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第18話:三人でおでかけ(海岸公園②)

評価頂きありがとうございます。

 フードコートに来た私たち。先に早めの昼食を取ろうということになったが、すでにフードコードはだいぶ賑わっていた。さすがにネットで有名なだけはある。


「まだお昼前なのに結構混んでるね。」

「そうだね。」

「俺が席探しておくからさ、先に二人で買ってきなよ。」

「いいの?じゃあ、お言葉に甘えようかな。ね、美月。」

「そうだね~。さすが、城田君。ポイント獲得ですね~。」

「ははは。何のポイントかはわからないけど、とりあえず待ってるよ。」

「うん。じゃあ、よろしく。できるだけ早く戻ってくるね。」

「よろしく~。」

 そう言って、二人はお店を見に行った。


 ここのフードコートは結構広い。混雑していても、3人であれば問題なく座席を確保できるだろう。そんなことを思っていると、出入口付近の4人席がちょうど空いた。お店からは若干遠くなるが問題ないだろう。


 無事に座席を確保した私は、あたりを見回す。お店も混雑しているから、二人ともそれなりに時間がかかるだろう。あたりを見回して気付いたが、家族連れよりもカップルが多いように感じる。みんな楽しそうだった。ネットで検索した急ごしらえにしては、まずまずの場所選びだったのだと少し安心した。


 しばらくすると、二人とも同時に戻ってきた。その手に呼び出しベルを持って。


「私と美月は同じ店にしたんだ。美味しそうなパスタ屋さんがあったから。」

「そうなんだ。思ったよりも早かったね。」

「うん。城田君も買ってきていいよ。荷物見てるから。座席を確保してくれてありがとね。」

「わかった。じゃあ行ってくるよ。」

 そう言って、私はお店の方へ向かった。今日は何となく丼ものかハンバーガーの気分だな。そんなことを思いながら、該当のお店を探し始めた。


―――――


「ねえ、美月。どう思う?」

「何が~?」

 城田君がお店に向かい、美月と二人きりになった時、彼女に気になっていることを訊いてみた。


「城田君がここを選んだ理由。」

「理由ですか~?もしかして、ここが有名なデートスポットであることが気になるの~?」

「そう。私もね、ここに来られたら素敵だなと思っていたけど、さすがにいきなりここは誘えないなと思ってたから。美月は?」

「私もだよ~。ここがデートスポットだということは女子たちの間でも話題になってたからね~。でも凛と同じでこっちから誘うのは恥ずかしくて~。」

「だよね。それがいきなり当日に向こうからここにしようって、提案してくれて。てっきり美羽とのデートで使ったのかなと思ったけど、初めてだっていうし…。何か彼がこれをデートだと思ってるのだと考えちゃって、思わずフリーズしちゃった。」

「まあ、彼がそれを認識しているかは別だけどね~。」

「…。やっぱりそうか。これも彼の?」

「そう無自覚攻撃。」

「だとしたら、相当厄介だね。彼の無自覚…。」

「そうだね~。でも、これで『デート』というのは強調できるから、あとは私たちの魅力を伝えるだけだね~。」

「おっ、美月やる気だね~。こういう恋愛ごとには興味なさそうだったのに。」

「それは、これまで私のまわりに気になる男子がいなかっただけで~。」

「なるほど。確かに今日の服装も気合入ってるし。」

「それは凛もでしょ~。」


「何が倉本さんもなの?」

「えっ!城田君!?いつからそこに?」

「えっ…、いや、たったいま。」

「そうなんだ。いやなんでもない。そうっ!部活の話。部活の…。ははは…。」

「そう?待たせちゃってごめんね。何かハンバーガー屋さん、思った以上に人気で結構混んでた。だけどベルじゃなくて、その場で直接料理をもらったから。二人も早く用意されるといいね。」

「そうね…。」


 その後、二人も料理が完成し、3人で昼食となった。二人とも同じ魚介系のスープを使ったパスタで、この海岸公園の名物らしい。斯くいう私が注文した「海岸バーガー」も名物らしく、バンズが真っ青だった。味は見た目に反して結構美味しかった。


―――――


 お腹が膨れた私たち一行は、次に商業施設でショッピングをすることになった。まあ私は特にほしいものはなかったが、彼女たちと見て回るのも悪くないなと思った。

 ええ、そう余裕ぶっていた時期が私にもありました。


 そこでアクシデントというかハプニングが発生。


 和知さんがスルッと腕を組んできたのだ。ふと見ると、少し頬を赤くさせて「いいでしょ~?」と上目遣いで。その行為と態度で私の「余裕」という手札は脆くも破壊された。

 そこに倉本さんが「あ~、美月だけずるい!私も!」と言い逆の腕に自分の腕を回してきた。彼女を見ると、和知さん以上に頬が赤く見えた。「ダメ…?」と不安そうに言ってきた。そう上目遣いで。これは攻撃力抜群だった。俺の手札はどこに消えた?


 男子一人に女子二人。しかも両腕をロックされている状態。何かまわりの視線が痛い。

 そこの同年代の男子よ。睨むな。ちゃんと聞こえてるぞ。「リア充爆発しろ」って。何だ?リア充爆破って不穏な言葉。充電中の事故か?

 ちょっとそこのおばあちゃん、そんな温かい目でこちらを見ないで下さい。お顔に「あらあら」と書いてあります。何か恥ずかしくなってきた。


「ねえ、二人とも近すぎない?」

「えっ、そんなことないよ。普通だよね、美月。」

「そうです~。普通ですよ~。」


 これって普通なの?もしくはいまの中学生って、こんなにコミュニケーション能力が過激なの?そういえば桜井さんも抱き着いてきたしな…。あれはてっきり怖くて思わずというラノベ的展開だと思ってたけど、もしかしてコミュニケーションの一環だったのか?

 だから…、その…、二人とも…、そんなに密着されると腕に柔らかいものが…。すでに私のライフはゼロです。てか、そもそも私のライフって初期設定が少なすぎる気がする…。


 その後もショッピングは順調?に進んだ。倉本さんや和知さんの「どっちがいいと思う?」という攻撃を何とか耐え凌ぎ…。というよりラノベ知識によると、こういう時はすでに答えは決まっていて、それを選ばないと、こちらのポイントが減るという、実は見た目の楽しさに反して、男子にとっては恐ろしい儀式であると知っている。とりあえず何かしら理由を付けて回答した。彼女たちは「そっか~。」と嬉しそうだったから良しとしよう。

 

 彼女たちはショッピングが終わるとすぐに腕を組んでくるため、私は常にライフゼロの危機に直面して疲弊していた。顔には出さないという最終手札「覆面」で何とかその危機を乗り越えているが…。そしてまわりからの視線攻撃。だから、充電中に爆発しません。


 彼女たちのショッピングがひとまず終了すると、今度は強制的に私のターン。

 彼女たちは楽しそうに、私の服や靴を選んでいた。私は言われるがまま、それに着替えることを繰り返した。おそらく着せ替え人形はこういう気持ちだったのだろう…。そんなことを思いながらも、自身の服装を真剣に考えてくれる女子を見るのも悪くないなと、少しばかり余裕を取り戻した私であった。

読んで下さり、ありがとうございます。


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