最高の男
「最悪だ」
今日も地獄のような1日が終わる
俺にとって授業は地獄 日々はもっと地獄だ
異能を持たない俺にとって異能の授業はクソだ
知能国、異能国の二つの国の少年少女が集まる異能使学校
ここでは「先生が生徒に対してイビルに対する自衛もしくは取り締まり方を教える」っとされている
が
実際は少し違う
詳しく言うと長くなるので簡単に言えば「自衛、取り締まり方を習い新人異能使を育てる」がこの学校の目的だ
そうなれば必然異能を持たない知能国の人数が減り差別が起こるのも理解できる
こんな学校に知能国のライトが今だに行くのには理由があった
「俺も…あの人みたいに…」
ーあの人ー
1997年 4月某村
燃え上がる炎
昨日まであった小さな家は今日大きな炎となっていた
「まだ!中に子供が!ラ……イ…」
家の持ち主が気を失う
「こちら異能使〇〇!只今よりイビルの討伐及び中にいる者の救助を行う!」
「「了解!」」
異能使のチームが協力して家の中にいるイビル討伐、そして子供の救助をしようとする
しかし中には入れそうにない
「お前らの中に…いやこの中に火を消せる異能持ちはいませんか??」
誰も手をあげない
それもそのはず例え水や風を使える異能を持っているとしてこれだけの炎を短時間で消すことはとても難しい
並大抵の異能使ならば非常に困難である
異能使ですらない人に関しては言うまでもない
?「探す必要はないよ」
後ろから人影
身長180cmほどの白髪の男が言った
「危ないです下がっていてください!」
異能使の1人が白髪の男に注意する。それでも関係なく黙って男は歩みを止めない
「お兄さん!本当に危ない!火に呑まれるぞ!」
そう言われてやっと男は口を開く
こう言う時何というのが正解だろうか「大丈夫」「安心して」このような言葉が思いつく
だが、彼は違った
「最高だ」
そう言ったあとボソッと言葉を発した
「…天地」
一瞬の出来事だった
炎に向かって歩んで行った彼が一言「天地」と言った次の瞬間
風が起き炎、そして家がなくなっていたそこにあるのは子供2人のみ
ラインとライト
「何が…」
異能使にはわからなかった。何が起こったのか
異能使なら異能を使用する際どんなにすごい異能使であるとしても普通なら「何か」は見える
風を使うなら風を打つ動作が水を使うなら水を使う動作が見えるはずである
しかし彼の動きは少し震えただけで何も見えなかった
というかあれは「風」なのか?いやそもそもあれは「異能」なのか?
明らかに異能の次元ではない
子供を見て立ち去ろうとする白髪の男
そんな彼に1人の異能使が聞いた
「失礼。君はなんだ?」
ここまでの力をもって言うと言うことは異能使の中でも上級の存在であるに違いない。そう思い1人の異能使は彼に聞いた
しかし白髪の男がその問いに対して何も話さず静かに立ち去った
ーーーーーーー
俺もあの人みたいに…
あの人は俺、そしてラインの命の恩人
「あぁ最悪だ」
1人そう呟く
なりたいものは見えているはずなのに自分はそうはなれない
異能を持っていないからだ
なりたいけどなれないそれが現実
何度思っただろうか異能を持っていたら…異能を持っていたら…と
俺はなりたいものになれない
そう1人病んでいる時学校中でサイレントが鳴り響く
「イビルが校内に侵入!直ちに避難!避難!教職員は討伐に向かってください」
この学校はイビルにとって脅威となる存在。よってイビルが勝手に侵入しようとすることはそう珍しくはない
異能は魔法ではない。よって常に学校を守ることはできない
しかし従業員の1人の異能【バリア】のおかげでこの学校は1日のうち合計10時間は守ることができる
よって並大抵のイビルは入ることはできない。
これだけ聞けば学校の授業中は絶対に安全であると思われるがどうではない。人間にも限界はある
1時間に50分これが異能【バリア】の限界。つまり1時間のうち10分間だけ無防御の時間ができる
本来ならその10分がいつなのかはわからないはずなのだが
「ライト!」
ライトを見つけたラインが駆け寄る。
俺はその時悟った。ラインは常に冷静。だが今のあいつには焦りが見える
つまりそう言うことか…
この世の中に運というものを人ならば平等にもっていると言う学者がいるのであれば間違えである証明を彼に行いたい
「うしろ!」
よって題意は示された。