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そんな日が続いたある日、エリンがもじもじしている。
「マヤ、あのね。お人形とか作ることできますか?小さい頃にお母様に作っていただいて大事に持っていましたが、異母妹に取られてしまって持ち去られてしまってどうなったのかわからないんです。」
あー。男爵家は既に王家の管理で今はもう中に入れないよね。
うん、よし、作ろう。昔、フェルトでマスコットたくさん作ったわ。お人形も猫も鳥も、なんならテニスラケットや野球ボールも作った。これもはまったなぁ。
でも、エリンが欲しい人形にしなくては。まずは、エリンに持っていた人形の大きさや姿かたちを聞いて、呼び出した材料で丁寧に作ってみる。
顔は少し大き目で綿をぱんぱんにつめて、髪の毛は毛糸で、目はエリンと同じ青色に刺繍してみた。
「ま、マヤ!そうなの、こんな感じだったわ。嬉しい。う、れしい…。ありがとう。」
少し涙ぐんだエリンはお母様との思い出を思い出しているのかもしれない。
エリンの人形は手足の短い赤ちゃん体形。
いくつか着替えのワンピースをエリンとお揃いで作ってみる。
エリンが何を作っても喜んでくれるから、張り切ってフェルトでままごと道具も作ってみた。
お鍋とかフライパンとか、目玉焼きとか。果物や野菜シリーズ。
こういうちまちましたものをたくさん作るのはめちゃくちゃ楽しい。革細工でお人形の靴を作ったり、一緒におままごとするために、人形を増やしたり、人形用のブローチや髪飾りとか作ってみたり、ドレスを飾るトルソーやハンガー作って吊ってみたり、楽しい。
小さい頃、一人っ子だったから一緒にきゃあきゃあ楽しんだことがないだけに、エリンと可愛いお人形で遊ぶのは童心に戻って楽しい。これも可愛いあれも可愛いと変なテンションで作り続けるのは幸せだった。満足。手作り万歳~。