2話 紫色の牡丹百合
「蓮くんは私を通報するのかな?」
彼女は笑顔のまま問いかける。
「どうだろう。殺した理由をもう少し詳しく聞いてからでもいいかな?」
そう答えると、彼女は始めて表情を変えた。
「驚いたよ。いきなり死体を見てそんな冷静な人いるんだね。」
「千日さんだって驚いてないだろう。」
「私はさ、ほら加害者だから。それに学校での蓮くんってちょっとおちゃらけてる感じだから意外って言うか。」
すると彼女は目を細めて薄い笑みを浮かべてこう続けた。
「素の蓮くんってそんな感じだったんだね。」
一瞬自分の表情が強ばったのを感じたがすぐに切り替えて笑みを顔に張り付け答える。
「死体を見て驚き過ぎちゃって逆に冷静になっちゃったんだよ。それに、千日さんのさっきまでの笑顔も僕は学校じゃ見たことなかったし僕も意外な一面だと思ったよ。」呼吸を少し整え、続ける。
「それで話を戻すけどもう少し詳しく話をしてもらってもいいかな?」
「おー。いつもの蓮くんだ。」
少しちゃかすように彼女は言う。
僕は目で早く話せと促す。
「蓮くんは誰かに強く、永遠に愛されたいと思った事ってある?」
僕の聞きたい話と関係のある話なのだろう。僕は答える。
「僕は思ったことないかな。僕は愛されるより愛したい派だからさ。」
「蓮くんはそうなんだね。私は愛されたいの永遠に!」
彼女の言葉に熱が籠ってくる。
「でも人間ってよくも悪くも変わる生き物だからさ、永遠に愛されるってほとんど不可能だと思うの。」
確かに人間は心変わりをすぐ起こすのて間違いとも言いきれないが
「でもよくおしどり夫婦とかいるじゃん。あれってどうなの?」
「あれって本当にずっと相手を愛してるのかな?ばれてないだけで浮気してたかもしれないし、冷めてても子供のために夫婦をしてたり、子供だけを愛してたりしてると思うんだよね。」
「それは少し偏見じゃないか?」
「そうかもね。でも、私は子供ですら愛して欲しくない。」
結構な事を彼女は言いきった。
「永遠に私だけを愛してほしい。他の誰も見向きもせずに他の誰も愛さないで欲しい!じゃあどうすればいいのかなって考えたの、今下にいる彼はね私の事を本気で愛してた。その状態で彼の生命を止めてしまえば・・・どうなると思う?」
彼女はまた満面の笑みを浮かべた。僕は極めて冷静に僕の考えを答える。
「その彼の愛は永遠に自分のものってことね。」
「正解!一発で当てれるなんて蓮くんも私と同じ異常者だね!」
「そんなことない。」
僕は少し食いぎみに返す。
彼女は一呼吸おいて冷静に言う。「そんなことない訳ないじゃん。目の前の殺人犯と仲良くお話してる人が異常者じゃない訳ないよ。」
正直なにも言い返せなかった。
「それで、蓮くんは私の事通報するの?ちなみに通報するっていっても私は|蓮《》くんになにもしないよ。私は目的を達成して今は満たされてるから。」
それが本当なら僕は通報したほうがいいだろう。僕は答える。
「通報しないよ。」
彼女は笑顔で僕を見つめる。
「やっぱり君は私の仲間だ。」
心外だ殺人犯に仲間呼ばわりされるなんて。雨は止んで空はもう晴れていた。どうやらにわか雨だったらしい。
「とりあえず、風邪引くよ。」
花は大輪となり咲き誇っていた