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第17話:あなたが好きだからっ!

前回の続きです!

「ここなんだよ」


 やっほっほー!生ける伝説サラマンダーだよー。

 アタシたちは今とある廃屋に来てるの。見るからに放置されて10年経ってます!って感じの場所でちょっと怖いんだけど、どうやら秋クンはここにいるっぽいんだよねー。


「随分と寂れた場所ですわね」


「幽霊とか出そうだよねっ!アハハハハ!ちょーウケるー」


 でも本当にこんな所に秋クンがいるのかなぁ?


「間違いないんだよ。特攻隊の情報網は伊達じゃないんだよ」


 自信満々にハルちゃんが言う。

 そう、何をかくそうここの情報を手に入れたのは、噂の『小早川ハル特攻隊』なんだって。


 前に秋クンから聞いたんだけど『小早川ハル特攻隊』ってゆーのは単なるファンクラブじゃなくて、その人数を活かした諜報活動や工作員まがいの事までやっちゃう私設部隊なんだって!

 よく分かんないケド凄いよねっ!


「それで?どうやって秋様を助け出しますの?」


「今、特攻隊の皆が建物を包囲してるんだよ。特攻隊の配置が完了したら、ハルたちが先発隊として突っ込むんだよ」


 何かハルちゃん軍師みたいでカッコいい!


「私たちだけで大丈夫ですの?相手は秋様を拉致できるような輩ですのよ?」


 うんうん。ウンディーネの言いたい事は分かる。確かに秋クンをさらった奴ら、動きが普通じゃなかったもん。


「ウヒャヒャヒャヒャ!ひーっ!ひーっ!ひゃはははっ!」


「サラちゃんが何か言いたそうに爆笑してるんだよ」


「全く理解できませんわ」


 アタシたちだけじゃ無理だよっ!って言ったの!


「それより、私たちが突入した後はどうしますの?返り討ちにあったら元も子もありませんわ」


「そのための特攻隊なんだよ。ハルたちはあくまで先発隊。相手の注意をこっちに向けるのが目的なんだよ」


「つまり秋様を救出する役目は特攻隊の皆様がやるんですわね?」


「ピンポン♪なんだよ」


 なるへそー。要は派手に暴れろって事ね。

 え?違う?


 そんなやりとりをしていると、真っ白なツナギを着た男のヒトがやって来た。

「配置完了であります!姫!」


「ごくろーなんだよ。それじゃー作戦開始なんだよ」


「了解!『小早川ハル包囲網』発動!」


 どーでもいいけど『小早川ハル包囲網』ってハルちゃんが追い詰められてるみたいだよね。

 あっ!ちなみに今の白ツナギの人が『小早川ハル特攻隊』の隊長らしいよ。特攻隊のメンバーは全員真っ白なツナギを着てるんだってさ!

 意味分かんないよねっ!馬鹿みたい!


「サラちゃんウンちゃん。行くんだよ」


「う、ウンちゃん?」


 …ぷっ。


「ぶははははははっ!ウンちゃんて何!どこのオッサン!?あはははははっ!」


「笑うんじゃねーですわっ!」


「れっつらごー!なんだよ」


――――――――――

「準備はいい?なんだよ」


「いつでも行けますわ」


 緊張した面持ちのハルちゃんとウンディーネ。なんたって現在アタシたちがいるのは廃屋の玄関前。自然とピリピリとしたムードが漂ってるよ。


「それじゃ作戦通りにいくんだよ」


「了解ですわ」


 アタシも了解っ!


「合図で一気に踏み込むんだよ。3…2…1…」


 ごくっ。


「0っ!なんだよ!」


 ハルちゃんの声と共に一斉に玄関の扉を開け、止まる事なく一気に突入っ!


「ハル様っ!サラ!あれを見るのですわっ!」


 先を指差しながらウンディーネが叫ぶ。ウンディーネの指差す方へと視線を移す。そこには…。


「秋クンっ!」

「アッキー!」


 縄で椅子にグルグル巻きにされた秋クンがいた。

 なんか人質っぽくて楽しそう!


「意味分からん」


 早速心の声にツッコンできた秋クン。

 あれ?秋クンの隣に誰か立ってるよ?


「アッキーから離れるんだよっ!」


 ハルちゃんも気付いたらしく、身構えながら叫ぶ。

 よく見るとあの人秋クンをさらった奴らの1人だ。

「ハル様っ!?なんでここにいるッスかっ!?」


 体育会系な口調の男の人はハルちゃんを見てビックリしてる。

 どゆこと?


「ハル様の知り合いですの?」


 ウンディーネも理解できないらしく、困惑した表情でハルちゃんを見てる。


「んん?そう言われればどこかで見た顔なんだよ」


 おでこに指を当てて何かを考るハルちゃん。


「ああ!この間特攻隊の入隊試験を受けたコなんだよ!」


「そうッス!結果は不合格だったッスが…」


 ふむふむ。つまり犯人はハルちゃん絡みで今回の犯行におよんだわけだね。

 あれ?秋クン関係なくない?


「こいつらはハルのストーカーだ」


「ストーカー…ですの?」


 秋クンが言うには、犯人はハルちゃんの大ファンらしいの。でも特攻隊の入隊試験に落ちちゃって、溢れんばかりのハルちゃんへの気持ちが間違った方向に行っちゃったんだってさ。キモいよね。


「だからハルと仲良くしてる俺が邪魔だったんだろ」


「そうッス。オイラはあまり乗り気じゃなかったんスけど、あの二人がオイラの諜報力が必要だって」


 そう言って床の方を指差す男の人。その先には男の人が二人倒れてる。


「いくら乗り気じゃなかったからってアッキーをさらった罪は重いんだよ」


 どす黒いオーラを出しながらハルちゃんが構える。完全に殺る気だよ。


「ちょ、ちょっと待って欲しいッス!オイラはもうこの人の味方ッスよ!」


 秋クンを指差しながら犯人が言う。

 言われた秋クンはなぜか苦い顔をしている。


「どーゆう事ですの?」


「いや、それは…だな」


 ウンディーネの問いかけに曖昧に答えようとする秋クン。あやしさマックスだよ。


「それはオイラがこの人に一目惚れしちまったからッス!」


「えっ」

「えっ」

「えっ」


 一瞬、辺りが静寂に包まれる。

 アタシたちの声だけがただ虚しく木霊し消えていった。



次回で誘拐編ラストです!

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