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第29話:オール・キラーズ!~起~

「秋クン。サラマンダーは今すぐソフトクリームを食べないと世界を滅ぼしてしまいそうです」


「冒頭から物騒な事言うな」


 下校中。学校でこれでもか!って位はしゃぎ倒したサラマンダーは、突然おねだりをしてきた。しかしソフトクリームが好きなヤツだ。


「仕方ねぇな。…と、スマン。金がなかった」


 そういえば今月厳しかったんだ。財布が見事に空だ。


「えー!ヤダヤダヤダ!」


「ワガママ言うな」


「ぐすん。貧乏人は黙って粟でも食べてろって事ね」


 ぶっ殺すぞ。


「そんなに食いたいならハルにでも頼めよ。アイツん家金持ちだし」


「そなの?」


 キョトンとして首を傾げるサラマンダー。あれ?言ってなかったっけ?


「ハルの親父は『ALL』って言う大企業の会長だ」


 『ALL』は『全て』の名の通り商売という商売に手を出し、その全てにおいて成功を治めている。上層部の9割が小早川一族が担っているらしく、会長はハルの親父。確か社長はハルの兄貴だったか。


「へーぇ。スゴいんだねっ!ハルちゃん家」


 まぁ、金持ちだから幸せかって言うと、どうも違うみたいだがな。ちゃらんぽらんなハルだが、大企業の令嬢っていうのも色々とあるようだ。


「秋クン。アレアレ!」


 サラマンダーが正面を指差す。続いて俺も視線を移す。


「霧緒?」


 そこには、小早川ハル特攻隊隊長・水無月霧緒が立っていた。どうやら俺たちを待っていたようで、こちらに気が付くとペコリと頭を下げた。


「お久しぶりです」


「おー。どうした?珍しいな。お前が1人で来るなんて」


「ええ。ちょっと」


 何だ?気のせいか歯切れが悪いな。


「隊長ー。ハルちゃんは~?」


「…」


 サラマンダーの問いかけにも苦笑で返すだけの霧緒。確かに霧緒1人ってのは違和感があるな。


「その事で少し話があるのですが」


 やけに神妙な面持ちの霧緒。ハルがどうかしたのか?


「…とりあえずウチに行くか。立ち話も何だしな」



――――――――――


「えーっ!ハルちゃんが監禁!?」


 声を張り上げて驚くサラマンダー。


「どういう事だ?」


「はい。実は…」


 霧緒は眉間にシワを寄せながら、ハルが監禁された経緯を語り出した。


 霧緒の話によると、ハルを監禁したのは『ALL』の会長。つまりハルの親父らしい。もともとハルが一般人…ハルの親父曰く『2流3流』の輩と付き合うのを快く思っていなかったハルの親父。それが原因でこれまで幾度となくハルと衝突していたのだが、ここ最近の娘の反発の激しさについにキレたらしい。


「それで監禁か」


 ハルの親父が厳しいのは知っていたが、まさかそんな強行手段に出るとは。


「姫は小早川一族の末っ子です。表面上は反発していても、ご自分だけが自由気ままに生きる事に対して後ろめたさがあったようです。事実、立花殿と再会するまでの約一年間は大人しくしていましたからね」


 ハルが一年間も姿を見せなかったのにはそんな理由があったのか。


「でも秋クンに会いに来たよね?ハルちゃん」


 サラマンダーが挙手し、疑問を口にする。


「やはり枠にハマった生き方は姫にとって苦痛だったようです。ある日ついに我慢できなくなった姫は小早川家を飛び出しました」


「その流れでウチに来たのかよ」


 よくそんな状況であんなハイテンション登場が出来たな。


「ええ。それからは小早川家に帰らず、俺の家に居候していました」


「うひゃー!隊長やっるう!」


 一体何をやっるう!なのかは分からんが、ハルのヤツ家出なんかしてたのか。


「そして昨日、ついに会長の使いが現れて…」


「ハルを拐ってったってわけか」


 「拐ってった」は語弊があるな。「連れ戻した」の方が正しいか。


「ハルちゃん可哀想」


「…我ら特攻隊も姫を助けだそうと動きましたが、何分相手は実の父親ですので、あまり過激な手段は取れず足踏み状態です」


 そう言って項垂れる霧緒。


「…で?お前は何をしに俺の所に来たんだ?霧緒」


「…え」


「ちょ、ちょっと秋クン!今の話聞いてたでしょっ!ハルちゃんが大変なんだよ?助けなきゃ!」


 隣でギャーギャーうるさいサラマンダーを無視し、言葉を続ける。


「ハルが監禁されようが親父と上手くいってなかろうが、それはハルの家庭の問題だ。他人の俺たちが口を出す事じゃないんじゃないか?」


「そ、それは…」


「お前も言ってたよな。ハルは小早川家の一員だ。大企業の令嬢にはそれなりの責任があるんだろう。別に死ぬわけじゃないんだ。ハルもいずれは小早川家の仕事を担う事になるんだし、その時期が少し早まっただけだろ?」


 変わらずギャーギャーと喚くサラマンダーを視界から除外し、淡々と話し続ける。


「…ですよ」


 その時、今まで黙って俯いていた霧緒がポツリと声をもらす。


「あ?何か言ったか?」


「笑ってないんですよ!」


 突然声をあらげる霧緒に、ビクリと体を震わせるサラマンダー。


「立花殿やサラマンダー殿と過ごしている時の姫は心から笑っていました!…でも、連れ戻されてからはただの一度も笑わないんです!あの姫がっ!そんなの…耐えられない…」


 悔しそうに次々と気持ちを吐き出す霧緒。やっぱりコイツだけは他の特攻隊とは格が違うな。


「ふん。ようやく本音を吐きやがったな」


「秋クン?え?どゆこと?」


「悪かったな霧緒。試すような真似して。でもな、俺はお前がどんな気持ちでハルを連れだそうとしてるのかを知りたかったんだ。他人の家庭に首突っ込むってのは半端な覚悟でやって良い事じゃねぇからな」


「立花殿…」


 ま。コイツの気持ちなんて最初から分かってるんだがな。ハルを助け出す途中で霧緒の決意が折れない為の添え木だ。


「じゃあ秋クンっ!」


「ああ。行こうぜ?ハルを連れ戻しによ!」


「ありがとう…ございますっ!」


 さあて。相手は『ALL』の小早川家だ。こっちもそれなりのメンツを揃えないとな。

 何はともあれ。


「頭でっかちのクソ親父に一泡ふかせてやろうぜ」


 秋・サラ・霧緒VS『ALL』小早川家。


 開戦。


 はい。なんというコメディらしからぬシリアス調!笑ってしまいますね!AHAHAHA!…はい。スミマセン。いつもの雰囲気を期待されていた方にはほんと申し訳ありません。

 しかし、このハルを巡る一連の話は『絶対にやりたい話ベスト3』に入る位に作者的に大切な話です。

 完全に自己満足ですが、「それでもいーよー」って方はお付き合い下さい。「何それ?イラネ」って方は読み飛ばしてくれて構いません。

 でも、ま…読んで下さった方が嬉しいですけど。


        白月

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