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第5話:好き好き一休さん!

「ガッコーてのに行きたい!」


 今日は月曜日。ただでさえ休み明けで憂鬱な状況で、アホ精霊はこんな事を言い出した。


「ふざけんな。お前なんか連れてったら大事件が起きる事間違いなしだろ。」


 こいつを連れてくという事は核弾頭を背負って登校するのと同じだからな。マジで。


「ぶーぶー!行きたい行きたい行きたーい!」


「わがまま言うな。」


「ぶーぶーぶー!連れてけー!」


 しつこいなコイツ。


「連れてかないと炎魔獣メッサモエルヤーン召喚しちゃうよ?」


「準備は出来たか?サラ。」


「わーい!」


 そんなよく燃えそうな魔獣呼ばれても困る。しかもどこか他人事な名前だな。

 『お前んち、めっさ燃えるやーん。』みたいな。…どんな状況だよっ!


「秋クンてノリツッコミ下手糞だよね。」


「人の心を読むな。」



――――――――――


 そんなこんなで一緒に学校に来たんだが。

 どうやらサラの姿は普通の人間には見えないらしい。まぁお約束っちゃーお約束だがな。

 サラは「へー」だの「ほー」だの言いながら校内を見学していた。もちろん俺も着いていく。なんでかって?そりゃーこんなニトロ少女を野放しにしたら間違いなく死人が出るからだよ。


 ちなみに現在午前10時。もちろん授業中だ。そんな時間に俺は校内をウロウロしている状況だ。


「おい!貴様なにをしている!」


 あーあ。やっぱりな。さすがにこんだけ堂々とサボれば見つかるよな。向こうから教師がズカズカと歩いてくる。生活指導の竹田だ。


「ちっ。めんどくせぇヤツに会っちまったな。」


「何か言ったか立花ぁ?貴様こんな時間にお散歩とは良い身分だなぁ?」


 竹田がネチネチと嫌味を言ってくる。こいつはガタイが良い癖に妙に陰湿でネチっこい。当然生徒に人気もない。


「イヤだなぁ先生。ちょっと迷っちゃっただけですよ。」


 とりあえず適当に言い訳してみる。サラマンダーは廊下に飾ってあるトロフィーを見て「まさに通天閣!」とか言ってる。


「ほほぉ?高校4年生の立花クンでも迷うのかね?」


「クッ…。」


 コイツ…。人の痛いところを。


「とりあえず指導室に行こうか?立花『センパイ』?」


 何がセンパイだ。留年した俺を見下してるのがモロ分かりだ。


「あれ?秋クンどこ行くの?てゆーかこのオッサン誰~?キモくてウケるんですケド~!」


 ここにきてようやく異変に気付いたサラは、竹田を指差しながら爆笑している。


「何この髪型!1:9分け!?まさかの1:9分けデスカ!?」


 ぐはっ!誰もがツッコミたくて仕方なかった事をさらりとやってのけやがった!


「比率オカシイ!絶対比率オカシイヨ!それじゃ七三には勝てないヨー!アハハハハッ!何の勝負してんだっての!」


 サラマンダーは爆笑しながら竹田の髪を写メってる。


「どーした立花ぁ?顔がひきつってるぞぉ?」


 アンタの頭がもうすぐネットでアップされるからだよ!


「ねーねー秋クン!このオッサン耳から毛が生えてるよっ!」


 おやおや精霊さん?耳毛を摘まんだりして何をする気かな?ボクには到底想像できないなぁ。


「えいっ!」


 ブチッ!


 抜いたー!耳毛抜いたー!


「ぐほっ!」


 突然耳毛を抜かれた竹田は一瞬体を痙攣させ耳を押さえている。

 絶対痛いよね。うん。


「アハハハハッ!『ぐほっ!』てナニ!?どんなリアクションだよ!ウケるー!一休さんキモ過ぎですー!」


 いつの間にか竹田のアダ名が『一休さん』に決まったらしい。1:9分けだからな。


「アハハハハッ!…はぁ。飽きた!」


 飽きたらしいです。


「秋クン。飽きたから一休さん燃やしていい?」


 その判断を俺にしろと!


「……コクッ。」


 スマン一休さん。俺にはただ首を縦に振る事しかできない。


「わーい!エクスプロージョン!」



 瞬間。耳を押さえながら周囲を見回していた竹田が火柱に包まれた。

 さらば一休さん。サラマンダーに興味を持たれたのが運の尽きだったな。


 燃え上がる竹田を後にした俺たちは少し早めの昼食を摂る事にした。

 俺はいつも昼休みを屋上で過ごす。今日も売店でパンとコーヒーを購入し、屋上へと上がる。


「しかし一休さんて実在するんだね。」


 お前が作り上げた存在だがな。

 屋上に設置してあるベンチに二人で腰かける。


「でもガッコーって楽しいね!」


「…。」


 学校が楽しい…ね。普通ならそう思うんだろうな。友達と馬鹿な話をしたり、勉強を教え合ったり。


「…そうだな。」


「でも秋クン。ホントに友達いないんだねー。」


「俺は留年してるからな。今の同級生は皆年下だ。」


 そう。竹田も言っていたが俺は高校4年目だ。今のクラスメイトは1つ下のヤツらだ。

 まぁ今さら俺と仲良くしようなんて思う輩はいないだろうな。色々と噂も広まってるようだし。


「でもでも!もう安心だねっ!」


「ん?何がだ?」


 イヒヒーと笑いながらサラマンダーが擦り寄ってくる。


「だってアタシがいるもん!もう淋しくないよっ!」


「ハッ。何言ってんだばーか。」


「むー!秋クン照れ隠しー!」


 確かにコイツが来てから一気に騒がしくなったな。

 パンを食べ終えたサラマンダーはケータイをピコピコといじっている。

 ちなみにさっきからコイツが使ってるのは俺のケータイだ。


「何やってんだ?」


「エヘヘー。これからこの学校のHPのトップを1:9分けで飾るんだぁ♪」


 ハッキングは犯罪です。



 はい!学校編~サラマンダーがいる風景~でした。

 てゆーか冒頭で秋クンはサラマンダーを置いていこうとしてますが、実際置いてったりしたら契約の影響で股間が大変な事になります。

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