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「お母さん、クリント商会って常識外れやったね。今日はびっくりしたで。」
「マヤが何を作ることができるのか、旦那様にお任せして確認してもらわないとね。」
「ああ、でも興奮したわ。あの宝石の球、ビーズやったっけ。あれの価値。お金の匂いしかせえへん!シュシュという髪飾りも、ハギレは安く仕入れることができると思うし経費を抜いてもたくさん売ればうはうはになりそう。スライムドロップも冒険者ギルドで安く仕入れられると思うし、こっちもお金ざくざくの気配が!」
「サーラはお金儲けが好きね。」
「うん。お金が1枚ずつ増えていく、ちゃりちゃりした重さが本当に好きなんよね。お姉ちゃんが使うだけしか興味がないのがぜんぜんわからんわ。」
「あの子は自分が綺麗になるのが一番興味があるからね。でも、買うのはうちのお店の商品が多いから立派に宣伝はしてくれているんだけどね。まぁ人それぞれよ。でも、今回の件は、旦那様が喜ばれると思うわ。ポーションもマジックバッグもあればあるほど売れる商品だからね。わたくしもあの布でドレスとお揃いのシュシュをセットに売り出してみようかしら。」
「お母さん、それ素敵だと思う。あんな総柄の刺繍の布って見たことないもね。」
「それにしてもクリント商会凄かったけど、まだまだお子ちゃま、お金儲けの脇が甘いですね。やっぱりご両親が亡くなられて英才教育が途中だったのかしら。あんな可愛いお子さんを残していかなければならなかったご両親のお気持ちを考えると胸が痛いです。旦那様にはしっかりフォローしていただきましょう。」