第24話:伝説から新世紀へ!
前回の続きです!
さて、なんやかんやで魔王城に突入した俺たちに意外な展開が待ち受けていた。
だだっ広い魔王城の中から、どうやって魔王を探しだそうかと考えていたんだが、偶然通りかかった魔王と鉢合わせしていた。
意外過ぎだろ。
この疑似世界の魔王は10人に聞いたら全員が魔王と答えるだろうスタンダードな魔王だった。
「魔王覚悟ーっ!」
サラマンダーが炎を放つ。
「無駄だ」
魔王が手をかざすと、サラマンダーの炎がかき消される。
さっきからずっとこんな感じだ。
魔王と対峙した俺たちは早速攻撃を開始した。しかし魔王のコメディらしからぬチートな強さに苦戦を強いられていたのだった。
「脆弱な人間共よ!我が圧倒的な力の前に消え去るがよい」
魔王の攻撃!
「ぎゃーす!」
「うわぁぁぁあ!」
「…く」
サラマンダー一行に9999のダメージ!
サラマンダーたちは瀕死になった!
「魔王強すぎー」
地べたに突っ伏したサラマンダーが唸る。
まぁ当然の結果だよな。プレイ開始直後に何の装備もなしに挑む相手じゃねーよ。
「フハハハハ!己の貧弱さを嘆いて逝くがいいわっ!」
床に倒れている俺たちを見下しながら高笑いする魔王。
ちくしょう。ムカつくが身体が動かねえ。
「とどめだ!」
魔王が魔法っぽいものを詠唱し始める。
ああ。終わったな。つーかこの疑似世界で死んだらどうなるんだ?ゲームみたいに最初からやり直しか?
「…疑似世界での死は現実世界での死」
シルフさん。絶望的な一言をありがとう。
あー。俺の人生もここまでか。天国って良いところかなぁ。
完全に諦めモードに入った俺の耳に力強い声が聞こえてくる。
「そこまでだっ!」
バン!と扉が開かれ、端正な顔立ちの青年が現れる。
誰だ?
「き、貴様は勇者っ!」
えぇぇえぇぇえっ!
いや!えぇぇぇえっ!
「俺たちが勇者じゃないのかよっ!」
「…そんな事、言ってない」
確かに聞いてないけど!
じゃあ俺たちいる意味ないじゃんっ!
勇者でもないクセに魔王に挑んだ村人Aじゃんっ!
「無力な村人をいたぶる悪漢め!許さんっ!」
勇者が果敢に立ち向かう。
多分無力な村人って俺たちの事だろうな。
そこから勇者と魔王の攻防が始まった。
おー。すげぇよ勇者。完全に押してんじゃん。
「秋クン…アタシたちって」
「言うな」
虚しくなる。
「くらえ必殺!シャイニング・スコーピオン!」
そんなミニ四駆あったな。
「ぐぎゃぁぁぁぁあっ!」
勇者のシャイニング・スコーピオンが魔王を貫く。勝負あったな。
「ハァッ!ハァッ!…君たち大丈夫かい?」
地面に崩れ落ちた魔王を背に、勇者が声をかけてきた。
「あ、はい。大丈夫です」
とりあえず命は助かったようだな。
「もう安心だ。世界は平和を取り戻し…」
その瞬間。勇者の身体が黒い炎に包まれる。
その背後にはやられた筈の魔王が妖しい笑みを浮かべながら立っていた。
「む、無念」
音もなく崩れ落ちる勇者。
ちょっと!勇者やられちゃったんですけどー!
「フハハハハ!油断したな勇者めっ!これで邪魔者はいなくなったわ!」
勇者との戦いで負ったダメージが残っているのか、かなりフラフラになりながらも勝利の余韻に浸る魔王。
ああ。もう本当に終わりだ。
「…まだ、諦めない」
その時、ボロボロになりながらもシルフが立ち上がる。
「シルフ?」
サラマンダーが心配そうな目で見つめている。
何かを決意したように魔王を見据えるシルフ。
「シルフ。お前何をする気だ?」
俺の問いかけに、シルフは哀しげな表情でこう答えた。
「…爆弾で、自爆する」
えぇぇぇえっ!
この際爆弾なんか持ってたのかよっ!てツッコミは無しにする。
「おいっ!ちょ…」
俺の制止には耳を貸さず、シルフは魔王目掛けて走って行った。
「秋クンっ!このままじゃシルフがっ!」
「分かってる!」
最後の力を振り絞って立ち上がる。身体中が悲鳴を挙げるが気にしない。シルフを追って走り出す。
「フハハハハ!…む?何だ貴様はっ!」
「…かくご」
爆弾を脇に抱えたシルフが魔王の懐目掛け飛び込む。
数秒遅れて俺も飛び込み手を伸ばす。
「シルフーっ!」
カッ!
ドォォォォォン!
一瞬、眩い閃光が走り、轟音が響き渡る。
「秋クン!シルフっ!」
サラマンダーが叫びながらやってくる。
「…」
「…」
魔王は跡形もなく消え去っていた。
俺たちは爆発によって黒く煤けたフロアに寝そべっている。
「ギリギリセーフだったな」
「…」
脇に抱えられたシルフは無表情のまま口を開かない。
「大丈夫か?シルフ」
「…」
「ん?どうした?」
何かを言いたそうなシルフに聞いてみる。
複雑な表情のシルフは、ゆっくりと口を開いた。
「…ごめんなさい。こんな時、どんな顔をしたらいいのか分からないの」
床に視線を移しながら不安そうに呟くシルフに、俺はゴシゴシと頭を撫でてやる。そして…。
「笑えばいいと思うよ」
シルフは一瞬驚いたように目を見開いていたがやがて、フ…と笑みを返してくれた。
「秋ク~ン!これ見てっ!」
サラマンダーが鍵のようなものを手に持ち叫んでいる。
「その鍵。まさか」
「…転送キー」
マジか。これでやっと帰れるな。
「あ、そーいや馴れてない人間に触られるの嫌なんだったな。スマン」
成り行きとはいえ思いっきり抱き締めてしまった。
相当緊張してしまっただろう。
「…へーき。思ったより、嫌じゃない」
再び静かな笑みを浮かべながらシルフが呟く。
まぁ吹き飛ばされなかっただけラッキーか。
「…それじゃ、転送する」
「おう。頼むぜ」
「帰ったらジジイに牛乳拭いた雑巾送ってやるんだからっ!」
それもヤだな。
はい。今回パロディりました。いつかやりたいネタだったんですよね。
何のネタか分からない人には申し訳ないです。
また、何のネタか分かった人は心友です。よろしく。