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紙芝居は毎日1話、6日続けて1日お休み。
その後1話目に戻って6日続けるという方向で実演することになった。
実演は子どもだし、孤児院の仕事もあるから無理をしないように、1話10分だけど、型抜きしたり、抽選会したりで1日は1時間ぐらいの予定。毎日夕飯前の同じ時間に開始予定。
初日はエリンと一緒に見に行った、モーリさんが最初の挨拶していた。
モーリさんがいるからか、人が一人二人立ち止まる。
甘い水飴あります、たったの10リル!の声に、更に人の足が止まる。20人ぐらい集まったところで、開始。
絶賛だった。
紙芝居という文化のないところでどうなんだろうと思ったけど、テレビも物語も娯楽もなにもないところに、いきなりカラーの絵も冒険談も受け入れられた。やはり冒険者が日常身近な存在だからっていうのもあるだろう。
水飴は砂糖がないから麦芽ともち米でこっちの世界では家畜の餌らしくて安い材料で、これだけの甘さを出したことで驚かれている。
干し肉はこれまた絶賛。これで飲む酒はうまいだろう。
型抜きははまる人ははまる。ちまちまするのが苦手な人はダメだけどね。
とりあえず1回目の公演は成功のまま終わった。途中から足を止めた人も多かったし、抽選会も盛り上がった。明日も同じ時間でしますー。の声でマジックバッグにすべて仕舞ってゴミも片付けて綺麗にして終わりとした。
噂が噂を呼び、日に日に人が増えていく。
水飴や干し肉や型抜き、紙芝居のレシピはすべて商業組合に登録してますからーと競争相手になりそうな人たちを排除する。
儲けれそうだと思った人たちは商業組合に走っていった。
売り上げは初日こそ220リラだったけど、倍々ゲームのように増えていっている。
街角でも、
紙芝居見た?俺見たぜ。めちゃくちゃ興奮した。6話完結で、最後までいったらまた最初からはじまるらしいから、次も見に行く予定。
あの水飴美味しかったね。あれがたったの10リルだなんて、あれだけでも毎日食べに行っているわ。
おまえ、干し肉は当たったか?俺は型抜きでもらったぞ。めちゃくちゃ美味しい。あれはモーリ商会でも売っていると聞いたから即買いにいったわ。
等々話が弾む。
冒険談も楽しんでもらえているようだ、クラウド派、イリス派、シャノーン派、ガイアス派に分かれて盛り上がる。
商売っけのある人が、紙芝居の絵に似せた姿絵を売り始めた。そうきたか。微妙に違うけど、微妙に似ている絵は結構売れたと聞く。二次創作でもなんでもいいよ。自分の書いた話じゃない話をわたしは読みたい。
どこかで誰かが違う紙芝居を実演してくれることに期待!




