優磨について
『さらに詳しい情報が欲しい人は、聖蹟桜ヶ丘駅近く、
多摩川の河川敷にいるホームレスを訪ねると良い。
何か得られるかもしれない。追加情報があれば求む。』
ネットにこんな書き込みがある。
ということは——昨日俺たちの身に起きたことが“現実”である根拠を、逆に強めてしまっていた。
俺はミラノドリアをつつきながら、小さくため息を吐いた。
「そういえばさ、昨日“災いがきた!”って絶叫してた老人、
あれ…Kさんの可能性あるよな?」
「うん。僕も同じこと思った。だから同一人物かどうか、今日確認したいんだ。」
「でも、結構な歳だったんだろ?
7、8年前で80歳くらいってことは…今はもう相当高齢だよな。」
「そうなんだよね。
でも、さっきの“けんさん”は一応生きてるみたいだし、会えば分かると思う。」
「だな。…あとさ、昨日言ってた“優磨”ってやつ、結局どうなったんだ?」
和政は視線を落とし、少し間を置いてから口を開いた。
「えっと…昨日、獄門で優磨とはぐれて、僕一人で光の門をくぐって戻ってきたところまでは話したよね?」
「うん。」
「その日は普通だったんだ。
父さんも母さんも兄ちゃんも、いつも通りでさ。
でも——次の日、学校に行ったら…誰一人、優磨のことを覚えてなかったんだ。」
「え?」
「一緒にサッカーしてた連中に聞いても、『誰それ?』って。
本当に、最初から優磨なんて存在しなかったみたいで…」
「……マジかよ?」
気づけば俺は、瞬きを忘れていた。




