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 その晩夢を見た、いつもの明晰夢かと思っていたけれど、ちょっと違うようだ。

 眩しい光が目の前に見える?いや感じる。その光の方から声が聞こえる。空間を満たすような声。体に染み込むような声。


 『わたくしはこの星の管理者です。


 あなたは昨晩、地球での未練がすべて無くなりました。未練ゼロ値を観測できたのです。

 そこですぐさまアクセスさせていただいた次第です。

 これを持って、あなたはわたくしの星へ転生条件を満たすことになりました。』


 そうなんだ転生か。明晰夢はいつもどこか変だ。だからこれもきっと夢なんだろう。


『いえいえ、夢だけど夢じゃないですよ。

あなたの意識に直接届けているのです。』


 夢だけど夢じゃない。理解不明・・・。


『まぁ、理解はのちほどにでも。

お話の続きをさせていただきます。

転生するにはいくつか条件があります。


1.地球に未練のないこと。

2.界渡りの才能があること。

3.想像力が豊富であること。


 この3つは絶対なのです。

 あなたには、界渡りと想像力の才能があることは随分前から気づいていましたので、未練ゼロになった瞬間すぐにでもアクセスさせていただいた次第です。』


 そもそもカイワタリの才能って?


『界渡りとは文字通り、界を渡る才能のことです。

 あなたが毎晩見ていると思っている夢。あれは実際にいろんな異世界を渡っている記憶です。

 あなたの魂は毎晩あらゆるところへ飛んでいました。睡眠時間が長いのも、長いわりにいつも眠たいのも全部そのためです。』


 カイワタリって、界渡りのこと?

 夢の中で異世界既に行っていたのか、わたし。

 毎晩豪華な夢だとは思っていたけど。確かに毎晩9時間寝てそれでも土日は昼寝までしていた。疲れているためだって思っていたけど、わたしの魂はしゃぎすぎだ。


『その界渡りの才能のおかげであなたの魂をわたくしの星へお呼びすることができたのです。

体はわたくしの星の環境に合うように、わたくしが特別に一からお作りさせていただきました。この時に未練が残っていたら体に定着しないのですが、完璧でしたよ。』


 未練。そう昨日は自分の中、からっぽだった。何も感情が確かに残っていなかった。そうか、転生するんだ。転生先ってのんびり暮らせるんだろうか。


『ええ、大丈夫ですよ。いきなりお呼びしたお詫びに、こちらでの生活を不自由なく暮らしていただくため、あなたには創造魔法を授けます。

 あなたほどの想像力があればたいていなんとかなるでしょう。もちろん制限はあります。

 わたくしの世界の素材、技術力を超えることはできません。逆に言えば、魔素と引き換えに、わたくしの世界で可能なことがすべてあなたにとっても可能になります。

 魔素は魔法を使う原動力ですが、これも特別製の体にしましたので、十分備えていますよ。あなたの魔素、MPとも言いますが、この世界の最上限にさせていただきました。』


 魔法が使えるようになるって夢みたいだ。でも、いきなり山の中に転生されるとサバイバルは苦手なのでキツイかも。どんな設定で生きていくことになるんでしょうか。


『あなたには、あなたの望むように生きていただきたいので、あなたの欲望を少しスキャンさせていただきました。


 王都に裕福な商人の家を用意させていただきます。悪意を持つものが入れないように結界もつけました。

 あなたは一人暮らしが長かったのと先日実のご両親を亡くされたばかりなので、新たなご家族のもとに転生させることはしません。


 あなたが望むまで一人暮らしできるように、仕入れ先でご家族が亡くなった商人の娘が一人で暮らしているという設定になっています。


 もちろん、執事や侍女を雇われるのは構いません。地球での財産はすべてこちらの価値に換算して使えるようにしています。


 年齢も、あなたという存在がわたくしの世界が少し停滞しているので刺激になるように少しでも長く生きていただきたいので、若くさせていただいています。』


 良かった。今は本当一人でゆっくり過ごしたい。


『では、ご自由にお過ごしください。特に使命はございませんので・・・。』


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