表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/33

第13話:精霊をキャッチ!

「秋クンて意外と料理できるよねー」


 晩飯を作っていると、サラマンダーがこんな事を言い出した。


「まぁ、一人暮らしも長いからそれなりにはな」


 こう見えて高校入学から一人暮らしだ。なんだかんだでもう4年目に突入だな。


「見た目は『料理?何それ、おいしいの?』って感じなのにねー」


 そいつアタマ弱すぎだろ。


「あの人みたいだよねー。芸人のー。メガネかけてるー」


 誰だ?料理しなさそうなのに実は料理してる芸人?


「アイーンのキャマノ君!」


 誰だ!


「そりゃードリフも大爆笑だな」


「うんうん!…うん?」



 首を傾げて違和感の正体を考えているサラマンダーは無視し、夕食作りに戻る。

 今日は豚のしょうが焼きだ。最近はしょうが焼きのタレが売られてるから誰でも簡単にできるから助かる。


「おーいサラ。運ぶの手伝えー」


「あーい!」


 皿をテーブルに並べ、ご飯をよそう。よし、準備完了だ。


「それじゃ、いただきまーす」


「いただきまーす!」

「いただきまーす!なんだよ」


 …ん?


「ちょっと待て」


「どーしたんだよ?アッキー」


「『どーしたんだよ?アッキー』じゃねぇよ。何しに来た」


「愛しいアッキーに会いに来たんだよー」


 アホか。


「あー!ハルちゃんだー!」


 いや気付くの遅えよ。一緒に「いただきまーす!」とか言ってただろ。


「えへへー。サラちゃん久しぶりなんだよー」


 早速キャッキャッと騒ぎ出した2人を眺めながら、ハルの分のメシを用意する。

 俺って優しいな。


「えー!サラちゃんて精霊界ではモテモテだったの?なんだよー」


「むっふっふ!まぁアタシ位の美貌と英知を持っちゃうと仕方ないよねー」


 英知の欠片もねぇよ小童が。


「スゴいんだよー」


「でもハルちゃんだって『小早川ハル特攻隊』てのがあるんでしょー?」


「アハハ。アレは学校の皆が勝手に盛り上がってるだけなんだよー」


 ポリポリと頬をかきながら謙遜するハルだが、風の噂では『小早川ハル特攻隊』はハルの命令には絶対服従の過激派集団らしい。


「まぁアタシも精霊界には『生ける伝説サラ嬢を慈しむ会』があるからねー」


 いまいち凄さが伝わらないな。てか絶対嘘だろ。


「嘘ですわ」


「だよな?ハルが単純なのを良い事に好き放題言ってやがる」


「モグモグ…全くですわ。だからいつまで経ってもガキなんですわよ…モグモグ」


「お互い苦労するよなーってコラ」


 いつの間にか隣でメシを食っているウンディーネをむんずと捕まえる。

 どいつもこいつも不法侵入し過ぎだろ。


「モグモグ。お邪魔してモグモグますわ。モグモグ秋…ゴクン。様」


「食うのをやめろ」


「あー!ウンディーネ!何しに来たのよっ!」


 サラマンダーも気付いたらしく、警戒心をあらわにしている。


「オーッホッホ!お爺様の命令で貴女の監視役になったからですわ」


「うげぇ」


 うわぁ。すげぇ嫌そうな顔してる。


「サラちゃんのお友達?なんだよ」


 そしてやっぱり精霊が見えちゃうハルさん。


「ウンディーネですわ。小早川ハル様」


 ハルの事も調べてきたようだな。


「つーか何でハルには精霊が見えるんだ?」


「それはハルがアッキーの妾だからなんだよ」


 いや嘘つくな。


「それはハル様が精霊の波長をキャッチできる体質だからですのよ」


「波長?」


 そりゃ初耳だな。


「まさかサラ。何も説明してないんですの?」


「うっかりー」


 確信犯です。


「仕方ありませんわね。私が説明して差し上げますわ」


 ウンディーネの説明によると、普通の人間には精霊の姿は見えない。だけどたまに精霊の波長を認識できる人間が存在するらしい。

 精霊が契約できるのはその波長を認識できる人間に限るらしく、当然俺もそういう人間なんだとか。


「まぁサラにとっては秋様が波長をキャッチできる人間で好都合でしたわね」


「?…どういう事だ?」


「だってサラは1年前…」


「わー!わー!すとーっぷ!すとーっぷ!どんたっちみー!」


 な、何だ?


「まさかこれも言ってないんですの?」


「サラちゃん落ち着いてーなんだよ」


 どうやらサラマンダーはまだ何か隠しているようだな。


「ひょっとして貴女…」


「うっさい!うんちーネは帰れー!」


「いずれ言わなければならないのですわよっ!貴女が言わないのでしたら私が…」


「イケメン精霊チャライーナとの3ヶ月」


「お邪魔しましたわ」


 チャライーナとの間に何があったんだ!ウンディーネ。


 光のゲートと共に、ウンディーネは消えていった。


「サラ?」


「びくっ!なななな何でもないよっ!気にしないでっ!」


「明らかに何かあるんだよー」


 サラマンダーは見るからに挙動不審だ。まぁ、話したくないんなら無理に聞いたりはしないがな。


「まぁいーか。それじゃ、晩飯の続きだ」


「う、うんっ!秋クン!アタシおかわりー!」


 ははっ。途端に元気になりやがった。


「アッキー。ハルもおかわりなんだよー」


「お前は帰れ」


「ショック大!なんだよ」


 しかし1年前…ね。

 何があったんだろうな。


「キャマノくーん!おかわりまだー?」


 だからそれは誰だ!



・イケメン精霊チャライーナ


 イケメンを司る精霊。

 本人もかなりの美男子で遊び人。

 常に女の子と一緒に行動しており、月に一度は一緒にいる女の子が変わる。

 そのチャラ男ぶりに泣かされる女の子が後をたたないらしい。


 ちなみに付き合った期間の過去最長は3ヶ月らしい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ