横で見てた、

あんたの友達が、

止めたのね!」


「ちょ、待――」


「証拠ならあるわ!」


桜は、

俺の左手を指差す。


「あんたの、その包帯!

友達ともみ合ったときに、

できた傷でしょ!?


それで、

全部なかったことにするために、

催眠術をかけて、


自分が助けたみたいに、

記憶をすり替えたのよ!」


「いや……」


否定したい。

否定しなきゃいけないのに、

言葉が出てこなかった。


正直、

自分でも記憶が曖昧だ。


どこから、

どう説明すればいいのか、

わからない。

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