警察
「動くな!」
怒号が河川敷に響き、警察が拳銃を構えてこちらへ走り込んでくる。
「抵抗するな! 両手を上げて、その場で膝をつけ!」
「違う! 俺たちじゃない!」
必死に叫んでも、状況が状況だ。
聞き入れられるはずもなく、気づけば俺たちの手首には冷たい手錠がかけられていた。
すぐに警察は桜たちへ駆け寄り、保護するように声をかける。
俺たちはまるで助けを乞うように、桜へ縋る視線を向けた。
泣き腫らした目のまま、桜は震える声で警察に事情を説明してくれたらしい。
「……いや〜、ごめんね。」
数分後、警察はすっかり態度を変え、申し訳なさそうに頭を下げてきた。
「あ、いえ……大丈夫っす。」
こんな状況なら誤解されても仕方がないと思う。
手錠はすぐ外され、服も着直すことができた。
ほどなく救急車も到着し、俺の左手の怪我を確認したが、幸いひどいものではないらしく、
現場で簡単な処置だけしてもらい、ようやく落ち着きを取り戻した。
そのとき、桜と郁美がそっとこちらへ歩いてくる。
「達也……本当に、助けてくれてありがとう。」
桜の目元はまだ赤く、涙の跡が残っている。
いつものツンとした雰囲気は影も形もなかった。
「いや……無事でよかったよ。怪我、痛むか?」
「少しだけ。でも平気。」
「そっか。」
言葉を交わした流れで、気づけば俺は自然と桜の頭に手を伸ばしていた。
ポン、と軽く撫でる。
——その瞬間。
「……あっ」
自分が何をしたのか理解した途端、胸の奥でドクンと鼓動が跳ねた。




