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第8話:けーやくとせーやく!

「…うーん。」


 俺は今目の前にある一枚の紙と睨み合っている。


「どしたの秋クン。便秘?だったらこの魔法薬トメドネーゼを一粒…。」


「いらん。」


 そんな果てしなく出続けそうな薬飲むか。まず便秘じゃねぇし。


「これだよ。」


 そう言って目の前に置かれた紙を指差す。

 そう、俺が唸ってたのはコイツが原因だ。


「『超!精霊契約書』?アハハ~なにそれ。」


「アナタが持ってきたんじゃなかったかしらぁぁぁあ?」


 むんずとアホ精霊のアタマを鷲掴みにする。


「ぎにゃぁぁあ!痛い痛い!そーですぅう!ワタクシが持ってきたんでふぅうう!」


 ジタバタと暴れるサラマンダーを解放してやる。軽く半ベソだ。


「グスン。これが噂のDVなんだね。」


 誰が暴力亭主か。


「で?どーして今さらそんなの読んでるの?」


「いや。どーにか契約を破棄できないかと思ってな。」


 さすがにこのままずっと一緒にいるわけにはいかねぇよ。まず離れて行動できないのがかなりのネックだ。


「えー!アタシはこのままでいーのにぃ!」


 ぶーぶーと文句を言うサラマンダーは無視し、視線を『超!精霊契約書』へと落とす。

 その内容はこうだ。


『超!精霊契約書』


1.精霊と契約者の利害が一致した場合にのみ契約は成立する。


2.契約成立直後から精霊・契約者両名に対し『制約』が発生する。なお、この制約はランダムに決まる。


3.一度交わされた契約は、契約が達成されたと両者が認知するまで有効である。


4.その他質問があれば下記までご連絡下さい。


4649-○○○-×××(フリーダイヤル)



 …というなんともふざけた内容だ。


 互いの利害が一致。この文章が引っ掛かるな。俺とサラマンダーの間に一致するような利害なんてあるのか?


「何だかんだ言って秋クンもアタシと一緒に住みたかったんでしょー!もー、えっち。」


 なんでだよ。


「この際契約が成立した理由はどうでもいいが。」


「いくないー!認めろー!私はエロスですって認めろー!」


「問題は契約の破棄だよな。互いが契約達成を認知するまで有効か。」


「破棄…ハキ…覇気!なんかカッコいい!カッコいいよ秋クン!ひゃっふーぅ!」


「あ。でも契約の内容が分からないと結局認知もできないのか。ちくしょう。また振り出しだ。」


「人生ってぇのはスゴロクみたいなもんよ!振り出しの連続!」


「うるっせぇんだよボケがぁぁぁあぁあ!」


「ひゃぁぁぁあ!秋クンがキレたぁぁあ!」



――――――――――


 とりあえず契約書に書かれてる番号に電話することにした。

 しかしこの番号。いくら何でも4649(ヨロシク)はねーだろ。


「しょぼーん。」


 今のは隣で小さくなってるサラマンダーの呟きです。しょぼーんて言いながら落ち込むヤツも珍しいな。


『プルルルル…ガチャ。お電話ありがとうございます。こちら統合精霊契約事務局です。』


 うお。ほんとに繋がった。受話器からは女性の声が聴こえてくる。


「あ、あのー。『超!精霊契約書』を見て電話したんですけど。」


「『超!精霊契約書』ですね。はい。それでいかが致しました?」


「契約の破棄について何ですけど。ちょっとした手違いで契約成立しちゃったので、すぐにでも破棄したいんです。」


 電話口の女性は何やら調べているようで、紙を捲る音が聞こえる。


「申し訳ございませんが、一度成立した契約は達成されるまで破棄することは不可能です。」


 やっぱ無理か。まぁ分かってたんだがな。


「そうですか。ならせめて制約の内容をもう少し優しいものにして欲しいんですけど。」


 ま。これも無理だろうがな。


「分かりました。それでは後程『制約リスト』を送還致します。」


 できちゃったよ!


「それでは失礼します。」


 電話が切られると、目の前に光り輝くゲートが現れた。


「うお。なんだよこれ。」


「あー!これ精霊界の宅配便だよ秋クン!」


 隣でタバコ並に小さくなってたサラマンダーが光のゲートに近づいて行った。俺もそれに続く。


「ちゃーす!」


 三河屋さんのような挨拶と共に手のひらサイズのオッサンが現れる。


「統合精霊事務局さんからお届け物でーす!」


 元気なミニオッサンは小型の封筒を取り出すとサラマンダーに渡した。


「それでは失礼しゃーす!」


 役目を終えたオッサンはゲートの中へと歩いていった。

 オッサンのジャンパーには宅配業者のロゴが入っている。


 "魂込めてお届けします!宅配業者『男性天国』"


 新宿二丁目にありそうな店名だな。


 早速封筒を開けてみる。中には一枚の紙が入っていた。どうやらこれが『制約リスト』らしいな。


「おー!色々あるねー秋クン!」


「…。」


 リストにはびっしりと制約が書き込まれているようだ。

 ようだ。と言うのは他でもない。日本語じゃないからだ。


「これ精霊語だよ。」


 ですよねー。


「こんなのも読めないなんて、秋クンてば無・知♪」


 読めねぇよ味噌っカスが。


 俺には読めないので、結局サラマンダーが軽めの制約を選んで送り返した。

 コイツに選ばせるのはかなりのギャンブルだが。まぁコイツも他人事じゃないしな。大丈夫だろ。多分。


「ちなみに何を選んだんだ?」


 不安になったので一応確認してみる。


「んーとねぇ。まずアタシは『宇宙語で号泣』から『死ぬまで爆笑』に変わってー。」


 まんまだな。多分死ぬまで爆笑するんだろう。


「秋クンはねー。んふ♪『股間にやぶ蚊』からぁ…。」


 『股間にやぶ蚊』なんて言う名前だったのか。すっげぇイヤだ。


「ひ・み・つ・♪」


 すみませーん!コイツぶっ殺していいですかー?


「詳しくは次回を待て!」


 えっ。


「次回って何だ?次回何か起こるのか?なぁ?」


「詳しくは次回を待て!」


「なぁ!答えろよサラ!おい!サラさーん!」


 …続く。


「えっ!終わり!?今回これで終わり?こんな微妙な伏線残して終わんのかよっ!ちょっとぉぉぉおおぉお!」



 今回は契約と制約について触れました。


 制約の内容が変わったのは最初から考えてた事です。

 べ、別に前の制約だと書きにくいとか話が広がらないとかそーゆうんじゃないんだからねっ!


 まぁ離れちゃいけないってのは変わりません。えぇ。変わりませんとも。


 あ。またポイントを入れて下さった方がいました。ありがとうございます。

 ポイント、感想、レビュー等は作者のやる気に直結致します。

 まぁ一番の栄養はアクセス数が伸びる事ですがね。これはホント嬉しい限りです。


 長々と失礼しました。それではこれからも『なちゅ☆りずむ』をよろしくお願いします!


        白月

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