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午前中がお風呂場セット作りで終わったので、そろそろお昼にしよう。

ここ二日間は料理を作るというところまでいかず、呼び出しばっかりだったが、もともと一人暮らしの長かったわたしは自炊が基本だ。基本だけどもちろん疲れた時や面倒な時は楽もしてきた。出来るけど後は臨機応変っていうやつだ。こっちの世界にきてから、気力が徐々に戻ってきている気がする。異世界あるあるで変なテンションになっているのだろうか。わからない。それよりお昼か。どうしよう。


材料も調味料も、お呼び出ししてみようか。

いや、調味料を全部検証するのはまだ基本がわかっていない。そう自分へ言い訳して挟みパンと牛乳を呼び出しで簡単に食べると、自分の部屋に戻る。


そう、本棚に入っている本が読みたい。午後は読書に決まり。

この世界の歴史を、地理を、文化を、魔法を、錬金術を、スキルを知りたい。狙っていた「魔法中級」を手に取って読みだす。


まぁ一人暮らしで働かなくても生きていける環境で好きなことをしても良いのであれば、ご飯は最低限でもわたしは大丈夫ということで、1か月ぐらい本を読み続けた。カレンダーがないので、今の暦はわからない。カレンダーってあるんだろうか。

わたしの服装は当初のとおり半袖のワンピースとシュミーズとおパンツ様のみ。でも寒くも暑くもない。春か秋なのか。もう少し様子をみよう。


1か月ぐらい本を読んで、この世界の基礎というのか基本はざっくりわかるようになった。

この世界は大きな大陸に人が住んでいる。大陸には4つの国があり、長い間戦争というものはない。

何故なら各国の境目には魔の森があり魔物が多くて人と争っている暇なんてないからみたいだ。

文明は中世レベルだけど、魔法で何でもかんでもごり押しして解決しているようだ。庶民も結構魔法を使えるみたいだし。

その分、医療や化学、文化など発展していない。回復魔法があったり攻撃魔法、空間魔法や時間魔法もある、便利な生活魔法もあれば、魔道具もある。魔法ありきだから、テレビもパソコンもスマホもないのは仕方がないか。


「魔法中級」「魔法上級」の本を読んでわかった。あれが作れる。異世界あるあるの筆頭。マジックバッグ。これは絶対作らねばならない。自分に収納魔法が使えるから必要無いとかそんなことは考えない。マジックバックは憧れである。楽しみが少ないのでここは興味のあるものは積極的にいきたい。


マジックバッグはさすがに食堂で造れないので、工房にやってきた。

木材を呼び出し、加工魔法で作業台を作る。少し大き目で椅子に座っても立って作業してもどっちでもいい感じの高さにしている。椅子も作ってみた。全体的にシンプルだけど武骨で働き者のイメージにしてみた。いい感じー。

『空間魔法取得』

『時間魔法取得』

空間魔法も時間魔法も上級魔法だけど、遠慮はしない。なんでも言ったもの勝ちである。

空間魔法と時間魔法と錬金術でマジックバッグ造れそうなんだよね。


「出でよ。マジックバッグ1個」

見本として、この世界のマジックバッグを見てみたかったからだったけど、出たよ。出た。マジックバッグ。本当に?ちょっと薄汚いよれよれの皮のバッグ。蓋を開けて手をつっこんでみる。いや。手を突っ込む前に、鑑定の方が先か。


でも、手をつっこんでみてわかった。馬車一台分ぐらい入るっていうのがわかった。頭の中にこのぐらいはいりそうっていうのが浮かんだんだよね。へー。

もう一つ確認することがある。

「出でよ。迷宮品のマジックバッグ1個」

呼んだ本の中に迷宮についてのものがあった。この世界は迷宮があり、そこから出てくる素材や宝箱があると書いてあった。だから興味津々で迷宮品は見てみたかった。ただのミーハーだったんだけど。

今度はどこかのブランド品かっていうぐらいカッコよい革製のウエストポーチが呼び出されていた。今度は先に鑑定してみよう。


・・・・・・・

迷宮品マジックバッグ

時間停止機能有

小さめの家1軒分収納

・・・・・・・


さすが迷宮品。性能が凄い。うん、こっちの世界にある迷宮。一回行ってみたい。けど、それは死なないで戻ってくることができるっていう確信が持ててから。わたしは慎重派なのだ。


カッコよくないマジックバッグは作りたくないな。どうせなら迷宮品を見本としたい。売るかどうかは今は考えていない。自分で造れるかどうかがまずは問題。

「出でよ。少し大き目で柔らかい皮、ろう糸、ろう糸用の針、皮ひも、皮を切れる皮包丁、カッターマット、ゴム板に準拠したもの、菱目打ち各1個」

材料はやはりそのものずばりではなく、寄せてきたものだけど、こっちの世界でも革細工はあるので、プロが使ってそうなものが出てきたのでそれはそれで良しだ。


革細工はカルチャーセンターで6回通ってバッグを造ろうっていうのに出席したことがあるだけだ。結構力がいるし、皮の匂いが手にうつるので、それっきりだったんだけど、経験はある。時間もある。材料もある。やる気もある。ああ、やるしかない。

布製のバックは山ほど作ったことがあるので、型紙は大丈夫。


皮を切り出し、縫って縫って、失敗して、また皮切って、休憩してご飯食べてお風呂入って寝て、作業して、作業して。また失敗したり、何度か材料や道具も呼び出したりもしたけど、10日ぐらい経ったけど、革製のバッグが出来た。斜め掛けのショルダーバッグにしてみた。


皮も柔らかいし、体に馴染む感じ。正面から見ても横から見てもカッコいい。縫い目も綺麗に揃っている。できた。ふふふ。

さぁ。ここでマジックバッグ造りの失敗に備えて、複製魔法でショルダーバッグを増やす。3つぐらい増やしておけばいいかな。

よし。

【錬金:マジックバッグ】

あ、何か体の中から抜けていく感じがした。初めてだ。


「ステータス」

********

マヤ

8歳

無職


HP 50

MP 37920000


創造魔法

言語翻訳魔法

鑑定魔法

召喚魔法

生活魔法

複製魔法

収納魔法

錬金術

加工魔法

空間魔法

時間魔法


スキル

界渡り

裁縫

木工

革細工

********


お、MPが80000も減っている。過去最高だ。やっぱりマジックバッグ凄い。そしてわたしのMP凄い。枯渇することなんてなさそうな感じ。管理人の方ありがとうございます。

さて、MP80000分のマジックバッグはどんな感じだろう。鑑定。


・・・・・・・

マヤの造ったマジックバッグ

時間停止機能有

東京ドーム1個分収納

・・・・・・・


こっちの世界に東京ドームは意味不明になるし、あんまり目立ちたくないから自分の名前も入れたくないな。どうしよ。

『隠ぺい魔法取得』

名前を消して、東京ドームはこっちの世界に準じたものに変換。


・・・・・・・

マジックバッグ

時間停止機能有

庶民の1部屋の4000個分収納

・・・・・・・


良し良し。これでいいや。じゃいつものやっておこう。

「出でよ。マジックバッグ1個」

そうそう、これこれ。さっき造ったマジックバッグと同じものが出てきた。まぁ全く同じものを増やすのであれば複製してもいいんだけどね。技術力が更新されているのか確認したいんだよね。


さぁ次はウエストポーチ型と、リュック型も作りたい。造ったマジックバッグを飾る棚も欲しい。

小さいサイズのものも作るのも面白そうだ。小さな可愛い布のポーチに台車1台分ぐらいの物も作ってみる。布でも大丈夫そうだ。

服に仕込めないかと考えて、ワンピースのポケットに三段ボックス1個分ぐらいのマジックバッグを作ってみたりもした。いい感じ。ハンカチでポケットがぱんぱんにならないのが良い。


材料を取り寄せ、工房に加工魔法で棚を作る。

道具を入れるキャビネットも欲しい。

手芸用の作業台や棚も作っておこうか。

ここは誰にも文句言われない。ご飯の時間だから作業を中止しなくてもいい。好きな時間に寝て起きて作業してご飯はお取り寄せして、ただただ集中して作業を続ける。空っぽになったわたしの中に何かが埋まっていく。幸せな時間。


いろんな型のマジックバッグをいくつも造って、時々服も作って、おパンツ様を改良して(ゴムの代用品を必死の想像して呼び出したらスライムゼリーが出てきて錬金術でゴムっぽいものが作れたのでかなり日本風に作れた)、そうこうしているうちに2,3か月ぐらい過ぎたと思う。


少し暑いと感じるようになってきた、夏になったのかも。家の中ではまだ過ごしやすいけど。

マジックバック造りはある程度満足できた。最終、無限大まで収納できるものができた。

あの時はMP半分ぐらい持っていかれて初めて片膝をついたわ。無謀だったけど、いい経験。


そんな無限大も呼び出しにはそこまでMP使わなかったのでいくつか誇らしげに並べている。複製でも同じぐらいだった。一度作ってしまえばあとは増やすのは簡単だ。色違いとかサイズ違いは召喚魔法で想像して念じたら割と欲しいものが出る。作った棚に並ぶとめちゃくちゃ嬉しい。何度も見てしまう。これだけ作った!っていう達成感。これが手作りの醍醐味だね。


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