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その頃とある冒険者たちは
「なぁ何だか俺たちを見る目が変じゃないか?」
「ああ、俺も感じる。いつもよりも憧れとか熱い目で見られているような気がする。」
「俺たちが魔の森で長くいたが、久しぶりに王都に来て何か変わったのか?」
「よくわからないけど、とりあえず魔物のドロップアイテムを冒険者ギルドに売りにいきましょう。」
俺たちはA級の冒険者だ。憧れられたことも結構多い。でも今回はいつもの下級の冒険者たちだけではなく、街の多くの人から見られているような気がする。
大剣使いの俺と、魔法使いのユリス、弓使いのリリアナ、斥候のスクルトの4人でチームを組んでいる。
冒険者ギルドに行くと更に熱い目で見られた。何故に?
ギルドのカウンターでドロップアイテムを出す。その中にワイバーンの鱗が混ざっている。魔の森で結構たくさんのワイバーンを撃退したからな。
それを見たギルド職員、周りの冒険者がおおおーというような雄たけびでびっくりした。
「このワイバーンの鱗は魔の森ですか?」
「ええ、結構たくさん出てきて必死に撃退しましたよ。」
「全部お売りになりますか?」
「ええ、ワイバーンの鱗はそれほどの価値はないと思いますが。」
「いえいえ、今は凄い価値が上がっているんです。さっきギルドのものが宮廷魔術師のところへ走っていったぐらいです。本当に納品ありがとうございます。」
「いつの間にそんなに価値が上がったのですか?」
「先日、このワイバーンの鱗がエリクサーの材料だと確定したのですよ。」
「エリクサーの材料?エリクサーって迷宮から出現するだけじゃないんですか?あれ人が作れるのですか?」
「ええ、鑑定結果でそう出たのです。」
「そうか、じゃいいタイミングで納品できて良かったな。」
「ええ、それにあなた方は英雄のようなチームで特に今は注目されていると思います。」
「英雄?注目?」
「街で夕方に孤児院の前で紙芝居が実演されますから、ぜひご覧になってください。」
「はぁ…。かみしばい?ですか。気にはしときます。」
なんだか、訳がわからないままギルドを出た。
ワイバーンの鱗は結構な金額になったので、皆で酒場に行こうかという話になった時に、歩く先でカンカンと音がして、紙芝居が始まるよと声がした。
紙芝居ってあれか。どうする?とメンバーに聞くと、何かわかるのであればと足を止めた。
紙芝居見た。結構盛り上がっていた。
そして皆から見られる理由がわかった。
なんだあれ。俺たちとほとんど一緒じゃないか。だからか、大剣も弓も持っていれば目立つ、そこに見た目魔法使いと斥候がいれば、ちらちら注目されてもおかしくないな。
なんだか俺たちじゃないのに、恥ずかしい。
どうする?メンバーにまた聞くと、話は6回続いているようだから全部見たいという。俺たちと違うけど、どう違うのかちゃんと確認しといた方がいいぞと。
確かにそれもあるかもしれない。まぁただ物凄く面白かった。今度はあの干し肉も食べてみたい。リリアナは水飴食べたかったって言ってた。
干し肉はモーリ商会でも売っているそうだ。俺たちは美味しそうに食べていた干し肉を求めてモーリ商会に行ったところ、性能がいいうえ、味もいいポーションを見つけたし、容量は少し小さいがお安めのマジックバッグも売っていた。
これは買いだ。良い物が買えてほくほく顔だ。俺たちが魔の森で長い間いた間に王都がこんなに進化していたとは。やっぱり時々王都に顔出さないとダメだな。
紙芝居のクラウドに見立てられるのはちょっと恥ずかしいけどちょっと誇らしい気もしてきた。
ワイバーンの鱗は追加で取れるなら取ってきて欲しいと要望もあったが、王都をじっくり見てから、また魔の森に行こう。
エリクサーが販売されるようになれば保険に1本欲しいよな。
クラウドに負けないように頑張って取りに行かないと、メンバーもお互いそれぞれ紙芝居の中の人に負けたくないという感じだった。俺たちは俺たちで良し頑張ろう。




