第20話:意味のあるお話!
「お前は良い意味で単純だからな」
どんな流れでこんな事を言ったのか忘れたが、俺のこの一言がサラマンダーの胸を射止めたようだ。
「秋クン!今日は良い意味でドシャ降りだねっ!」
「秋クン!今朝のトーストは良い意味でパッサパサだよ」
「アハハハ!このアナウンサー良い意味で噛みまくり~」
そう。『良い意味で』がサラマンダーのマイブームになってしまったらしい。
すっかり気に入ったサラマンダーは朝からずっとこんな調子だ。
全く。ガキかっての。あ、ガキか。
「ねぇねぇ秋クン」
「なんだ?」
「そろそろ良い意味でお昼時だよ」
なんか幸せそうな時間だな。
「あー、今月厳しいから有り合わせでいいか?」
「良い意味で嫌だっ!」
どっちだ。
「ワガママ言うな」
「守銭奴っ!良い意味で守銭奴っ!」
そりゃただの節約上手だ。
「イヤなら食うな」
「えっ!」
おーおー。捨てられた子犬みたいな顔になったな。
「グスン。秋クンて良い意味で鬼畜だね」
「もうわけ分からん」
鬼畜だろうが何だろうが金がないのは事実だ。
サラマンダーのせいで何かと出費がかさむからな。ついこの間も特攻隊にソフトクリームを奢るハメになったばかりだ。
「つーかいつまで言ってんだよ。飽きないのか?」
「んー。良い意味でそろそろネタがない」
「一応考えて喋ってたんだな」
まぁネタ切れならそろそろ『良い意味で』ブームも過ぎ去るだろう。
このまま1日中ボケ倒されたらどうしようかと思ってたところだ。
「良い意味で大変だね。ツッコミも」
「ツッコミがやりがいのある仕事みたいに言うな」
「またまた~。アタシにボケられるの嫌いじゃないくせに~」
『良い意味で』って言わなくなったな。
「あっ!…良い意味でね」
絶対忘れてたよね。
「1日中ボケられて喜ぶヤツがいるか」
「えー。アタシは秋クンに突っ込まれるの好きだけどなぁ」
「微妙な言い回しをするな」
聞く人によっては誤解を生みかねん。
「なんでー?」
「性的な意味で取られる」
てかとうとう『良い意味で』って言わなくなったな。
「秋クンに突っ込まれるの好きだけどなぁ。性的な意味で」
「やめなさい」
一応純度100%混じりっ気なしがキャッチコピーなんだから。
「何の話?」
「知らん」
きっと天の声だな。うん。
「秋クン。サラマンダーは空腹で死にます。性的な意味で」
「あれ?まさかの第二次ブーム到来?」
ふむ。確かにそろそろ昼飯作ってもいい頃だな。
今日はチャーハンで我慢してもらうか。
「うし。いっちょ作りますか」
「わーい!おいしく料理してね?性的な意味で」
「やめろっちゅーに」
まさかまたネタが切れるまで続くのか?
まぁさっきもすぐにネタ切れたしな。そんなに長くは続かないだろう。
「にやり」
うわぁ。なんかマンガみたいな笑み浮かべてるー。
あれはかなりのネタを溜め込んでる顔だ。
どんな顔だよ。
「秋クン。1人で突っ込んで楽しい?性的な意味で」
「そんな卑猥な事は考えてない」
全く…。なんでそんなにイキイキとした顔なんだよ。楽しいのか?
「フンフ~ン♪今日も秋クンと寝るんだぁ♪性的な意味で」
「それはもう大変な事態だな」
捕まるぞ。俺。
「そして秋クンを抱きながら寝るの。性的な意味で」
しかしコイツのバカ発言にまともに返してると疲れるな。
適当に合わせるか。
「アハハ。もしそうなったら今日は寝れねぇな。性的な意味で」
「秋クン。もっと節度のある発言を心掛けようよ。子供じゃないんだから」
100回殺す。
はい。サラマンダーがひたすらボケ倒すだけの話でした。
今日、職場でタバコを吸っていたら、ふと今回のネタを思い付いたので勢い任せで執筆しました(笑)
ま、良い意味で適当なんですな。
なかなか定期的に更新することが出来ないのですが、毎日アクセスしてくれている方々。とても励みになります。どうもありがとうございます。
これからも皆さんに楽しんで頂けるような作品になるよう頑張ります。性的な意味で。
白月