表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: P


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/68

駆け引き

それは、俺のブラフが見破られるには十分な時間だった。


「……やっぱり嘘か。んー。お前らを殺して、女を好きにしてから逃げても、まだ余裕はありそうだな」


背筋がゾッとした。

今すぐ警察に電話をかけたかった。

でも——ナイフを持った相手の前でスマホを出すなんて、自殺行為に近い。


男が思った以上に冷静なのを見て、俺は悟り始めていた。

もう、戦う覚悟を決めるしかないのかもしれない。


「人を殺したら、罪がもっと重くなるだろ……落ち着けよ」


なんとか声を絞り出すと、男は鼻で笑った。


「罪……?

そんなもん、俺には関係ねぇよ」


その目を見た瞬間、背中に氷を流し込まれたみたいに冷たくなった。

——あ、こいつは本当にダメなやつだ。

話なんて通じる相手じゃない。


胸の奥がカッと熱くなり、気づけば俺は反射的にスマホへ手を伸ばしていた。

震える指で“110”を押そうとした、その時——


「おっと……動くな」


一拍遅れて、桜の短い悲鳴。


「っ!?」


男が桜の腕を乱暴につかみ上げていた。

細い体がぐいっと引き寄せられ、ナイフの冷たい刃が喉元へ迫る。


俺の呼吸が、一瞬で止まった。


刃が夜の光をわずかに反射して、

次の瞬間には桜の首筋にぴたりと押し当てられていた。


「携帯を地面に置け。

それから——両手を上げろ」


低く湿った声が、夜の空気を切り裂く。


桜の肩がびくりと震え、

郁美は声も出せずに目を見開いていた。


俺の喉はカラカラに乾き、息がうまくできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ